January 06, 2008

のだめカンタービレ 新春SP欧州

 
 のだめカンタービレ 新春スペシャル in ヨーロッパ
 
 
2006年にフジテレビで放送した、同名のコミックを原作とするテレビドラマの続編。 正月特番として、1月4日~5日に掛けて放送された。

のだめ役・上野樹里と千秋役・玉木宏をはじめ、その他の主要メンバーも健在で、一昨年の放送と同様、とっても面白かったです。

二回に分けられた新春スペシャルの第一夜は千秋の挑戦編。
渡欧して、まず手始めに指揮者コンクールに挑戦する千秋。 今回の千秋は、日本に居た頃、時に自暴自棄となっていたのに比べて、とにかく溌剌としてカッコイイ。 念願叶ってヨーロッパの地に来た喜び、高揚感が伝わってくる。 指揮ぶりも上手になったね。 コンクールのシーンでは、他のコンクール参加者や、オケとの確執などを描いて面白い。 が、その最中に彼らしくもない挫折を体験する。
リハーサルでオケに無茶な要求を押し通し、一旦はオケを敵に廻してしまう千秋。 この辺の演出には、一昨年のシリーズで造り上げた千秋像、そのオレ様ぶりの設定が上手く活かされている。 そこからの巻き返しの過程が省略されていて、これではちょっと簡単に勝ち過ぎの感もあるけれど、尺の中に収めねばならない関係もあるだろうし、まあ仕方ないか。

第二夜はのだめの挑戦編。
なんとまあ、名高いパリのコンセルヴァトワールに入学してしまったのだめ。 (建物や、その内部など、あれは実物なんでしょうか?) 変態パワーを発揮して、超短期間でフランス語を習得するも、今度はアナリーゼの授業で周囲のレベルの高さにまるで付いてゆけない。 留学生活の早々に味わう挫折。
音楽家が、自分の楽器を演奏すること以外の音楽諸々については意外に弱く、例えば市井の音楽ファンの方が余程詳しい、なんていうのは往々にしてあり得ることですが。
自身を失ったのだめは、演奏の方もダメになってしまうけれど、やがて本来の自分を取り戻すことで立ち直る。 例によってギャグとシリアスを交えた、この挫折から立ち直りへの過程は、今回のスペシャル編中で最も面白かった。 音楽ドラマとして楽しめたと言う点では、一昨年の放送で最も高水準と想った、モーツァルトの二台ピアノのエピソード以来、出色の出来と想う。
 
私は原作を読んでいないけれど、もしもこの先のストーリーがあるのなら、年に一度くらいのペースで好いから、その後ののだめや千秋の活躍ぶりも見せてもらえればと想う。
 

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November 04, 2006

のだめカンタービレ(TV版)

原作は今まさにブレイク中の、クラシック音楽界を舞台にしたコミック。 私はその原作を読んでいないのだけれど、私の周囲のアマチュア音楽家の中には殊のほかファンが多いようである。 そのテレビドラマ化というので、私も好奇心いっぱいで見てます。
で、自分的には、とっても面白く観ることが出来たのだけれど、バルカローレさんのところで、相手役の玉木宏がイマイチだって感想を聴き込んで、そいつがどうにも気になるもんだから、第一回をまた観直してみたという次第。

主人公の音大生、のだめ役に上野樹里@スウィング・ガールズ。
ここでは楽器を、スウィング・ガールズで熱くブロウしたテナーサックスからピアノに換えて、篠原ともえ風のキャラ造り(なんとま、思い切ったコトを・・・と想いましたけど)が、とってもか~いいっす。 

で、相手役の千秋真一役に玉木宏。 
渋くキメて、なかなか好いではないですか。 因みにこの人は今年のNHK大河ドラマ「功名が辻」で山内康豊(山内一豊の弟)役をやっている。 つまり、同じ時期に戦国武将とピアニストを演じ分けるということをしているわけですな。
面白いのは、山内康豊よりも千秋真一の方が、役造り上、押し出し良く、態度もデカイ(!)ということ。 なンたって、ピアニストよりも戦国武将の方が余程ナイーブでさわやかなんだから可笑しいって。

それから、ドイツ人指揮者シュトレーゼマン役に竹中直人。
おそらくは、このドラマ中で原作からもっとも乖離しているのは、この人ではないかと。 とにかく、どのドラマで誰を演じてようと、竹中直人は竹中直人なのであって、そこンところを受け入れることが出来れば、この役者は文句なしにオモシロイ。

ストーリーの方はドラマの初回らしく、のだめと千秋の出会いと、各人物の登場編といったところ。 そして、クラシック界をテーマにしたドラマらしく、二人がレッスンで取り組むモーツァルトの2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448 第一楽章のシーンが見もの聴きものだった。

練習を始めた当初は、二人のピアノが上手く揃わずにガタガタだったのが、次第に音楽として形をなしてゆくのが痛快。 秀才肌で楽譜通りにキッチリ弾くのが信条の千秋が、のだめの勝手放題、自由奔放な音楽性を認めることがブレイクスルーとなって、レッスンが終わってみれば、音楽的に行き詰まりをみていた千秋のピアノが一皮剥けていたというオチになる。

レコードや演奏会などで、完成形をポンッと出して来られるよりも、こうして、練習の過程を追ってゆく方が、余程面白いと想うことがあるけれど、このドラマでのモーツァルトもまた然り、である。
それにしても KV448 って、なんて良い曲なんだろうと、改めて想う。

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October 10, 2005

にっぽん昆虫記

映画「にっぽん昆虫記」(1963、日)
監督: 今村昌平
出演: 左幸子、吉村実子

標題の映画を観た。 また、今村昌平監督の作品。
題名からファーブルの「昆虫記」が連想されるように、これは、一人の女の半生を冷徹な視点で描く。 それも、学者が地を這う昆虫を観察するようなクールさで。 そう。 虫は、その行く手にどんな困難があっても決してメゲナイ。 時に、傍目には愚かな程の実直さでひたすらに歩み続けるのである。

山間の貧しい村に生まれ育ち、終戦と同時に家族を離れて上京する主人公。 ふとしたきっかけから賤業に手を染め、その世界で漸く成功を収めようというところで惨めな挫折を味わう。 それでも、主人公はどこまでも自分の道を往くのである。
場面の変り目毎に画面がストップモーションとなって、主人公がその心境を詠う狂歌がアッケラカンと朗詠される。 モノクロの画像が凄く好い。 モノクロの旨味を知り抜いているね。 流石。

主人公が地にしがみつくように、無我夢中で生きていく様子を観察する今村監督の視線は厳しい。 けれど、その厳しさを突き抜けたところに姿を現わす人間の力強さからは、観る者を惹き付けて離さない一種の磁力を感じる。
決して軽くは無いテーマを描いて、時折コミカルな部分もあるのは「豚と軍艦」と同様で、これは今村監督の持ち味なのだろう。
「豚と軍艦」と同様、これも、深い感銘を受けた映画。

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September 23, 2005

にあんちゃん

映画「にあんちゃん」(1959、日)
監督: 今村昌平
出演: 長門裕之、松尾嘉代、沖村武、前田暁子

標題の映画を観た。 これも今村昌平監督の作品。
舞台は、昭和28~9年頃の、佐賀県にある小さな炭鉱。 石炭産業が不況のどん底に喘ぐ時代、両親を失い他に身寄りの無い兄弟四人が、懸命に生きてゆく姿を描いた作品である。

両親を亡くし、今や唯一の稼ぎ手となった長男の失業。 口減らしのために長女が奉公に出たり、未だ小学生の次男と次女は知り合いの伯父さんの家に預けられたりと、四人兄弟は分かれて住むことを余儀なくされ、更に、これでもか、これでもかと、困難が降りかかる。
どんなに生活が苦しくとも、兄弟四人揃って暮らしてゆきたいと言うのが、彼らの唯一の望みなのだが、貧困のためにそれも叶わない。 やがて、炭鉱も閉山と決まる。

こういったシチュエーションから予想される愁嘆場とか、お涙頂戴の名場面とかは、しかし、今村監督作品の場合出て来ないのである。 その代わりに、過酷な現実を、ひたひたと、クールに描き綴ることで、却って四人兄弟それぞれの強さ、前向きさが伝わって来る。

長男役は長門裕之。 ここでは一家を背負って立つ純朴な青年役で、「豚と軍艦」でのようなハジケ方は見せない。 映画そのものは、どちらかと言えば暗い話しなのだけれど、隣家の伯父さんや、先生、長男の親友など、兄弟の周囲に好人物を絡めて、ドラマを軽快に進める。 コミカルな場面もある。
この映画からは、 「豚と軍艦」のような圧倒的なパワーは感じられないのだけれど、小学生の次男と次女の視点から描いて、将来への希望を語らせることで、ラストを明るくしているのである。 観終わって、気分の爽やかになる秀作であった。

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