009-1(ゼロゼロナインワン)。 この番組、知る人ぞ知るって言って好いんでしょうね。 深夜のテレビ・アニメ番組だもの。
この間、夜遅くに帰宅した折に、テレビのリモコンをカチャカチャやっていて見つけたのを、最初は、「なんじゃこれは?」って感じで、ぼんやりと見ていた。 それで、じきにスイッチを消すつもりでいたのが、いつしか、しっかりとハマってしまっていたと言う訳。
原作は石ノ森章太郎の漫画「009ノ1」。 代表作のサイボーグ009と、007シリーズに代表されるスパイ映画の系統と、いわゆる「くノ一」ものを、ぎゅっと混ぜ混んだような作品。 サイボーグの女スパイと言う設定を見事、一言に集約してみせた、なかなかに秀逸な題名ですな、これは。
公式HPからの引用
<冷戦が140年続くもうひとつの未来。 地上は二つの世界に分断されている。 ウエストブロックとイーストブロック。 核の脅威で保たれたいつわりの平和の下、両陣営は情報という名の戦争を続けていた。 非情の世界に生きるスパイ同士の争いに、ミレーヌ・ホフマンは何を見るのか。>
近未来SF女スパイものと言うストーリーそのものには、実は、あんまり興味がない。 それに私、昔から石ノ森章太郎のキャラクター・デザインを苦手としていて、それはこの、009-1でも例外ではないのだだけれど、ならば、どこに引かれたかと言えば、作品全体を支配する、独特の、静謐で冷んやりとした雰囲気。
それは、たとえば夏の日、どこか高原のリゾート地でも訪れて、山々や流れる雲などを見入る時のような、非日常的な感覚である。 だけれど、放送時間帯に相応しく、回によってはお色気シーンもあったりするので、どなたにもお勧めとはいきませんです。 良い子は見てはイケマセン。
おそらくは、あえてそうしている、アクション系のアニメにしては淡い色調に、あくまでも淡々としたドラマ構成や、主人公の女スパイの吹き替えを担当する釈由美子の、目一杯に感情を抑えた口調がまた、深夜の時間に相応しくて、アニメに見入るというよりは、浸るという表現が、いっそ相応しいかもしれない。
そして、なによりも音楽。
番組オープニングの主題歌の評判が好いらしいけれど、自分的にはまったく好みではない。 その替わりに、私にとって、この作品の魅力の半分以上は、劇中で流れるBGMとエンディングの音楽である。
それは、目新しいところなどひとつもない、どこかで聴いたような音楽だけれど、素晴らしく均整がとれて、お洒落で、そしてなにしろカッコ好い。 中でも、弦楽合奏のアレンジの見事なこと。 優しい主旋律に対峙する、内声部のねとねと感は、もう後期ロマン派まで行っちゃってるね。
とにかく、テレビ・アニメで、これほど音楽のクオリティの高い作品を、私は他に知らない。 なかでもエンディングのテーマがすっかり気に入ってしまって、毎回、番組の一番お終いまでしっかりと楽しませてもらっている。
おっと、あくまでもオトナの時間の番組なので、良い子は見てはイケマセンぞ。
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