April 16, 2008

ドクター・ドリトル2

 
 ドクター・ドリトル2
 Dr.Dolittle2
 
   監督:スティーブ・カー
   出演:エディ・マーフィ
 
      2001年 米国
 
 
エディ・マーフィのトーク、そして、動物たちと組んでのギャグで人気を呼んだ「ドクター・ドリトル」の続編。

前作「ドクター・ドリトル」で沢山の動物達と関わったドクターだけれど、今作では特に熊のアーチーをメインにすえた。

思えば前作では、登場する人間も動物も、それぞれに悩みを抱えつつ、精一杯に世渡りをしていた。
動物たちなど、ネズミみたいに小さな奴ほど気が強かったり、また逆に、トラみたいに大きな多き奴ほど繊細だったりする。 そんなところに、ヒネリの利いた風刺を感じたし、また、人間社会の世知辛さを、動物に託して表現していたのも面白かった。

それが今回は、サーカスで育ったシティ熊、アーチーの野生回帰という、ある意味、正攻法なテーマに焦点を絞ってみたと言うわけ。
なにしろ絵本、童話、動物園やサーカスでも人気者の熊さんが主になるわけだからして、まずは大人から子供まで、誰にでも親しみやすい路線を目指したのであろう。

エディ・マーフィの繰り出すジョークも、前作に比べてずっとソフトになった。
これもやはり、ファミリー向けということを意識しているのじゃあないかと思う。 ポリティカルコレクトネスって言うんですか。 ヤバげな台詞など、あまり聴かれなかったし。 ご家族で安心して楽しめるようになってます。

リラックスして、のんびりと愉しむにはおあつらえ向きの映画だけれど、でも、総じて前作の面白さには及ばないかな、と想いました。
 

   「ドクター・ドリトル」
 
 

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July 08, 2007

ダ・ヴィンチ・コード

 ダ・ヴィンチ・コード
 THE DA VINCI CODE


    監督:ロン・ハワード
    出演:トム・ハンクス
       オドレイ・トトゥ
       イアン・マッケラン
       ジャン・レノ
       ポール・ベタニー

          2006年 米国


つい先日、ベストセラーの原作に文句を垂れたところなのに、やっぱり観てしまった。
文庫版で3巻になる原作を、能う限り変更、省略なしに映像化しようとしている、その手際の好さには感服した。 但し、150分間にぎゅっと詰め込んだ分、抒情的側面、余韻みたいなものは端折られる傾向にある。
例えて言えば、強行スケジュールの海外観光ツアー。 これ見たらあっち行って、はい次はこっち。 時間がないから立ち止まらないで下さい! と言う感じだろうか。
原作を読んだ後から鑑賞に臨んだので、予備知識無しで見たら果たしてどうなのかは判らない。

世界的にベストセラーとなった原作を映画化するということで、映画の方もヒットが見込めることから、制作費をふんだんに掛けることが出来るのであろうけれど、その反面、原作から離れた独自の解釈を持ち込んだりする自由はなかったりするんだろうか。 ともあれ映画の製作サイドに、原作を超えた映画を撮ってやろうとかいった野心は、多分ない。 あくまで原作に忠実に。 宗教方面からのバッシングは、事前に回避して、とか。 きっと。

主人公ラングドンの慎重居士ぶりはトム・ハンクスにぴったりと想った。
オドレイ・トトゥのソフィーは、聖女ぽく(?)して来るかと想っていたら、やり手のキャリア・ウーマン風で、これは原作にとても近いイメージ。
ファーシュ警部役、ジャン・レノは何故か腰が引けていて、存在感が薄い。 原作にあった野心家、やり手の警部という感じがしないのである。
そしてアリンガローサとシリス。 この二人にもっとスポットを当てていれば、もっと奥の深いドラマになったのに。 でも、原作でもこの二人の扱いは不遇であったと想う。

「ダ・ヴィンチ・コード」の題名の由縁たる、最後の晩餐についての図解は、言葉のみでなく映像付きで説明されるため、実に判りやすかった。 映画化のメリットである。
一方、ソニエールの遺した暗号の方は、小説よりも更に判り難く、というより適当にスルーされているの感があるけれど、まあ、これは止む終えないことと想う。

原作で特に面白かったのが、ラングドンとティーピングによるキリスト教暗黒史の解説のくだり。 宗教象徴学者対聖杯オタクの薀蓄合戦の場面なのだけれど、映画では、NHKの歴史教育番組のような歴史再現映像が差し挟まれるなど、なかなか凝った描写がワクワクさせる。 これも映画化のメリット。
一方、音楽は荘重な雰囲気を醸して、映画をムリやり格調高く持ち上げようとするきらいがある。

この作品、キリスト教暗黒史を扱うと言うことから、いっそ破天荒なB級映画にしても好かったのかもしれない。 この手のテーマは野次馬根性全開で迫るのが相応しいものを、原作の虚構部分に説得力を与えようとしてか、無理やりに品好く、格調高い作品に仕立て上げようとている。

監督や俳優に文句はないけれど、大ヒットした小説の緊急映画化、ということの難しさを実感させられた作品であった。

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June 02, 2007

ドクター・ドリトル

 
 
 ドクター・ドリトル
 Dr.Dolittle

   監督:ベティ・トーマス
   出演:エディ・マーフィ

      1998年 米国


主演のエディ・マーフィのことは知っていたけれど、特段ファンと言うわけではない。 まして、普段私が興味を持つことのないタイプの、一見してファミリー向きと思われるこの映画を、あえて見てやれという気になったのは、ひとえに「ドクター・ドリトル」と言う題名に惹かれてのことである。

なにしろこの映画の原作、ヒュー・ロフティング作のドリトル先生シリーズは、我が少年時代の最高の愛読書であったからして。
ドリトル先生の名を冠したこの映画も、だから、一応見といてやるか、と言うくらいの至って軽い気分で鑑賞に入った。 それに、日々お疲れ気味のところに、こういった、屈託なしに愉しませてくれそうな映画は、まったくお誂え向きかと思って。
 
と言う訳で、大した期待もなしに見てみたけれど、なかなかどうして、結構愉しかったですよ。
原作からは、動物と言葉を交わすお医者さんと言うプロットだけを借りて来て、あとは、ドリトル先生に扮するエディ・マーフィがその本領を発揮する、現代のアメリカ社会を舞台にした明るいコメディに仕上げてある。 まあ、予想通りの展開です。
世評の高い、エディ・マーフィのお喋り、と言うか話芸。 私は英語が判らないので、その真髄をちゃんと愉しむことが出来ないのはザンネン無念である。 まぁ、仕方ないか。 その代わりに、日本語吹き替え版の声優さんたちが、大健闘していたと思います。

それにしても、こういうファミリー、子供向きの映画でありながら、脚本や演出の隅々まで、手抜かりなく実にしっかりと造り込まれているのにはほとほと感心しています。 流石はハリウッド作品なり。
動物が喋るドラマは、古今東西珍しくもないけれど、この映画ではCGを駆使して、人間と動物たちとをごく自然に共演させることに成功している。 声優さんたちの話芸と相まって、これまでの「動物が喋る」ドラマとは一線を画していると思う。
虎や梟など、捕食する側の動物の性格が一様に温和で、ネズミなど小さな動物らの、どれも鼻っ端が強いのが、さもありなんという感じですな。 軽いシモネタもあるので、必ずしもファミリー、子供向きの映画ってわけではなかったのかもしれない。

原作の世界からは随分と掛け離れた映画だけれど、小説のファンのために、さりげなく小ネタも用意されている。
サーカスの虎を問診するドリトル先生(ドラマ中の英語ではドゥーリィルと聴こえる)の背後を横切る双頭の珍獣オシツオサレツ。 それと、視力の衰えた馬のためにあつらえた特大馬用メガネ。 どちらも、原作を読んだ方ならば「ニヤリ」の場面であります。

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February 10, 2007

トップガン

  トップガン
  Top Gun

     出演:トム・クルーズ
     監督:トニー・スコット

        1986年 米国
 
 
大ヒットした航空映画。 あの「素晴らしきヒコーキ野郎」から76年後の、Magnificent Men の物語である。

はねっかえりで怖いもの知らずの若い戦闘機パイロットが、米海軍の空中戦訓練学校(トップガン)で猛訓練を受ける中、女教官との恋や、僚友との事故を経験し、パイロットとして、そして人間として成長を遂げると言う、まあ、よくありそうなストーリー。
見ものは、なんと言っても戦闘機同士の空中戦シーンで、こればっかりは、繰り返し何度見てもワクワクしますな。
それにしても、当時のトム・クルーズの若いこと。 製作年度を見てみて、二十年ほど前の作品であったことに気づき、ビックリしてしまった。

主人公(トム君)が駆る戦闘機はF14トムキャット。 複座だし、双発だし、可変翼だしで、なんだかやたらとデカく見えるヒコーキである。 それが、ジェットの圧倒的なパワーを駆使して自在に飛び交い、また、くるくると軽快に舞って見せる。
このF14、1970年代にデビューして、映画の撮影当時も米海軍の主力艦上戦闘機だったけれど、昨年遂に退役したとのことである。

トム君ら教習生を飛行訓練で鍛え上げるベテラン教官が操るのはA4スカイホーク艦上攻撃機。 こちらはF14よりも更に古くて、1950年代半ばから飛んでいる。 単発、単座。 とにかく小さくてすばしっこい。 私には、やたら図体のデカイF14よりも、このA4の方が余程カッコ好く見えるけれど。

敵国の戦闘機に扮するのは、実は米国製のF5タイガー。 スリムで優美なボディライン(なんだかコカコーラのビンを連想してしまう)を持つこの機も、F14よりずっとスマートに見えるなあ。

映画は、早暁のインド洋上を航行する航空母艦からの、艦載機離着艦シーンから始まる。 映像美と、ジェットの圧倒的なパワーを見せつけて、掴みはバッチリ、なのである。
そしてなによりの見せ場はトップガンでの、教官対生徒の空中戦訓練シーン。 すべて実写。 ホンモノのジェット戦闘機同士の追っ駆けっこは、大空を自由に飛んでみたいという人類有史以来の夢を、現実のものとして見る者に叩きつけてくれる。 こんな映画は、CG全盛の今となっては、もう再現不可能なのではないか。

その一方で、人間ドラマ的にはイマイチの感がある。 主人公(トム君)の俺様ぶりからは、それほどの魅力を感じないし、ヒロイン(ケリー・マクギリス )も、ちっとも綺麗と想わない。(それよりも、僚友の奥さん役のメグ・ライアンが好い) でも、これはそもそも空中戦シーンばかりが見たい映画なので、然程気にもならないのである。

音楽は至って軽めのロック。 飛行シーンに流れるチャカポコしたサウンドも、聴き慣れてくると、ヤバイくらいに心地好く感じる。 とはいえ、時々ベタベタに感傷的で甘ったるい曲が流れるのにはマイッタな。 このお陰で、映画の格を相当落としている気がする。

映画の構成上、クライマックスは敵国戦闘機との空中戦で、敵機を見事撃墜してみせなきゃならんのであろう。 けれども、映画のラスト、トップガンの卒業式から敵機とのドッグファイトまでの、なんだか安直な演出からは、「本当はヒコーキが飛び回る映画が造りたいだけで、戦争映画なんて興味ないんだよね」とでも言いたげな、製作者側のバツの悪さを・・・・私の妄想でしょうか・・・・感じてしまう。 だからしてこの作品、戦争映画というよりは、あくまで航空映画と呼ぶべきと思うのである。

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June 05, 2005

ツィゴイネルワイゼン

 ツィゴイネルワイゼン

  監督:鈴木清順
  出演;原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代
    1980年 日本  シネマ・プラセット 

川崎市民ミュージアムのビデオライブラリーで標題の映画を観た。
先週の「オペレッタ狸御殿」ですっかり興味の湧いた鈴木清順監督の代表作として知られる作品である。

原作はやはり、内田百閒の『サラサーテの盤』 と言う事になるのだろうか。 サラサーテ自作自演による「ツィゴイネルワイゼン」のSP盤。 その演奏中に聴こえる「ある声」(おそらくは録音中に紛れ込んだ)を発端として描かれる、独逸語教師青地と中砂の間で交わされる奇妙な交流を中心としたストーリー。
夢と現、生と死の間を絶えず彷徨い続けるかのような不可思議な演出は、「オペレッタ狸御殿」にも通じるものがあって、成る程これが清順ワールドなのかと感じ入った次第。

「オペレッタ狸御殿」(もとよし、逆上気味に賛美した)の時に書きそびれたのだけれど、鈴木清順監督の作品と言うのは、見る人によって評価がハッキリと二分しやすいようである。 つまり、好きな人は大絶賛。 苦手な人は、まったく駄目。 という具合に。
この映画の場合も、その不条理世界は万人向けとは言えないと想う。 多分、観る時は、一々ストーリーを追いかけようなどとしない方が好いのかもしれない。 上手く雰囲気に身を任せる事が出来たなら、ある種、至福の時間に浸ることが出来ると想うのである。

原田芳雄の無頼漢ぶりは、なにせサイコーのはまり役と想う。 雰囲気で魅せる藤田敏八。 大谷直子の凛とした美しさに、大楠道代の妖艶さ。 舞台を鎌倉、湘南とした事から、原作の世界に幽玄かつ浪漫的雰囲気を加味する事に成功した。

それにしても今回は、「オペレッタ狸御殿」を観た時と比べると、ずっと素直に清順作品の世界に浸る事が出来たのである。

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