間宮兄弟
間宮兄弟
The Mamiya Brothers
監督:森田芳光
脚本:森田芳光
原作:江國香織
出演:佐々木蔵之介(間宮明信)
塚地武雅(間宮徹信)
常盤貴子(葛原依子)
沢尻エリカ(本間直美)
北川景子(本間夕美)
中島みゆき(間宮順子)
2006年 日本
以前ここでもご紹介したことのある、同名の小説を原作とする映画です。
あの小説を私は、女流作家が女性読者向けに書いた、言わば女性視点の作品として見て、それへの違和感(だったら読むなってハナシではあるんですけれど)を申し述べたのでしたっけね。
さて、映画の方は監督・脚本が森田芳光さん。
果たして、小説とは正反対の性格に仕上げられていると想いました。
齢三十代にしてどちらも独り身を通し、仲良く二人暮らしを続ける間宮明信・徹信の兄弟。
長男・明信役に佐々木蔵之介さん。 そして次男・徹信役に塚地武雅さんという、見事なまでに対照的な体型の二人。(見ればみるほど納得!なキャスティング)
諸事律儀な間宮兄弟。 日々の仕事では何事にも手を抜かず誇りをもって取り組み、生活のあれこれや、沢山ある趣味の一つひとつにも至極真面目に取り組む暮らしぶり。 そして、なにより家族を大事に想う二人です。
人間関係にも誠実・・・・というか、ハッキリ言ってこちらについては二人とも至って不器用ですね。
明信の奉職するビール工場、その見学コースの風景に私は見覚えがありました。 このシーン、以前私も訪ねたことのある、サッポロビール千葉工場で撮影したようです。
多趣味かつ凝り性な兄弟の住まうマンションの室内は、本やビデオ、ボードゲーム、雑多なコレクション、果ては自作紙ヒコーキなど、これまで二人して愉しんできた宝物で一杯です。(美術担当の労作。 その凝りまくりぶりが見もの!)
男の子の部屋が、そのまま大人向けになったようなもので、いわば大きなオモチャ箱(ただし趣味好く整理されて、とても居心地の好さそうな)の中。 しかも、そこかしこからアナログ的でどこか懐かしい雰囲気が漂ってきます。 二人の部屋の在り様そのものがあまりにも雄弁で、見れば、間宮兄弟というものタチドコロに判る仕掛けなのです。
そんな、世にも奇特な兄弟の部屋を興味シンシンで(というか完璧にキョーミ本位で)訪れることになった妙齢の女性たち。 でもこれ、兄弟にとっては空前絶後の大事件なんです。 彼らの住まいを、母親以外の女性が訪ねてくれるなんて!
ドラマは時にドキュメンタリータッチに切り替わったり、また素で会話しているとしか想えない瞬間があったり、不思議~ファンタジックな描写になってみたりと、何分とりとめが無いのですけれど、こういう変化球を交えた作風、私は結構好きなのです。
間宮家にやってきた女性たちを帰した後、兄弟して執り行う反省会(!)のはしゃぎっぷりときたら!
これって、放課後の男子同士が交わすバカ話しそのものですよ!!
兄弟の母親役にまさかの中島みゆきさん。 サスガの存在感で、このキャスティングも秀逸と想います。
そして、葛原依子先生に常盤貴子さん。
綺麗なんだけれど、でもどこかヘンな小学校女教師を好演。
この方、所作がとってもイイんですね。 今年のNHK大河ドラマ「天地人」での、主人公直江兼続の奥方お船役でもそう感じたのですけれど。 その歩き方や、なにげない仕草がいちいちとても雄弁で、葛原依子先生という人物のユニーク(!)さが伝わってくるのです。
あと、DVDにオマケとして付いていたオーディオコメンタリーが取り分けイイ出来でした。
森田監督ってオモシロくってサービス精神旺盛な方ですね。
コメンタリーの中で脚本と演出の工夫、伏線の数々、製作上のコダワリが次々と開陳されるので、映画が倍愉しくなりました。
アクションとかウットリするようなロマンス、それにそもそもクライマックスなんてもののの無い、ローテンションで小ネタの連続する映画です。
生きていれば、悲しいことや上手く行かないこともあるけれど、でも、失敗しても傷ついても、いつも傍にいて支えあう人のいること。 毎日を大切に生きること。 それがなにより。
モテナイ男でどこが悪い? なんて、痛快に言い切ってくれている気がしました。
女性視点で描かれた原作に対する、この映画は男性視点からの見事な回答です。


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