November 03, 2009

三遊亭圓楽師匠逝去

 
 
五代目三遊亭圓楽師。
テレビの「笑点」、あの、昔っから続いている演芸番組の中で大喜利のメンバー、そして司会者を永く務められたことで広く知られる師匠です。

訃報のあった日、偶さかオフであった私は、自宅でながら聴きしていたお昼のラジオ番組で、パーソナリティの林家たい平師匠が本日のトピックの一つとして、ことの仔細を粛々と語られるのを聴きました。

たい平師匠といえば、その師匠こん平の代から永くながく続く大喜利メンバーです。 圓楽師匠の悲報に、募る想いは如何ばかりだったでしょう。
しかしそこは気丈にふるまわれて、普段と変わらぬ口調を保っておられたたい平師匠でした。 とは言えコーナーの終盤に至って、その声音のほんの微かに震えていたのが、いっそ切なかったです。

その昔、タモリのオールナイトニッポンで落語特集をやったことがありまして、私はその中で圓楽師匠の高座の掛かったのを聴いたことがあります。 私も、落語にはてんで興味のなかった頃ですから、その折の演題とかもう覚えていないんですけれどね。
深夜、ラジオの前で独り聴く落語は大人の雰囲気、通人のエンターテイメントって感じがしてなんだかカッコ好く、一所懸命に聴き入ったものでした。
圓楽師匠の声音と、色気ある語り口というタモリさんの解説が、微かに記憶に残っています。

とうとう直には聴くことが叶わなかった大看板でした。
ご冥福をお祈り致します。
 
 

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March 31, 2008

鈴本早朝寄席 08年03月30日

 
  鈴本早朝寄席
  
     2008年03月30日(日曜日)
 
          午前10:00開演
 
 
のんびり家を出て来たせいで、鈴本に到着したのは最早開演も間際の時間。
慌てて木戸へと駆け込む。 
受付でモギリに付いていたのは未だ着物に着替える前の金翔さん、小駒さん。
早朝寄席は二つ目さんの勉強会ということで、こういう雑務も出演者が勤めねばならない。 高座で見せるのと同様ニコヤカな笑顔で、気分好く迎えて貰った。
 
 
鈴々舎馬るこ  「蝦蟇の油」
昨今急増している韓国からの団体観光客に対応すべく、韓国語通訳を雇い入れる、御馴染み蝦蟇の油売り。
口上の方も、伝統的パターンに、韓国語バージョンが加わる。
こちとら韓国語はまったく判らないのだけれど、馬るこさんの語る韓国語の口上が中々堂に入ってます。
 
 
三遊亭金翔  「紙入れ」
そのなり、そしてキャラもまあるい金翔さん。
品好く、ホワッとした雰囲気で、こういう艶っぽい噺が好く似合う。
特段、噺の中に具体的な描写があるわけじゃなし、でもその背景に色事のあったことを、それとなく了解させる。
艶福で、しかもしたたかな御内儀さんが好いね。
 
 
金原亭小駒  「四段目」
定吉の跳ねっ返り丁稚キャラがカワイイですな。
そんな定吉が、独りお芝居の場面をはじめる。 これが堂に入って本格的なもので、その場にみるみる劇的空間が立ち上がってゆくんですね。
芝居の世界と、現実の丁稚の生活と、その落差の激しさが可笑しい。
 
 
三遊亭あし歌  「井戸の茶碗」
ハイピッチで進める導入部分は、聴いていて実に心地好かった。
立て板に水の流れるように、言葉がさらさらと耳に入ってくる快感。 落語のシャワーだ。

中盤以降はノーマルピッチに落とし、じっくりと聴かせます。
若侍の高木作左右衛門に浪人の千代田卜斎。 二人の内、千代田の方に共感が強く、聴くべきところも多かったように想う。

クズ屋仲間の語る、法螺話しのバカな可笑しさ。

貧乏浪人の千代田が小判をつき返されて憤然とする場面など、殊更声を荒げるでなく、むしろぐっと声を落として語るのが、千代田という人。 貧すれど誇り高き侍の姿を描いて共感を呼ぶ。

「井戸の茶碗」と言うのは、正直者がお終いには福を掴む、まことに気持ちの好い噺。
あし歌さんに好く合っていると想う。
 

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March 30, 2008

黒門亭 08年03月29日 夜席

  
  黒門亭
 
    2008年3月29日 (土曜日)   夜席
  
      東京で大爆笑 「三枝の噺の会」
 
 
この日の黒門亭は表題の通り、「いらっしゃ~い!」の桂三枝師匠が造った創作落語のみを集めた会であります。
演じるは、いずれも東京の噺家で、三枝師匠のお作を持ち根多とする、柳家はん治師匠、林家種平師匠のお二人。


前座 三遊亭かる美  「たらちね」


柳家はん治  「背なで老いてる唐獅子牡丹」
登場人物はいずれもそのスジの高齢者ばかりという近未来落語。
寄る年波に負けじと無理をしたり、ちょっと哀れっぽくなったりと、こういう雰囲気が、はん治師匠の語り口に上手くハマっているんだよね。


林家種平  「ぼやき酒屋」
居酒屋を訪れたヘンなお客。 その、ちょっとアヤシイおじさんぶりは、種平師匠のキャラそのまんまですな。
三枝ギャグの連発に爆笑の黒門亭。


柳家はん治  「鯛」
料理屋の生簀に放たれた鯛たちの運命は・・・・ 悲劇(?)の要素を持ちながら、でも面白くて笑いの絶えない噺。
鯛たちの会話には、渋さ・・・と言うよりも、どことない諦念さえ漂って、やがて可笑しさの込み上げて来る、はん治師匠の語り口が良く似合う。


林家種平  「お忘れ物承り所」
JRの遺失物センターに次々と現れる人々のズッコケぶりを描く。 流石は三枝師匠。 実に上手い場所に目をつけたモンです。
  

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March 10, 2008

第12回三遊亭あし歌勉強会

   
  第12回三遊亭あし歌勉強会
  
     ギャレー美舟
  
        2008年03月09日(日)  15:30
  
  
不覚にも二連続で欠席してしまった、あし歌さんの勉強会。
ようやく復帰出来たと想えば、なんとまあ今回で最終回になると言う。

実はこの9月に目出度く真打に昇進されると言うあし歌さん。
その準備が多岐に渡り、忙しさも極まるとのことで、勉強会はこれをもって卒業と言うことになった。


一龍斎貞寿 講談
貞寿さんは、一昨年二月の桃川鶴女の会で初めて聴いた。
この日の演目も、あの時と同じ。 (題名を知りません。 なんとも申し訳ない。)
けれど印象は少し違って、何故だか二年前よりも更に若々しくフレッシュに感じる。
師匠方の前で演じる時よりも、伸び伸びと出来たと言う事なのか。 いや、それとも、ギャレー美舟と言う空間の為せる技だろうか。
 
 
三遊亭あし歌 「明烏」
気合充分と感じた。
話し手も聴く側も、共に見も知らぬ吉原。 みんなして想像力全開のまま噺が進みます。
サゲ近く、一夜明けてから甘納豆、そして見返り柳に至るやりとりが白眉。
  
  
三遊亭あし歌 「宮戸川」
あし歌さん卒業の一席。
昨年十二月に黒門亭で聴いた根多である。 今回は、その折と比べて、更にスッキリ化の傾向にあるかな。
 
 
あし歌さん、勉強会お疲れさまでした。
 

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March 02, 2008

鈴本早朝寄席 08年03月02日

  
  鈴本早朝寄席
  
     2008年03月02日(日曜日)
          午前10:00開演
 
 
バチ当たりにも、二日連チャンの鈴本通い
以前、同じ早朝寄席で聴いて感心した亜朗さん目当てで、眠い根をこすりながら木戸をくぐる。


春風亭一之輔 「長屋の花見」
落語の根多というのは、季節を先取りするのが粋なんだそうで、早々と花見の噺を出して来た。
一之輔さんの高座は久々と言う気がする。 やっぱり好いね。 若手ながら、一本気骨の通っている噺家さんだ。
朝一番の、とてもやり難い出番だろうに、未だ眠い客席をしっかりと暖めてみせた。


柳家さん若 「野ざらし」
枯れた風貌と相反して、噺の方はまことに元気が好い。 このキャラは、寄席では強力な武器になる。


三遊亭亜朗 「お菊の皿」
最初はフツーに「お菊の皿」をやっていたのが、お菊さんが評判になって、お客が急増する辺りからが大胆にアレンジされていて、これはもはや新作と言うべきか。
サービス精神旺盛で楽しい。 ギャグとして「ライオンキング」をはじめ劇団四季ネタを仕込んで来たけれど、こちとら、元ネタを知らないものだから、さっぱり反応出来なかったのが残念至極。
全体的に、語り口が荒っぽくなる瞬間が散見されて、ちと気になってしまった。 まあ、あまり慎重になりすぎると、今度は語りの勢いを失ってしまうものなのかもしれないけれど。 声を張り上げる時、円丈師匠とソックリの声になるんですね。


柳家三之助 「粗忽の釘」
三之助さんと言えば、ワタシ的には、落語協会の「インターネット落語会」での流暢なホストぶりでお馴染みである。
この日の高座も、話しの緩急、強弱のコントロールがデリケートで見事。 品良く、物腰も柔らかで、如才ない語り口が好い。
心なしか噺がちょっと短い気がしたけれど、時間の関係だろうか。(この後、定席の昼の部が控えているから、終了時間は厳守の筈)
 
 

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鈴本ひなまつり寄席

 
2008年3月1日(土曜日)  鈴本演芸場  <夜席>
 
  <鈴本ひなまつり寄席>
 
 
このところ、就寝タイムのBGM代わりとして、柳家喬太郎師匠の落語のCDを愛聴している。
新作落語が二つ収録されたCDの内、一席目の「すみれ荘二〇一号」を聴きながら毎夜眠りにつくのである。 (二席目の「夜の慣用句」がはじまる前に、いつも眠ってしまう) 毎夜聴いて飽きの来ない新作。 これは最早、古典の域に達しているのではないか。
そんなわけで、喬太郎師匠の噺が聴きたくなり、鈴本演芸場に出掛けた。

お雛祭りだからなのか、この日の鈴本では女性客を数多く見掛けた。 皆さん華やいだ声でよく笑う分、客席がヤローばかりの時に比べ、好い感じに盛り上がる。
 
 
前座 三遊亭歌る美 「出来心」
 
 
柳家喬四郎 「松竹梅」
 
 
鏡味仙三郎社中 太神楽
 
 
柳亭左龍 「初天神」
起爆剤、左龍師匠。 客席の温度感を一気に上昇させる。
金坊の、なんにも買ってくれない父をねめつける表情が、あんまりスゴクって可笑しい。
「初天神」は何度も聴いてきたけれど、この演出は初めて見た。 左龍師匠の個性と相まって、素ン晴らしく効果的だな。
 
 
柳家喬の字 「肥瓶」
柳家小きち改め喬の字さん。 なかなかイケメンの新二つ目さんです。
この日が、二つ目になって初の高座なのだそうで、思いがけず、お目出度い席に居合わせることとなった。
一席終えて立ち上がる時、ウッカリ自分の座っていた座布団を捲り掛けてしまったのが、微笑ましく、ちょっとウケル客席。 もう前座さんじゃない。 今日からは、捲らなくて好いんだよネ。
 
 
漫才 大瀬ゆめじ・うたじ
 
 
古今亭菊之丞 「替わり目」
菊之丞師匠は好いよねえ。 台詞や所作の一々が、粋でかつユーモラス。
飲兵衛の亭主の可笑しさ、御内儀さんの艶っぽさなど。 ホレボレとする高座だった。
 
 
林家正蔵 「蜆売り」
この噺は、以前にテレビで講談として聴いたことがある。
しんみりとして、落語にするにはいささか無理があるかとも想ったけれど、なんのなんの、人情噺として落語でも十分にイケますね。
正蔵師匠の語りには、聴き手を噺の世界にグイグイと引きずり込んでゆく強い吸引力がある。
 
 
  <お仲入り>
 
 
粋曲 柳家小菊
 
 
柳家喬太郎 「謀報員メアリー」
新作。 上野広小路界隈の酔っ払いから外交問題までをネタにとった、ある意味タイムリーな噺。 喬太郎師匠、初日から飛ばしてますな。
破壊力抜群、自虐的、更には危ないギャグの連打で、この日「柳家さん喬と愉快な仲間たち((C)柳家喬太郎)」の中で一番笑いを取った一席。
 
 
紙切り 林家正楽
客席から「さん喬師匠」と言うお題が出た。 出来上がった切り絵は、さん喬師匠を前に「謀報員メアリー」の解説(言い訳?)をする喬太郎師匠の図で、客席ウケル。 好いですなあ、こういう雰囲気。
 
 
柳家さん喬 「妾馬」
八五郎と三太夫のやりとりが可笑しいや。 この噺の後ストーリーとして、きっと赤井家中の凸凹コンビになったんじゃないだろうか、なんて思わせる二人である。
たっぷりと間合いを取って笑わせて、そして妹のお鶴との、ご対面の場面で泣かせます。 隣の席から、微かな嗚咽の声が漏れ聴こえて来た。
 
 

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December 23, 2007

黒門亭 07年12月22日 夜席

 
  黒門亭
    2007年12月22日 (土曜日)   夜席
 
 
小雨降る土曜日の夜。 お客で一杯の黒門亭。
私は開演の十分くらい前に入ったのだけれど、既にほぼ満員の入りになっていて、ちょっと焦った。 わずかに残った空席を探して、割り込ませて貰う。
 
 
前座 林家たい木  「寿限無」
 
 
三遊亭あし歌  「宮戸川」
あし歌さんの、凛として張りのある声の畳み掛けて来るのが痛快。
叔父さんに、無理やり二階間に上がらされたお花半七。 ここから先は、じっくりと思わせぶりな語り口で来られるより、すらすらと語ってゆくスタイルが好きだ。 この日の「宮戸川」は、さらさらっと進めてストンと粋にサゲたのがあし歌さんらしい。
 
 
桂才賀  「金庫破りの源蔵」
新作。 聴いていて、先々の展開が読めるんだけれど、でもその先が聴きたくなってしまう、ストーリーの面白さ。
才賀師匠は噺を進めてゆく呼吸が好くて、剽軽さと凄みとを、表裏一体にした語り口が小気味好い。 昔気質の金庫破りがする、如何にもな仕事の手つきが可笑しかった。
 
 
林家のん平  「禁酒番屋」
噺に出てくる「水カステラ」ってのは、その気になれば、造って造れないことはないのではないか。 ブランデーケーキの清酒版みたいな奴。 まあ、液状ではなくなるわけだけれど。 こうすれば禁酒番屋もしっかり通過出来る・・・・・けれど呑ん兵衛侍の近藤氏を納得させられるかって言うと、難しいか、やはり。
 
 
柳亭市馬  「宿屋の富」
年末ジャンボ宝くじを意識しての噺の選択だろうか。 もっとも、市馬師匠は私と同様、買わない人なのだそうだけれど。
市馬師匠のマイルドで鷹揚とした語り口からはα波が出まくり。 聴くほどに気持ちの好くなってゆく落語だった。
 

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December 04, 2007

第9回三遊亭あし歌勉強会

  
  第9回三遊亭あし歌勉強会
 
     ギャレー美舟
 
        2007年12月02日(日)  15:30
 
 
三遊亭あし歌 「やかん」
知らないことなんてない、などと日頃から豪語する知ったかぶりさんの噺。
そも、「やかん」をなぜ「やかん」と呼ぶのか。 そいつを説明するために、信玄VS謙信の大一番が始まっちゃうから、さあ大変。 折りしもNHK大河の「風林火山」では、これから川中島の合戦が始まるところで、正しくグッドタイミングな噺であった。
講談調の言い立ての場面は、あし歌さんの本領発揮。
 
 
三遊亭歌五 「道灌」
前座の歌五さん。 この日は円歌師匠のお宅からこの会に駆けつけたとのこと。
 
 
三遊亭あし歌 「お血脈」
信州善光寺の縁起と、お血脈の印を盗み出すべく閻魔大王が送り込んだ地獄からの使者、石川五右衛門の盗みのテクニック。
お血脈は、実際には御印文頂戴と呼ぶ儀式に使われる印で、これを授かれば、所願成就、罪業消滅、極楽往生間違いなし、なのだそうな。 善光寺にはお参りしたことのない私。 五右衛門に習って、私も頂戴して来ようかねえ。
 

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November 25, 2007

立川流一門会

 
 立川流一門会

  お江戸上野広小路亭

    2007年11月23日


連休のこととて、どこへ行こうが混んでいるに違いなく、でも混雑を掻き分ける元気のない、このところの私。
だから、と言ってはナンですが、多分ここばっかりは満員御礼にはなっていないであろう、そんな小屋に見当をつけて出掛けることにする。
いざ、お江戸上野広小路亭に入場してみると、流石は連休のことで、ここもそれなりに入っている。 気分好く落語を愉しむことが出来た。


開口一番:立川文字ら 「道具屋」


立川談奈 「真田小僧」


立川キウイ 「豆屋」
前座在位期間最長記録保持者のキウイさん。
先ごろ、十数年勤めたあげ前座から、目出度く二つ目になったところで、マクラでは前座時代の苦労・・・・恨みつらみをネタにして笑わせる。 このネタは当分使えるね。


立川ぜん馬 「たらちね」


立川談之助 「海老名家の陰謀」
最近の落語界を席巻した話題、春風亭小朝師匠の離婚をネタにした新作。
こぶ平の正蔵襲名、小朝の離婚・・・・・ 談之助師匠の見るところ、実はこれらは、来るべき再来年の春に予定されている、いっ平の三平襲名に合わせて仕組まれたもの、なんだそうで。
そしてあと一つ、計画されているであろう恐るべきイベントの内容とは・・・・ メディアには決して載せられないような、きわどいギャグの連発に爆笑。

 --仲入り--

泉水亭錦魚 「尻餅」
早々と師走の噺が出た。
今、お餅と言えば、スーパーでパック入りのものを買うのみになってしまったねえ。 そもそも今年のお正月は、ほとんどお餅を食べなかったんだな。 すっかり季節感を失っている自分を実感させられる。


立川談笑 「時そば」
聴きなれた古典落語のネタを、ものスゴイ破壊力でぶち壊し、リコンストラクションしてくれる、その痛快さ。 早口の台詞回しの中に、爆笑級のギャグを(さりげなしに)連発するので、聴くほうも忙しい。 この日、一番笑った一席。


立川談四楼 「ぬけ雀」
明快で理知的で、そして貫禄十分の名調子。
談四楼師匠の噺は、聴いていてまことに気分がよろしい。
 

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November 11, 2007

第8回三遊亭あし歌勉強会

 
  第8回三遊亭あし歌勉強会
 
    ギャレー美舟
 
      2007年11月10日(土)  17:30
 
 
落語協会の二つ目、三遊亭あし歌さんの勉強会。 ゲストは講談の神田山縁さん。
こじんまりとした店内の一角に高座をあつらえて、落語会の会場として使用している。 なかなか好い雰囲気。

あし歌さん。 この日は昼間に他所で一席やっていて、そこから急ぎ、ギャレー美舟まで駆けつけたという。 いろんな処に出掛けては、その場その場の客層や嗜好をキャッチして、臨機応変に噺をする。 噺家さんは大変だ。


三遊亭あし歌 「牛ほめ」
あし歌さんの「牛ほめ」は以前に鈴本で聴いている。 勉強会に掛けるからには、どこかヴァージョンアップされた「牛ほめ」に違いなく、期待は高まる。
果たして、この日の「牛ほめ」は、ずっと落ち着きを増して、聴きやすかった。
与太郎の雰囲気が、以前に比べて少し柔らかに感じるのは、小屋のサイズに合わせているせいかもしれない。
与太郎の太平楽に呆れかえった叔父さんのくすぐりにウケる。「婆さんや、床の間のライトセーバー取っとくれ!(怒)」
この距離、この空気感の中で落語が聴けるシアワセ。


神田山縁  「宮本武蔵の狼退治」
講釈師さん。 すらりと長身のナイスガイ。
開演前、高座の隣に間仕切りで造られた楽屋から、山縁さんとあし歌さんとの会話が漏れ聴こえて来て、この山縁さんと麹町の師匠との身長差(ものすごい)が露見(!)。
登場人物の表情が豊か。 剣豪と言うよりは、ずっと親しみやすい宮本武蔵になっているのは山縁さんの人柄か。 間近で聴く張り扇の音ってスゴイね。

三遊亭あし歌 「疝気の虫」
亭主の病の直すため、好物の蕎麦の香だけ嗅がせる女房の様子が可笑しい。 リズムが好いんだよね。 能天気な疝気の虫がカワイイです。
とってもアットホームな落語会でした。


帰る途中に喰ったラーメン(四谷の「一心らーめん」)は、ニンニクとタマネギが入ってジャンキーな風味。 こういうのは、偶に食すと誠に美味なり。
 

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November 05, 2007

鈴本早朝寄席 07年11月04日

 
  鈴本早朝寄席
 
     2007年11月04日(日曜日)
          午前10:00開演


日曜日でゆっくりしたいのはやまやまだけれど、午後から用事があって、渋々都内に出て来た。 せめて午前中を有効的に過ごすべし、とばかり早朝寄席の木戸をくぐる。


入船亭遊一 「崇徳院」
熊五郎の語り口がハイテンション、ハイスピードで気持ち好い。
ただ、早口をやった分、時折聴き取り辛い瞬間も出て来るんだけれど、これで好いんじゃないでしょうか。 リスクをおそれぬ攻めの姿勢が、好い結果を生んでいると想う。


三遊亭亜朗 「ちりとてちん」
聴いていて、実に気分の好い高座だった。
発声が綺麗で音量も十分なので言葉が聴き取りやすい。 身振りがキビキビと鮮やかで、しかし腰が低い。
ヘンな言い方だけれど、噺家でなしに、営業マンになっていたとしても、このまんまで大成すると想う。 苦労人なのかな。
マクラで語る外国のジョークも、スマートさがあって好い。 文句なしに、この日の一番。


柳家右太楼 「粗忽長屋」
この人の手堅い、けれど少うし地味な語り口は、実は早朝寄席にはあんまり向かないのではないか。 もっと(一日の)遅い時間に、じっくりと聴き込んでみたいスタイルである。


三遊亭きん歌 「星野屋」
星野屋って噺は、詰まるところ馬鹿し合いで、なんとなく後味の悪い気がする。 きん歌さんの明朗快活な語り口は、それを上手く中和してくれていたと想う。
 

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December 25, 2006

立川流広小路寄席 12月16日(土)

立川流広小路寄席

  12月16日 (土曜日)
    お江戸上野広小路亭


この日は風邪気味に睡眠不足も加わって、やや体調悪し。 と言えども、ようやく取れた休みなので、そそくさと落語に通うのである。


前座 立川松幸 「子ほめ」


立川志らら 「壷算」
志ららさんには華があるね。 高座に上がった途端、会場がパッとさんざめくもの。 枕で立川流の内輪ネタを披露して笑わせたあと、「壷算」に。

以前、他の噺家さんで聴いた「壷算」では、逆セールストークを素早く捲くし立てられて、こっちまで騙された気になったことがあるけれど、志ららさんのは実に判りやすく、荒物屋が騙される過程が良く見て取れた。 
もちろん、どちらが好い悪いというハナシではなくて、志向がハッキリしているのに感心したのである。 判りやすかったのは、ちょっとテンポがゆっくり目だったか、あるいはテンションを低目にしていたからかもしれない。 


立川志雲 「延陽伯」
パッパと威勢よく語るんだけれど、「今朝は土風激しゅうして・・・・」のところを忘れちゃったみたいで、先に進めなくなっちゃった。 でも、そんな自分のミスをネタにして、また笑わせるんだから、サスガだね!


立川談笑 「時そば」
楽屋ネタ、シモネタ、ブラックなギャグまでが高い濃度で飛び出す「なんでもあり」の談笑ワールド。 でも、どんなに無茶をやってもギリギリのところでとどめて、決して形を崩さないバランス感覚の好さ。 今日の一番はこれ。


立川談幸 「もぐら泥」
夫婦と泥棒の二場同時進行と言う噺の構成で、聴いていてちょっと疲れてくる。 ゴメン、ここらでちょっと眠たくなって来た。


立川左談次 「反対俥」
上手い! 年配の師匠の、枯れた風貌とはうらはらな、実にダイナミックな高座を楽しんだ。 と言うか、持ち前の「枯れた風貌」を悪用(!)して、静かな場面とハジケる場面との落差に生かしていると想う。 したたかな高座。


立川志遊「笑い茸」
ハイトーン・ヴォイスで元気一杯。 ガンガンと押しまくる高座。
でも、聴いていてちょっと疲れてしまった。 自分は、どうやらこうのタイプの落語は苦手らしいと知る。


立川文都「つる」
癒し系の噺(?)だからというんでもないけれど・・・・・ゴメン、また眠くなって来ちまった。
 
 
立川ぜん馬 「芝浜」
先日聴いた文左衛門師匠の「芝浜」と違ってサクサクと進める。
少し物足りなく感じてしまったのは、文左衛門師匠のようなアクの強さ、強烈な個性に欠けるからと想う。
いっそのこと、もう少し淡々と語り進めれば、味わい深い「芝浜」が出来るのじゃないか、なんて考えてしまった。

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November 28, 2006

夢で逢いましょう

夢で逢いましょう

  2006年11月25日(土曜日) 池袋演芸場
 
 
久々に池袋演芸場まで足を運んで、一騎当千の若手実力派真打四人が揃った会を聴いて来た。 それにしても、重量級のプログラムですな、これは。 こちとらの体調が、睡眠不足気味故に十分とはいえないのが、ちと気掛かりではある。

ちなみにこの会、演目については、あらかじめ四人ともネタ出ししているけれども、その順番は未定。 つまり、誰がいつ出て来るかは、その日その時までのお楽しみと言う趣向である。
 
 
開口一番 三遊亭歌すみ 「子ほめ」

   
入船亭扇辰 「心眼」
久々に聴く扇辰師匠。 遅れて会場に入って来るお客もいて、まだまだ浮つきがちな客席を、いきなり濃密な噺の世界に放り込む。 開演して間もない出番での「心眼」だけれども、集中力に欠けるなんてことは微塵もなかった。

あえて声量を絞ったと想われる、繊細な語りが効果的で好かった。 デリケートなアプローチで表現し得た、眼を病んで按摩で生計を立てる梅喜の哀しみと虚勢。
それから梅喜の女房、お竹の健気さ。 梅喜が浮気心をおこす芸者小春のコケットリー。 この師匠、持ち前のイカツイ風貌とはうらはらに、女性を演じるのが上手いんだよなあ。
しつこさなど皆無で、最後までさらりと演じ切るところが、師匠らしいなあ、と想う。


橘家文左衛門 「芝浜」
ここで、客席の誰しもが仰天したに違いない、文左衛門師匠の登場。 だって、二番手で「芝浜」ですよ。
これって、一体どういうことなのか。 さっさと出番を済ませて、早く楽になっちまいたい(?!)のか、それとも自信満々、意欲十分で、先に俺にやらせろ!ってところなのか、この師匠の場合、どちらも考えられるよなぁ。

文左衛門師匠の描く魚勝は、とにかく会話よりも先に手が出るタイプ。 流石、この師匠がやると説得力抜群。 ファンの期待を裏切りません。 ハイ。 そんな亭主に対して、一歩も引かない女房もまた好い。
それまで呑んだくれていた魚勝が改心するところや、女房に三年越しの秘密を打ち明けられたところなど、割合にあっさりとして、少し物足りなく感じてしまうけれど、でも、自分の中にはリファレンスとして、何度も聴き込んだ志ん朝のCDがあって、どうもそれと比べてしまい、もっと繊細な表現を期待してしまっているのも確かなんだな。
ここは、お終いまでパワー全開で演じる切る文左衛門ワールドを楽しむべし。
 
惜しむらくは、私の体調がいまひとつで、聴いていてちと疲れてしまった。 長い噺を、十分集中して聴く事が出来なかったのが残念至極。
 
 
柳亭左龍 「浮世床」
枕を「いや~、(「芝浜」が)長かったですねえ。」なんて話題で始めて笑いを取る。 確かに「芝浜」は、一時間ばかり掛けた長講だった。
そのクールダウンと言うんではないけれど、この日唯一の滑稽噺がこれ。 姉さまの戦いと芝居の部分を、巧みに組み合わせた構成が好かった。 お陰さまでリラックス出来たのは確かだけれど、こちらの体調がイマイチで、十分には楽しみ切れなかったのが残念。 熱演の左龍師匠にも申し訳なし。
 
 
柳家三三 「ねずみ穴」
さて、本日のトリは三三師匠が取った。
しかし、例えば「芝浜」なんて聴いちまった後で、一体どうしようと言うのか。 ここまで三席が続いた後でのトリと言うのは、結構プレッシャーなのじゃあないかと想うけれど。
でも、一旦噺が始まると、三三師匠の気合十分な語りに そんな心配は杞憂であったと知った。 なにしろ、さっきまで体調のダルかった自分が、ここへ来てパッと目覚めたくらいだもの。 そういえば、三三「師匠」の噺を聴くのはこれが初めてということになるか。

竹次郎が一文無しから大店を構えるまでに到るサクセスストーリーと、急転直下の挫折、そして兄弟の愛憎。 波乱万丈の大河ドラマにでも仕立てられそうな内容を、手際よく一編の噺にまとめてみせた。
竹次郎の兄を過度に憎ったらしく演じない、リアルな描写がイイし、なにより、長講を少しもダレることなしに、聴き手をして、ぐいぐいと噺の世界へと引っ張り込む力は流石。
 
四人の噺家の個性のぶつかり合いに立ち会って、質量共に十二分、とっても刺激的なスゴイ夜でした。

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November 08, 2006

黒門亭 06年11月4日(土) 夜の部

黒門亭 2006年11月4日(土曜日) 夜の部
 
 
三連休の中日に休日出勤。 一仕事終えてから、上野黒門亭に寄る。 仕事に出て来たとか言って、ホントはその後の黒門亭がお目当てだってのがバレバレであるなあ。
 
 
前座 三遊亭歌五  「転失気」
 
 
三遊亭時松  「家見舞」
二つ目になって間もない若手。 表情を大きくつけて、エネルギッシュにガンガン演じてゆくスタイルは、ガタイ良く、顔立ちもイカツイ、この人の特徴と上手く合っていると想う。 高座まで5メートルくらいの至近距離で聴いたので、迫力も倍増というもの。
 
 
橘家文左衛門  「のめる」
この師匠の噺に登場する人物は大概、ちょっとコワモテな感じのお兄さん達である。 それが、最初は虚勢を張って大威張りなんだけど、噺の展開のなかで一旦ズッコケちまうともうダメで、そわそわ、あたふたと迷走し始めるのが、可笑しいのなんのって、もう。 そんな文左衛門ワールドの住人達のことが、このところスゴク気になっている。
 
 
柳家さん枝  「幇間腹」
この師匠の噺を聴くのは、多分この日が初めて。 枕から吉原、遊郭の世界へ巧みに導いてゆかれる。
年配の師匠が、少うし枯れた声音で演じる幇間が、実にこう、風情があって好いモンですな。 これが、もっと大きなホールかなにかで聴いたのなら、こうまで楽しめなかったかもしれない。 やっぱり、黒門亭って好いよね。
 
 
柳家禽太夫  「禁酒番屋」
マイクを通さない肉声が、こっちまでビンビンと響いてくる。 少ない聴き手で独占しちまうのがモッタイナイくらいの熱演だった。 一方、語り口の方は割合にあっさりとして、サゲに向けてトントンと調子好く噺の進むのが、聴いていて実に小気味好いのである。

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October 01, 2006

蛙茶番

それは高校時代のある年の文化祭のこと。 落研のブースをふらりと訪れてみると、折りしも部員が落語を熱演中で、なかでもトリの生徒が上手で、とっても面白かったのだ。 その頃の私は、落語にまったく興味がなかったから、あまり印象も残っていないのだけれど、トリのやっていたネタの断片的な内容や、半公がアレを自慢げに見せびらかす場面とか、台詞回しの幾つかなどは今でも記憶の片隅にある。

先日、ぼんやりとテレビ(NHK総合の「日本の話芸」)を眺めていたら、三遊亭遊三師匠の「蛙茶番」が始まって暫くした辺りで、あのときのトリのやっていた根多は、今聴いているこの噺なんだと言うことに突然思い至ってビックリした。
 「高校の文化祭で聴いた噺って、蛙茶番と言う歴とした古典落語だったのか・・・・」
あの台詞、あの雰囲気、文化祭、高校時代・・・・・遊三師匠の「蛙茶番」が引き金になって、高校時代のいろんな想い出が次々と脈絡もなしに蘇り、みんなしてワッと押し寄せて来やがった。

今でこそ落語を好んで聴く私だけれど、高校の文化祭で触れた「蛙茶番」。 あれこそが、自分にとって、初めて生で聴いた落語と言うことになるのだと思う。 落語なんてまだぜんぜん興味のなかった十代の頃にたった一度だけ聴いた噺と、今、幾星霜を経て再開した。

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September 20, 2006

鈴本・早朝寄席 06年09月17日

鈴本演芸場 二ツ目勉強会 早朝寄席 

2006年09月17日(日曜日) 午前10:00開演
 
 
日頃の習慣って奴はおそろしいモンで、日曜日だってのに、ついうっかりと7:00に眼が覚めちまった。 早すぎだって。 このところ疲れている筈なんだけれどねえ。
思い立って、鈴本の早朝寄席に出掛けることにする。 折りしも、三遊亭あし歌が一席伺うと言う。
 
 
 
三遊亭あし歌 「金明竹」
傘や猫を借りに来るところから始まる、寄席ではまず聴けないロングバージョンだった。 私はこの噺の前半が好きなので、こういうのは大歓迎だ。

さて「金明竹」と言えばやはり後半、大阪弁の言い立てが聴き処でしょう。
あし歌と言えば、以前に聴いた「鮫講釈」など、滑舌も見事で、かっ飛び落語野郎ってイメージがあった。 この「金明竹」でも、さては立て板に水で一気に捲くし立てるンだろうと聴いていたら、想いの外、丁寧な言い立てにしていたのが印象に残った。 なんでも、慣れない大阪弁に試行錯誤されたそうで、大阪弁のイントネーションに注力した分、丁寧な言い立てになったのかと想う。
 
この言い立て。 演者によってはスピード命。 のっけからギアをトップに叩き込んで、そのまま最後までフルスロットルで駆け抜けるってこともある。 まあ、速けりゃ好いってモンじゃあないだろうけれど、素人としては、ついそちらに期待が行っちまうんだよね。
要は、方向性の問題なのでしょうね。 限界ギリギリの速さでの言い立てを試すも好し。 逆に、無茶な運転はやらず、その分丁寧に、表情豊かに聴かせるのもアリってことではないでしょうか。 但し、後者を選んだ場合、華やかさ、聴き手へのアピールに幾分欠けてしまうのは、まあ、止むを得ない。
あし歌の場合は、言い立てもお終い近く、最終コーナーを抜けたあたりから猛然とダッシュを掛けるスタイル。 聴き手としては、徒に速さを求めるよりも、練った大阪弁の味わいの方に聴き耳を立てるべし。

一体、東京の寄席では、大阪弁のイントネーションと言うのが意外に高いハードルになっているようである。
私の場合、大阪の生まれで、幼い頃に一家で関西を離れたとは言え、両親は生涯大阪弁で通した。 毎日大阪弁に触れて育ったわけだから、自然採点が辛くなってしまうのは、まあ止むを得ないでしょう。
あし歌の語る大阪弁は、あっさりと品も好く、大阪人が聴いて嫌味に感じることもない。 まずは成功と言えるのではないか。
 
 
川柳つくし 「権助魚」
この噺、寄席で聴いていて、退屈してしまうことが間々あるのですよ。 冒頭のあたりを聴いただけで、なんだか先まで読めてしまって、こうなるともう、あんまり楽しめない。
その点、この権助魚は演出に工夫があり、フレッシュで、とっても楽しかった。 鮮度で勝負!
ぎょ!->うぉ!->ふいっしゅ!のギャグが可愛いや。 お内儀さんの悋気が、少しもヒステリックに聴こえないのも好かった。
 
 
三遊亭金翔 「そろぞろ」
この人の風貌って好きなんである。 ちょっと朴訥で、まあるくて、やわらかで。 好いよね。
噺の方もそれに相応しく、牧歌的とでも言うんですか? 聴いていて和んじまって。 それで、あんまり気持ちが好いんで・・・・ごめんなさい、ここいらから眠くなって来た。
 
 
柳家喬之進 「粗忽の使者」
金翔とは正反対に、シャープな風貌の噺家さん。 ゴメンナサイ。 この噺も、ユメウツツに気持ち好く聴いてました。 それにしても毎度ながら、地武太治部右衛門さんの忘れん坊大将ぶりは、他人ごととは思えないねえ。
 
 
寄席がはねて、表に出たら未だお昼である。 まずは飯喰って、それからナニしようか。
早朝寄席って、一日が永く使えて有難いですな。

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August 27, 2006

高木東六さんご逝去

作曲家の高木東六さんが、この25日に亡くなられた。 享年102歳。
 
ずっと昔、都内の合唱団で歌っていた頃、地域の合唱祭に講評者として高木東六さんを迎えたことがあって、その折に、みんなで高木東六さんの合唱曲を歌ったことがある。 確か、混声四部で全編スキャットで歌う軽快な曲だったと記憶しているけれど、生憎と細かいことは忘れてしまった。 高木東六さん(もちろん、その頃すでに重鎮と言えるお歳であった筈)を私が目撃したのは、その時一度だけである。

それから、「水色のワルツ」・・・・と言って、今ではご存じない方も多いかもしれないけれど、戦後のヒット曲があった。 もう数年前になるけれど、私はその「水色のワルツ」を某所でフルートで吹いたことがあって、その折に頂いた暖かい拍手は、忘れられない好い想い出になっている。

高木東六さんのヒット曲と言えばもうひとつ、「空の神兵」が印象深い。
これは太平洋戦争の緒戦で活躍した日本軍の落下傘部隊を称えた、如何にも戦勝気分の横溢した明るい雰囲気の軍歌である。 私が子供の頃に両親、伯父、叔母らが集まっての酒宴では、必ずこの歌が出たのを覚えているけれど、両親らの世代(戦時中に子供時代を過ごした)にとっては、この曲は軍歌というよりは、その世代で共有する懐メロと言う位置付けなんだろうと想う。

今、私はこの「空の神兵」を、寄席で川柳川柳師匠が、それはそれは気持ち好さそうに歌うのを折々聴く。
川柳師匠によれば、当時日本と同盟関係にあったドイツとの間で、お互いの軍歌を交換しましょうと言う企画があり、その折ドイツ側が、沢山の日本の軍歌の中から選んだ一曲がこの「空の神兵」なのだそうである。 ドイツではこれは、落下傘部隊ならぬ自転車部隊の歌に仕立てて自国の軍歌に加えたとのこと。 (川柳師師匠、ここンところで、「空の神兵」をデタラメのドイツ語で歌ってみせて笑いを獲る!)
数多ある日本の軍歌の中から、この名曲「空の神兵」を選んだドイツは、やはり多くの大作曲家を生んだ国だけのことはあると言う川柳師匠。 「連中は流石に耳が好い」との指摘には、私も大いに頷いてしまう。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

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August 13, 2006

浅草演芸ホール八月中席<住吉踊り>

2006年8月12日(土曜日) 浅草演芸ホール<昼の部>
 
 
睡い眼をこすって午前中から浅草演芸ホールに向かう。 お目当ては毎夏恒例の住吉踊り。
思えば私は、昨年の住吉踊りを見逃しているのである。 その頃仕事が立て込んだお陰で休日出勤が続いて、寄席通いどころではなかったからなんだけれど。 今年はこうして住吉踊りが見れるのだからして、なんのかの言っても、昨年よりはずっとユタカに暮らせていると想う。 その幸せを心して噛み締めるべし、である。 住吉踊りと言うことからか、この日の浅草演芸ホールは大入り満員。

今日はお終いに住吉踊りが控えているせいか、大概の噺が短めに切り上げられるし、なかには、パっと出て小話やってスっと下がる、なんてえ噺家さんもいる。 聴いているこちらも、一席一席を頑張って聴こうなンてことはしないで、(眠いのも預かって)思いっ切り寛ぎながら愉しませてもらうことにした。 よって、記憶もかなり曖昧になっちゃってる。 ゴメンナサイ、半分くらいはぼーっとして、夢うつつに聴いてました。
 
 
前座 初音家左吉 「たらちね」

五街道佐助 「鰻屋」
佐助は上手くなったね。 今日はトップバッターからして充実の出来だった。

柳家小菊 粋曲

三遊亭金時

笑組 漫才

三遊亭とん馬

三遊亭圓王 「お菊の皿」

翁家和楽社中 太神楽

桂小文治

雷門助六

すず風にゃん子・金魚 漫才

金原亭世之介

三遊亭吉窓

江戸家まねき猫 動物ものまね
猫がご飯をねだる時の鳴き声ってのを、はじめて知りました。

古今亭志ん弥

あした順子・ひろし 漫才

鈴々舎馬風

金原亭駒三

古今亭志ん駒

松旭斎美智・美登 マジック

春雨や雷蔵

金原亭伯楽

柳家小りん

三遊亭小円歌 三味線漫談

三遊亭金馬 「親子酒」

大喜利納涼 <住吉踊り>
住吉踊りは故古今亭志ん朝らが中心になって創めた寄席の踊り。 噺家を中心に芸人さん数十人が揃いの浴衣を着て、さして広くはない浅草の舞台を埋め尽くす総踊りは壮観だし、その間に差し挟まれる、いろんな踊りやギャグも粋だ。

志ん朝師をはじめとする発足当初の中核メンバーの何人かがもういない。 (そういえば一昨年、この場で中心になって踊っていた、圓彌師匠が今年他界されている) その反面、若手が次々に参加して住吉踊りの将来は明るいようで、まことに結構なことである。 メンバーは踊りの玄人ばかりではないようで、上手下手にかなり差が見て取れる。 そういうのがまた、アットホームな雰囲気につながって、好もしいのである。
それにしても、あー楽しかった。
 
 
        ▽▲▽▲▽▲
 
 
2006年8月12日(土曜日) 浅草演芸ホール<夜の部>

昼の部が終わって、そのまんま客席でぼんやりとしていたら、夜の部が始まっちまった。 そのまま愉しでゆくことにすることにする。
外は大雨なんだそうで、そのうちに雷が鳴り出した。 なにしろ、客席に座ってもゴロゴロ聴こえて来るくらい。 山の手線が止まったのなんのって騒ぎらしい、どうやら、夜の部まで居続けて正解だったみたい。
 
 
前座 林家たこ平

林家ひらり

花島皆子 マジック

川柳川柳

近藤しげる アコーディオン

林家うん平

昭和のいる・こいる 漫才

林家錦平

林家正楽 紙切り

入船亭扇橋 「ろくろっ首」

古今亭志ん五 「不精床」

翁家勝丸 曲芸

柳家さん喬 「代わり目」

ロケット団 漫才

林家種平

桂文楽 「権助魚」

三増紋之助 曲ごま

林家しん平

林家ペー 漫談

林家いっ平 「荒茶」
本来、この番組のトリは兄の正蔵だったのだけれど、その正蔵は徳島の阿波踊りに招かれたんだそうで、その代演としてのいっ平のトリである。
この「荒茶」、以前聴いたときに比べて格段の進歩が見られてかった。 いっ平の隈取の濃いルックスを生かした、戦国武将の演出が楽しい。 この噺、当人も余程好きなんだろうね。 加藤清正、福島正則をはじめ、戦国武将の厳つい顔立ちをコミカルに演じてみせても、決してスマートさを失わないのは、タレント一家に育った強みか。 ハイテンションで通す熱演で、これならばナットク。 この出来ならば、正蔵を聴くよりもかえって好いくらいかもしれないと想って、満足して帰路に着いたのである。

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July 23, 2006

黒門亭 2006年7月第4週

2006年7月22日(土曜日) 黒門亭 <2006年7月第4週>


頑張って休日出勤をするも、もう死にそうに眠くって、まるで仕事にならない。 こんなことならば、無理して出て来なきゃ良かった。 仕事を16時頃に切り上げて、でもこのまま帰る気にもなれず、上野の黒門亭に向かう。


前座 三遊亭たん丈 「八九升」
2年前、42歳で三遊亭円丈の下に入門したと言う、落語協会最高齢の前座さんである。
実年齢の割りには若々しいし笑顔も爽やかで、なにより声のデカイのが好い。 それに、歳の功と言うべきか、フツーの前座さんと比べて、物腰が穏やかでとっても感じが好い。
当人、そして周囲の前座さんや二つ目さんも大変と思うけれど、頑張って真打まで行って欲しい。


入船亭遊一 「たがや」
夏らしい噺が出た。 

     橋の上玉屋玉屋の声ばかりなぜに鍵屋と云はぬ情なし

若くって活きの好い遊一のキャラはそのまんま、たがやをはじめ、橋上の江戸っ子たちに重なる。


古今亭菊春 「お菊の皿」
独特の雰囲気を持った人。 なんか、ふにゃ~っとした、この捉え処のなさは一体なんなんだ。 そうかと思えば、井戸からお菊の幽霊が現れる場面では、一転して凄みさえ漂わす。 この噺は、演者によってお菊さんの描写が様々なのが愉しい。


桂南喬 「松竹梅」
南喬は悠揚迫らぬ大人の風格があって好きだ。 マクラは師匠である先代金馬、小南の想い出から、夏の日のエピソード。

     「なったーなったージャになった。 当家の婿殿ジャになった。」

謡い(?)のところが、いまひとつ不器用かな。 でも、そんなところがまた南喬らしくて好もしいのである。


橘家二三蔵 「きゃいのう」
マクラでは師匠である黒門町、八代目文楽の想い出の他に、電波にゃ絶対乗らない、いや寄席でも聴けないシモネタまで。 あんまりウケない。
ベテランらしく、押し出しの好い噺家なんだけれど、一々噛んじゃうクセあり。 そのせいで、聴いていてだんだんと疲れて来る。 この人の場合、その落語世界がなんだか妙に殺伐としていて、オモシロ味が薄いよう想う。 ブラックな魅力で聴かせると言うんでもないしね。 サゲまで聴いて、とうとう楽しめる要素を見付けることが出来なかった。

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March 07, 2006

鈴本演芸場三月上席

2006年3月5日(日曜日) 鈴本演芸場 <昼席>

この日は野暮用があって、朝から取り掛かるつもりでいたのだけれど、電話連絡があって、夕方からに延期するとのこと。 おいおい、大丈夫かなあ。
なんだか日中が無為になった気がして、ガックリと来てしまう。 それを言い訳に、と言う訳ではない・・・訳でもないな。 ハハ。 (罰当たりなことに!) またしても寄席に行って、夕方までの時間を潰すことにする。 折りしも鈴本演芸場で歌之介がトリを務めているのである。 これを聴き逃す手はないって。
日曜日と言う事で、鈴本はほぼ満員のお客さん。 活気があって、好い感じで落語に浸れる。 客席が、ちょっとばかり落ち着きを欠くのは、この際止むを得ないわい。


前座 金原亭駒春 「転失気」

三遊亭あし歌 「子ほめ」
上手い! 立て板に水。 滑舌の好さを味わえる一席だった。 あし歌の特徴と言えば丸っこい顔形に美肌(♂だよ)だけれど、それに加えて、如何にも鼻っ柱の強そうな性格が、好い方向に働いていると思う。 三三が真打に昇進しようという今、自分の中では、あし歌を二つ目のホープとして位置付けている。

花島世津子 マジック

古今亭菊之丞「浮世床」
これも上手い! 菊之丞の「浮世床」は何度聴いても愉しい。
芝居見物のところだけに絞って、他をカットしたのも好かった。 音羽屋に声を掛ける、その調子の好さと来たらないよ。 菊之丞の個性が光る、一番美味しいところだけ取り出した格好だ。 とやっ!

三遊亭歌る多  「初天神」 と踊り「かっぽれ」(イナバウアー付き)
歌る多の演じる子供が小憎らしくも可愛い。
噺を終えて「かっぽれ」を踊る、その途中でイナバウアーを試みる歌る多師匠。 着物じゃあムリだってば!
去り際の投げキッス、カッコ好し。

三増紋之介 曲独楽

金原亭伯楽 「こえがめ」
これも好かった。 伯楽の演じてみせる、困ったナーって顔が可笑しい。
それにしても、シモネタって、こうも受けるもんかい。

桂藤兵衛 「半分あか」
とても綺麗な落語。 でもその分、これまでの噺家に比べて小さくまとめちゃってるの感があるのも確かなのである。 今日の、この流れの中では幾分損をしているかもしれない。

すず風にゃん子・金魚 漫才「ハッピー不動産」

桂文楽 「時蕎麦」
昼席で、しかもこの日は暖かであった。 あんまり、「時蕎麦」と言う雰囲気ではないですな。
ウケていたけれど、自分的には大味でイマイチと思った。

  <中入り>

ぺぺ桜井 ギター漫談
殆んどが新ネタだった。 今までずっと同じネタしか聴いた事が無いので、ちょっと驚いた。

柳亭小燕枝「強情灸」
これも上手い! なんだか今日は中堅陣が快調ではないか。 小燕枝のクラシックな風貌と語り口が活きている。

柳家小袁治「紀州」
小燕枝(こえんし)に小袁治(こえんじ)と、似たような名前が続いて、紛らわしいったらありゃしない。
噺の方は、安定感のある語り口で好かった。 安心して落語に浸り切れるよ。

柳家紫文 三味線漫談
何時もの鬼平ネタだけれど、初めて聴くネタ多かった。

三遊亭歌之介 漫談
いつも通りノンストップ、ハイテンション、爆笑型の高座。 どこかで幕末龍馬伝にでも移行するのかと思っていたら、とうとう最後まで漫談であった。
なにかネタをと期待していたので、その点はちょっと残念かも。
ま、面白かったから好いや。

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February 17, 2006

寄席芸人伝 3

「寄席芸人伝」  -型破り落語家列伝-

     古谷三敏著  ファミリー企画 

「寄席芸人伝」の三冊目。 これも近所のコンビニで買い求めた。
今回は落語界の奇人変人特集。 勿論、これは噺家にとって貶し言葉ではない。 登場する噺家たちは、世間様の基準には収まり切らない、とは言えただ変わってるだけじゃあなしに、そこに一本芯の通っている連中である。
相変わらず、時代設定は明治から終戦直後辺りまで。 あえて現代の落語界を描かないのが、この漫画ならではの拘りで、これは噺家が最も噺家らしく生きていた、その「時代」を描いていると言う訳だ。
「破礼噺花蝶」と言う作品に見る戦時中の寄席では、時流に迎合した噺家が「出征祝い」、「戦線便り」、「敵前上陸」なんて言う噺をやって人気を博している。 (これらが実在した噺かどうか、私は知らないけれど)
この手の戦時落語(?)に限らず、忘れ去られていった噺と言うのは、それこそ浜の真砂程もあるんだろうね。 私は古典落語が好きだけれど、それらは長い時間の中で淘汰されていった末の「クラシック」だってことは、常に意識しておきたいと思っている。

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February 15, 2006

鈴本演芸場二月中席

2006年2月12日(日曜日) 鈴本演芸場 <夜席>

桃川鶴女の会が終わって未だ時間が早かった。 鈴本の前を通りかかったら丁度中入りである。 バカだなあ、と我ながら思いつつも、割引料金で入ってしまう。

それにしても、寄席で落語を聴くのは実に久しぶりのことである。 最後に寄席に入ったのは、確か、テレビで落語を題材にしたドラマがヒットする前のことだったんじゃあないか。 (あの番組を、私は結局一度も観ていない)
桃川鶴女さんがマクラで喋っていたけれど、かつてNHKの朝の連続テレビ小説「やんちゃくれ」で主人公が女流講談師になった時は、講談入門者がドカドカッと増えたのだそうな。 その人たちは、今ではみんな講談を止めちゃったそうだけれど。 やっぱりブームに乗ってやって来る人は、堪え性がないんだろうか。
で、去年の落語ドラマのヒットのお陰で、ここ暫くは落語入門者が増えるんじゃないかと思われるけれど、それが落語界にとってタメになるかと言うと・・・う~ん、やっぱり難しいところだと思うよ。


柳家小太郎 「棒鱈」
真打昇進を目前に控えた小太郎。 小太郎の名でやる噺を聴くのは、多分これが最後だろう。
リアルの酔っ払いは嫌いな私だが、落語の世界となるとハナシは別。 棒鱈は大好きな噺だ。 ヨッパラって拗ねるところがとにかく可笑しい。 柳家小太郎。 三月中席からは柳亭左龍を名乗ることになる。

柳家正楽 紙切り

柳家さん喬 「ちりとてちん」
これ、噺の設定はで夏なんだけれど、とは言え夏にはあんまり聴きたくはない噺。 って訳で、この季節にやることになるんだろうね。
この人のこの噺、前にも聴いたことがあるよ。 さん喬はピアニッシモで聴かせる人だけに、表現の全てが繊細で、ラストの「ちりとてちん」嚥下シーンでも過度に大袈裟な演技を見せたりはしない。 そこのところが好もしく感じた。
ところで、この噺の主人公は気侭なご隠居暮らしで、お清ってのはその隠居所の女中と言う設定なのだと、この日初めて気が付いた。 ハハ。

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February 14, 2006

桃川鶴女の会

桃川鶴女の会

2006年2月12日 (日曜日) お江戸上野広小路亭

日曜日の朝。 貴重なオフの一日である。 すっきりと目が醒めたものの、朝からおっそろしく気だるい。 だったらも一回寝てやるか・・・とも想うけれど、べつにそれほど眠い訳ではないのである。 半ば空気の抜けた風船みたいなモンで、なにもかも中途半端のまま手が付かない気分。 やらなきゃならんことは山積しているんだけれど、なんだか、このまま何もせずに一日が終わりそうな予感がして来た。 そうだ寄席に行こう!と思い立って、我が家から一番安直に行ける上野に向かった。

久々に上野広小路亭に入ったのだけれど、ここで大間違いを仕出かしてしまった。 この日、ここで催されていたのは落語ではなくて講談の会なのである。 桃川鶴女の会なのである。 ウッカリしていたどころではない。 我ながら、一体どうしたらこんな間違いが出来るんだか・・・・ それも、開演してしばらく経ってから漸く、その事実に気が付くと言うていたらく。 落語を聴く積もりで上野まで出て来たのにね。 やれやれ。
やっぱり今日はどうかしているよ。 ま、いっか と思い直して講談に聴き入るのである。 もともと、講談も好きなのだし。

一龍斎貞寿
さて、この会の一番手は一龍斎貞寿。 キビキビと活きが良くて爽やかな若手女流講談師である。
これは全く、素人の個人的な見解だけれど、女流の落語に比べて、女流の講談の方が、ずっとのびのびと演じているように想える。 落語に比べて、女性として無理を強いられる部分が少ないのかな。 ともあれ女流に関しては、講談の方が聴いていてずっと楽しい。 そんな印象を持っているのだ。 ここでも貞寿さんの楽しげで、時に一途な語り口が聴き手を惹き込んでゆく。 今日の3演目の中では、これ一番好かった。

一龍斎貞秀
二番手は男性。 ひょうひょうとした語り口で綴る、コミカルな描写が楽しい。 あまり劇的な描写は、得意ではないんだろうか。 根多は、貧乏な武家が金を借りに歩く。 さらに、長年仕えてくれた老臣から、五家宝と安部川餅のお土産を所望されると言う、なんだかノホホンとしたお話し。 語りが、少うしぎこちない気がした。

桃川鶴女
さてトリである。 マクラ長すぎ! その内容も、自分の近況報告やらこれからの活動のPRばかりで、この会の常連さんならばともかく、一見さんのこちとらには、あんまり面白くもない内容である。
根多の方は、不器用な職人の息子と、その息子を気遣う母の話し。 貞寿さんのところで女流講談は女流落語よりも好い、みたいなコトを書いたけれど。 ここで前言撤回しなければならない。 自分は女流講談でも、母ものはニガ手だと知ったのである。 しかも、鶴女さんの場合、テクよりもパワーで乗り切るタイプのようで。 なかなか話しに共感する事が出来ない。 淡々と語り進める母ものならば、こちらも泣くのかもしれないけれどねえ。

この講談の会、なかなか好かったけれど。 意外に早く終わってしまって、ちょっと物足りない、喰い足りないと言う気分が残ったのも確かである。 これからも、機会があれば講談を聴いてみたいと思っている。

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November 21, 2005

Vの悲劇

それは今朝方のこと、部屋の高い場所に仕舞ってあるものを取ろうとして、椅子の端っこに脚を掛けて伸び上がったら、その途端にすってんと椅子ごとコケた。

その椅子の上には元々、沢山の本とCDとを乱雑に乗っけてあったのである。 だから、椅子に脚を掛けるにしても、真中に体重を預けることが出来なかったと言えるのだけれど。 とまれ自分の体と共に、椅子の上を散らかしていた本とCDをも床にぶちまけることになった。

椅子から落ちても我が身に怪我は無かったのだけれど、その替わりに左足に何物かを踏んずけたと言う確かな手応え、いやさ脚応えがあった。
おそるおそる足元を覗いてみると・・・・・あ~あ、やっちまったよお。 見事CDの上に脚を付いてしまったのである。 犠牲になったのは、古今亭志ん朝師匠の「付き馬」と「三年目」を収録したCD。 普通、CDを真横から見ると'-'だけれど、志ん朝師のCDは真中で折れ曲がってしまい、横から見た形は'V'である。 なるほどねぇ、CDてえのはLPやお煎餅みたいにバキッと割れたりはしねえんだなぁ・・・・なんて感心してちゃあいけない。 こいつあ日頃の整理整頓が余程悪い、その罰が当たったてえ奴だ。 トホホ・・・・・

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October 30, 2005

寄席芸人伝 2

「寄席芸人伝」 古谷三敏著 ファミリー企画 

以前、近所のコンビニで買い求めた「寄席芸人伝」の事を書いたけれど、これの続編が出ていたので早速読んでみた。

今回もストーリーと、作中で語られる落語とが巧みにリンクしていて、なかなかに読ませる。 どれもフィクションと想うけれど、登場人物には三遊亭円遊や桂文治など、現在まで引き継がれている名跡が出て来る。 こういうビッグネームが出て来ると、途端に物語がリアリティを帯びて、こちらに迫ってくるような気分になって来る。

古谷三敏の絵は単純明快な線ばかりで構成されていて、影の部分があまり無い。 スクリーントーンなど、滅多に使っていないのではないか。 それでいて、登場人物一人一人の性格、年恰好の描き分けが実に巧みなのが凄いと想う。 マンガの舞台となる、明治から戦前の昭和までに掛けての都内の風景や風俗も、空白の矢鱈と多い構図で表現するお陰か、全体的にのんびりとした明朗な雰囲気が漂って、陰湿なところは少しも無い。

世間の落語ブームは、未だ続いているんだろうか? このところ、すっかり寄席から脚が遠のいているので、最近の状況が良く判らないでいる。 この地味な(?!)落語マンガは、ブームになんて乗らなくて良い。 その代わりに、長く読み継がれて欲しいと切に願う。 それだけの価値があるよ。

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October 27, 2005

爆笑龍馬伝

都内のとある寄席。 出囃子の「我は海の子」が鳴って、三遊亭歌之助が高座に上がる。 色浅黒く、きりりと引き締まった、なかなかに男前の噺家である。 しかし、だ・・・・・これが一旦喋り始めると、雰囲気はガラリと変わって2.5~3枚目辺りまで下降する。 けれどその反対に、それまで落ち着いていた客席のテンションはあれよあれよと急上昇を始め、寄席は何時しか爆笑の坩堝と化してしまう。
これは、その歌之助の新作落語、「幕末龍馬伝」の一席を納めたCDである。

   「笑うたらいかんぜよ!! 爆笑龍馬伝」
       三遊亭歌之助
                   KING RECORD KICX 651

このCDの標題は「爆笑龍馬伝」となっているけれど、落語の題名としては「幕末龍馬伝」が正しい。 確かに、CDの標題を「幕末龍馬伝」にしたら、坂本龍馬のマジな評伝と間違って買ってしまう人もいるかもしれないから、これはこれで懸命なネーミングと言えるかもしれないね。 

鹿児島県出身の歌之助の高座は実直でいてどこか剽軽。 真面目にやればやるだけ可笑しいタイプだ。 ここでは坂本龍馬に付いて熱く語る訳だけれど、話の途中で、ついつい身辺のあれこれ、鹿児島に住むご母堂のことや、苦手の飛行機に付いてなどへと、すぐに話題がそれてしまって、なかなか先に進まない。
そう言えば学生の頃、授業中に話が脱線しまくる先生がいたなあ。 その、授業とはまったく関係の無い話がとても面白くて、クラス中が聴き入ったモンである。 この落語もまた、しょっちゅう話を脱線させた挙句に客席を大笑いの渦に巻き込み、さて・・・・・何の話だったっけ?と我に帰っては、慌てて本題の龍馬に戻ると言う格好である。
寄席で聴くと、時間の都合で後ろの方を端折ってしまう事が多いけれど、このCDではしっかりと龍馬の最期までを語ってくれる。 そして、そのついでと言っちゃあなんだが、小泉首相までバッサリとやってくれるのである。

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August 21, 2005

寄席芸人伝

「寄席芸人伝」 古谷三敏著 ファミリー企画 

標題の漫画を、仕事帰りにコンビニで買い求めた。 これは、最近流行の、往年の名作コミックの復刊と言う奴である。
この「寄席芸人伝」は、ずっと昔(初出は80年代)、兄が何冊も買い求めていたのを、自分も読ませて貰った事がある。 その兄は、特段落語好きであったと言うことも無くて、ならば、どうしてこのコミックにご執心であったのか、そに理由に付いては未だに知らない。
何しろ、自分もその当時、落語に付いては何も知らなかったしね。 落語と言えば、それこそ、テレビに映るのを偶に目にするくらいであったと想う。 でも、この漫画の方は、なんの予備知識もなしに読んでさえ、とっても面白かったのを未だに覚えている。

その懐かしい漫画を、今回、実に久しぶりに読み返してみた。
舞台は、明治から昭和初期辺りに掛けての落語界。 まだ、都内のそこいら中に寄席のあった時代である。 (作中のカットに度々描かれる、各地の寄席の玄関の図など、今では新宿末広亭でしかお眼に掛かる事が出来ない)
毎回、異なる噺家を主人公に、噺家社会の哀歓や寄席、遊郭の風情を淡々とした筆致で綴って、中には、結構泣かせられる話しもあるのだ。

作中で高座に掛けられる噺も、あの頃は、それこそ何の気なしに読み飛ばしていたけれど、いっぱしの落語ファンを気取っている今になって改めて読んでみると、それぞれがストーリーとしっかりリンクしているのが良く判る。 実に緻密な構成であったのだと、今頃になって知ったのである。 これは、自分にとっては、かなり痛快な発見であった。 まあ、歳を取ると、こう言った事にも出くわすってことだね。

古谷三敏のシンプルな絵がまた良くて、今見ても、少しも古さを感じさせられない。 テレビからは決して得られない、寄席ならではの空気感が伝わって来るのだ。 そこにあるのは、当節の漫画には滅多に見ることの叶わない、大人の顔、男の顔をした噺家たちの姿である。

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June 18, 2005

三語楼と三三

落語教会のHPによると、柳家三語楼が2006年9月下席に大名跡六代目柳家小さんを襲名するとのこと。
三語楼と言えば先日鈴本演芸場で「青菜」を聴いたところである。 端正な芸風が、小さんと言う一般にも広く知られた(きっと、正蔵よりも有名でしょう?)ビッグネームに相応しいかどうか、評価が分かれるのかもしれないけれど、こういった人ほど、襲名を契機に大きく開花するのではないか。 などと個人的に大いに期待するのである。

同HPでは、この他に真打昇進のニュースも報じられている。 その中に柳家三三の名があるのが嬉しい。 寄席でトリを務める三三を早く聴きたいものだ。

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June 05, 2005

池袋演芸場六月上席

2005年6月5日(日曜日)池袋演芸場 <昼席>

九割方埋まった客席。 反応も好かった。
丁度、前座が演じ終わったところで入場。

柳家喬之進 「寿司屋水滸伝」
喬之進の「寿司屋~」を聴くのはこれで三度目くらいになる筈だけれど、以前と比べてずっと上手くなったと想う。 以前聴いた時は雲丹盛りのプロが出て来るまでだったが、今回はその後、寿司屋を畳んで洋食屋に改装したところまで語った。

林家ぼたん 「転失気」と踊り
二つ目に昇進したてのぼたん。 今回も凛としたハリのある声に、テキパキとした噺ふりが好かった。 踊りは奴さん。

柳家とし松 曲独楽

林家たけ平 「ぜんざい公社」
たけ平も二つ目昇進したて。 ぜんざい公社は久々に聴く、お役所仕事をパロッたある意味分かり易い根多。 最近は、公社と言う言葉を目にする機会が減ったかもしれないね。

入船亭扇遊 「厩火事」
始まったばかりで、なんだかいきなり大いな根多が出て来たな、なんて、若干途惑いながら聴き始めたのだけれど、次第に噺の中に引き入れられていった。 女房の騒ぎっぷりが幾分オーバーで大味のようにも感じられたのだけれど、手綱さばきが実に上手いと言うのか、終始一定の緊張を保って弛緩する事が無く、とても充実した時間を過ごしたと言う実感がある。 サゲはさらりとまとめた。
これが今日一番の出来・・・と、この時は思ったのである。

大瀬ゆめじ・うたじ 漫才

古今亭志ん輔 「宮戸川」
志ん輔の「宮戸川」を、実に久々に聴く事が出来た! これまで何人かの噺家で「宮戸川」を聴いて来たけれど、志ん輔の噺は、若い男女の恋をユーモラスに、爽やかに描いて、なおかつ仄かな甘酸っぱさが残る。 本当にこの人のキャラに合った噺と想う。 サゲのスマートさは、自分がこれまでに聴いて来た「宮戸川」の中で文句なしのベストだ。

   <お仲入り>

柳家小太郎 「羽織の遊び」
枕で、喬太郎が現時点で未だ楽屋入りしていない事に付いてカミングアウトしてしまう。 噺の方は、若旦那の勘違いぶりと奇妙奇天烈な声音が楽しい。 この後に喬太郎、さん喬とテクニシャンが続くだけに、ここにエネルギッシュな小太郎を入れたのは大正解と思う。 
ところで、喬太郎は着いたのか?

柳家喬太郎 「ちりとてちん」
喬太郎、どうやら間に合ったらしく無事に登場。 登場と共に凄い拍手が巻き起こって、今日は喬太郎ファンが大勢いるのだと知る。
噺の方は、そんなファンの期待通りの出来だったと想う。 お世辞の上手な金さん、知ったかぶりの六さんの演じ分けが取り分け見事だった。 喬太郎の人間観察力やデフォルメのセンスは凄いと思う。 圧巻は六さんのちりとてちんの嚥下シーンで、これでもかこれでもかと繰り返すのには客席大爆笑。
扇遊の「厩火事」も好かったけれど、この「ちりとてちん」はそれに勝るとも劣らぬ素晴らしい出来と思う。

林家正楽 紙切り

柳家さん喬 「井戸の茶碗」
さん喬の表現の幅の広さを堪能出来た一席。
派手さや賑やかさ、勢いで聴かせるのではなく、声の強弱、声音の微妙な変化を駆使した落語である。 取り分け、正直清兵衛の弱りっぷりが可笑しい。 一方、高木作左衛門と千代田朴斎は、頑固一徹と言うよりはむしろプライド高く、それでいて物腰は柔らかいスマートな武士と言うイメージを受けるのである。 千代田朴斎が小判を贈られる度に発する「それは・・・・困る。」の繰り返しギャグは最高。
今日は扇遊の「厩火事」、喬太郎の「ちりとてちん」と素晴らしい高座に恵まれたけれど、トリのさん喬も、また流石の貫禄を見せたと思う。 大満足。

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May 22, 2005

鈴本演芸場五月下席

2005年5月22日(日曜日) 鈴本演芸場 <昼席>

今日は中々の盛況で、九割くらい入っていたろうか。 後ろの方は団体さんで、ちょっと落ち着きを欠く。 全体的に、あんまり沸かないお客だった。

開口一番 桂ゆう生 「垂乳根」

柳家小太郎 「家見舞い」
下根多が上手く受ける。 元気の好い噺振りに、客席のざわついた雰囲気が次第に納まっていくのが気持ち好い。

林家二楽 紙切り

林家ぼたん 「子褒め」
二つ目に上がって初めて聴く。 銀色(で良いのか?)の着物か初夏らしく、また若手らしくて気持ち好い。 噺の方も気合充分で、これまた気持ちの好い高座であった。 噺の後に、奴さんを披露。 ぼたん、踊りの方もなかなかである。

柳家さん生 「親子酒」
一席終わる毎に、客席(特に後方)のざわめきがなかなか納まらない。 枕はお酒の話しで、さてはと思ったら、やはり「親子酒」であった。 さん生の演じる酔っ払いは、ひたすら上機嫌で文句なしに楽しい。 客席も好く受けていた。

ペペ桜井 ギター漫談

入船亭扇橋 「道具屋」
客席後方から「聴こえないよ!」と声が飛ぶ。 確かに扇橋は大声ではないけれど、聴こえない原因は、客席(特に後方)がざわついて五月蝿いからなのだ。 「聴こえません? 無理しないようにやってますから。」とマイペースの扇橋師は流石。 噺が進む内に、客席(特に後方)も穏やかになった。

三遊亭歌武蔵 「長短」
最初、相変わらず客席(特に後方)のざわめき納まらなかった。 短気な男の科白が大音量!大迫力!だったのは、あるいは、ざわざわとなかなか鎮まらない客席(特に後方)に向けてだろうか? 気長の男の身振りが実に細やかで、それを巨漢の歌武蔵がやるのだから可笑しさ倍増である。

柳家とし松 曲独楽

鈴々舎馬風 漫談

   <お仲入り>

鏡味仙三郎社中 太神楽
今日は仙三郎、仙一、仙花のトリオ。 仙花は前回、小花とのコンビでは、ほぼノーミスで務めあげたけれど、師匠と一緒の今回は、ちょっと不安定だったかもしれない。 一度、放ったバチを客席に落としてしまい、師匠から「もういいよ!」と言われても、「ちょっとだけ」と言って芸を続けてみせる。 仙花ちゃんの勝気な面を見た思い。

柳家さん喬 「天狗裁き」
さん喬はピアニッシモの人だ。 もちろん、ここぞと言う処では大音声を張り上げるけれど、そこから一転して、囁くような小声でドラマを造ってゆく事の出来る人って、そうはいないのではないか。 さん喬の表現力や懐の深さは、もしも洋楽器に例えるならば、差し詰めクラリネットってところだろうか。
これが、今日一番の出来。

太田家元九郎 津軽三味線

柳家三語楼 「青菜」
枕で、言葉の間の間合いを妙に長く取っていたのは、客席を鎮めるテクニックなのかな? ちょっと興味深かった。
「青菜」とはまた、夏らしい噺が出た。 聴く者を自分の世界にグイグイ引っ張り込むようなタイプでない、端正な、隅々まで好く練り上げられた芸と思った。 これは、根多が「青菜」だったから、なのかもしれないけれど。

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May 18, 2005

鈴本演芸場五月中席

2005年5月17日(土曜日) 鈴本演芸場 <夜席>
 
今日は四割くらいの入りだったろうか。 でも、良く笑うお客で、雰囲気は好かった。
 
開口一番 柳家小きち 「小町」

柳家三之助 「かぼちゃ屋」

鏡味仙花・翁家小花 太神楽
やたっ!
この春晴れて寄席に上がった太神楽の新人二人がコンビで登場。 フレッシュな二人の芸を堪能する・・・と言う訳には、やはりゆかず、少しどきどきしながら見守る格好だ。 上手いのどうのよりも、芸に夢中の青春は、それだけで胸を打つものがある。 芸人とは言え、どちらも同世代の女性より余程あどけなく見える。

柳家三太楼 「動物園」
枕はさっきの太神楽のこと。 寄席に来てこれだけドキドキするって事は滅多にないものだそうで、(つまり、日頃はベテランの師匠方がカッチリとやってのける芸を新人が取り組むのに立ち会う訳だから)客席もドキドキしたろうけれど、楽屋はもっとドキドキしていたんです。 実は、みんな袖まで見に来てました。 「あ!あ~~~こ、小花ちゃん~!・・・・・・ほっ。」 お席亭に至ってはさらにドキドキしていたらしい。
噺の方も文句なしに楽しくて、これが今日一番の出来

柳家はん治 「君よモーツァルトを聴け」
これは桂三枝の新作。 魚屋が息子を診て貰ったお礼を言いに医者の家を訪れた。 医者は根っからのクラシック音楽で、魚屋を相手に薀蓄を語り、レコードでアイネ・クライネ・ナハトムジークを聴かせる。 (医者はLP、それもマニュアルのプレイヤーの愛用者だった)
医者がアイネクの事をソナタと言ったり、モーツァルト一家がイタリア、フランスはもとよりイギリスやスペインにも旅したとか言う。 この辺はきっと確信犯でやっているんだろうと思う。 クラシック音楽を変に茶化す訳でもなく、割合と面白く聞けた。

大瀬ゆめじ・うたじ 漫才
初めて聴く根多だった。 鰻屋のウナギは果たして養殖か和食か・・・ うたじの生真面目なキャラを生かした、鳥の巣と同じようなパターンが楽しい。

入船亭扇橋 「弥次郎」
扇橋の弥次郎は初めて。 キャラ的にピッタリ来て実に好い感じ。

柳家喜多八 「だくだく」
枕長過ぎではないか。 噺に入るまではかったるそうに話すので、長いと持たないのだ。 噺の方は手馴れた感じで流石。

   <お仲入り>

三遊亭歌武蔵 「新聞記事」
五月場所中ではあるが、相撲ネタは出なかった。 歌武蔵は繰り返しのギャグが強い。
それから、斜め前方に座ったおっさん、噺の途中で携帯メールのチェックは止したが好いよ。

柳家とし松 曲独楽

柳亭燕路 船徳
燕路は活きが好くって好きだ。 小柄な燕路の船上のやりとりは、身振りが大きくてこれが楽しい。 水辺の恋しくなる炎暑の頃にまた聴きたいと思う。

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May 09, 2005

「スケすけイチバ」の案内ハガキ

先程、帰宅したら、落語会の案内ハガキが届いていた。

  「スケすけイチバ」
   5月25日(水)
   時間 : 18:30~21:00
   場所 : 池袋演芸場(03-3971-4545)
   料金 : 2,500円(前売 2,000円)  
   柳亭市馬「猫忠」他一席
   橘家蔵之助「錦の袈裟」
   五明楼玉の輔「死神」

「スケすけイチバ」は、三人の若手噺家(柳亭市馬、橘家蔵之助、五明楼玉の輔)が定期的に催している落語会で、自分も昨年一度聴きに行っている。 とっても楽しかったので、是非ともまた聴きに行きたいのだけれど、当日仕事が何時頃あがるか判らないので、今の処ハッキリとしかねている。

さて、我が家に届いたハガキの差出人欄を見ると、きっとゴム判を捺したのでろう、「五明楼玉の輔」とあって、その両横に住所と電話番号とが添えてある。 これは無論、本名の筈はない。 でも、この住所で「五明楼玉の輔様」宛てに手紙を出したら、果たして実際に玉の輔さんの手元に届くものなのかどうか、ちょっと試してみたい気もする。

それにしても、ハガキに宛名(つまり、もとよしの住所氏名)を記す玉の輔さんの筆跡と言うのが、もう超個性的である。 金釘流・・・って言うんでもないか。 流れるような・・・違うなあ。 めめずがのたくった・・・し、失礼な! ともあれ本当に、これは一度見たら忘れられないよ。
そんな玉の輔さんの筆致に興味のある方には、ご自身で「スケすけイチバ」に出掛けて、会場で配られるアンケート用紙に、ご自分の住所氏名を書いてみる事をお勧めする。 暫く経った後に、次回の「スケすけ~」の案内ハガキが、あの超個性的な筆跡の宛名で届く筈(た、多分)である。 もちろん、噺の方は腕っこきの三人であるから、聴きに行って後悔する事などないと、これはもう、自信を持ってお勧め出来るのである。

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April 29, 2005

「落語ワンダーランド」

「落語ワンダーランド」(ぴあ)を読んだ。
お悩み別作品ガイド100席&古今東西の噺家100人以上登場!なんて言う、随分と長い副題が付いている。

コンセプトとしては初心者、または、これから落語を聞いてみようかと思う人が読む本を目指したと言う。
内容は実に多岐に渡っており、暇つぶしにパラパラとページを捲るには持って来いの内容と思う。 実際、この一月ばかり、自宅で手持ち無沙汰の時は、この本を眺めて過ごす事が多かったのである。

特に面白かった処を挙げてみると・・・
<噺の処方箋>
古典落語のあらすじを紹介するってのは、よくある企画だけれど、ここではより面白く読ませる工夫をしていて、上手く仕上がっていると思う。

<噺家百傑>
東京の噺家から100人を選んで、写真入りで紹介。 噺家さん一人一人に付いているキャプションが実に上手くて、これを書いた人は相当の落語通なのだと判る。
自分の知っている噺家さんに付いては「そう、そう!」と肯きたくなるし、知らない噺家さんに付いても、何時か聞いてみたいものだと思わせられるのだ。 いかんせん、紹介する数が100人に絞られているため、相当数の噺家さんが漏れた側に回る事になる。 だから、「どうして自分の好きなあの噺家さんが入っていないのか?」などと詰め寄りたくもなるのである。 その辺りは選者の主観に任せて、こちとらはそれをも楽しむべしと心得てはいるけれどね。 なお、紹介されている中で、桂文朝さんは既に故人である。(合掌)

<師弟仁義>
柳家さん喬、柳家権太郎、三遊亭小遊三、三遊亭楽太郎、立川志の輔の各一門を写真入りで紹介。 好いな。 こういう昔ながらの師弟関係が残っているってのも、落語の魅力の一つだと思う。 写真はどれも、ある意味ベタな記念写真風構図なのだが、これが実に綺麗に撮れていて、ちょっと惚れ惚れしてしまう。

総じて読み応えのある記事が多くはないと思うけれど、入門者向きをうたう以上、内容が広く浅くになるのは仕方が無いかもしれないね。 
あと、初心者向きとすれば、値段が高すぎると思う。(寄席の木戸銭より少し安いくらい)
それから、とじこみ付録CD「不滅の東西名人名作落語集」は、これは断じてマニア向きだよ! 収録されている五代目古今亭志ん生、三代目柳家小さんなど、音源が古くてノイズの彼方から聴こえて来る噺は、初心者にとっては敷居が高すぎるのではないか。 落語未経験者に聞かせたら逆効果になると思う。
ちょうど、クラシック音楽の入門者に、フルトヴェングラーやメンゲルベルクのSP復刻版(ノイズの彼方から辛うじて音楽が聞こえて来る)を聴かせるようなものか。

雑誌の造りとしては綺麗で手馴れていると思うけれど、落語の雑誌とすれば残念ながらあちこちツボを外している気がする。 期待して手に取ったけれど、まあまあだったかな、と言うのが率直な感想である。

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April 20, 2005

桂文朝師逝去

落語家の桂文朝さんが急逝された。 突然の知らせに愕然としている。
文朝さんは、自分が落語ファンになるきっかけとなった噺家さんの一人である。 CDを繰り返し何度も聴いたし、寄席に足を運んで実際の高座にも接している。 特に好きな噺家さんとして常に注目して来たのである。 もっともっと、いろんな噺を聴かせて欲しかった。
心からのご冥福をお祈り致します。

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February 17, 2005

蟇の油


  キャラ的に蟇の油の口上がにあふをとこのあはれきまじめ


「蟇の油」は、先月の末に聴いた、立川談笑の第39回月例独演会での演題のひとつ。
掲出歌は、それとは直接関係がある訳ではないけれど、まぁ、そこからイメージを膨らませて生まれた短歌、とでも言った処である。 自分の詠む歌には、こんな風に、落語をネタにしたものが結構ある。

このところ展覧会通いが続いたけれど、寄席に行ってみたい気分にもなっている。 とは言え、それでなくとも、やらねばならない事が山積みだし、時間のやり繰りが大変に難しいところ。
落語聴きたしその時間なし、だ。 そのうちに、禁断症状が出て来るかもしれない。

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February 08, 2005

キクラクゴ

キクラクゴを聴いた。 林家木久蔵の新作落語二席を収録したCDである。

「昭和芸能史」 2004年10月2日 にらやま寄席(韮山時代劇場大ホール)
「彦六伝」 2004年9月6日 第40回栃木市民大学 笑いは文化(栃木市文化会館大ホール)

どちらの演目も、木久蔵の代表作(と言うか、自分はこの他に知らないんだが)で、もう安心して笑いに身を委ねてしまえる逸品と思う。

「昭和芸能史」は、片岡千恵蔵はじめ往年の映画スターのモノマネが、もう滅茶苦茶に可笑しい。 繰り返し何度聴いても笑ってしまうので、これはもう天才的と言って良いのではないか。 そもそも自分は、ここで木久蔵の語るそのオリジナルを殆んど知らないままに笑い転げているんだから。 それと、声色を面白おかしく茶化しているのに、悪意を微塵も感じさせないのが好い。  これは、古き好き日本映画へ寄せる、木久蔵からのオマージュなのだと思う。
以前、寄席でこの噺を聴いた時には、このCDのとは別のクスグリで笑わせていた。 あるいは、「昭和芸能史」と言う噺は長年の間に培った数多のクスグリから成っていて、木久蔵は演じる毎に手を替え品を替え、違ったクスグリを繰り出して来るのかもしれない。

「彦六伝」では、木久蔵の師匠である林家彦六(八代目林家正蔵)の想い出を語る。 ここでも彦六の声色が、もう破壊的と言って良いくらいに可笑しい。 林家彦六を知らない人でも、これを聴いたら七転八倒して笑い転げるのではないか。 この噺も「昭和芸能史」と同様、彦六に関するクスグリ、珍談奇談からなっているのではないかと思う。
寄席に行くと、いろんな噺家が彦六の想い出話しを語るのに出くわす事があるけれど、それだけ幅広く愛された噺家と言う事なんだろうね。(自分の場合は、彦六を生では聴いていない) この、いろいろの伝説を残した永遠の噺家の語りは、今日CDで聴く事が出来る訳で、本当に有り難いと言う他無い。

自分はこれまでに二度、寄席で木久蔵を聴いた事がある。 やはり、CDやテレビよりも圧倒的に生が良いなあ。 
良く、高座と客席との一体感とか言うけれど、CDやテレビだと自分独りが置いて行かれるような憾みがあるよ。
それにしても、キクラクゴの二席は繰り返し聴いても毎回同じ処で笑ってしまう。 これはもう、立派な古典なのだと思う。

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January 30, 2005

立川談笑 第39回月例独演会

2005年1月30日(日曜日)お江戸上野広小路亭

元々今日は別の用事で上野へ行ったのである。 それが、お江戸上野広小路亭の前で信号が変わるのを待っていたら、丁度これからこの会が始まるのに気が付いた! で、ついフラフラと吸い込まれてしまう事に・・・・ この忙しいって時に、ここで引っ掛っちまうとはね~! 寒い中を並んでいたら(と言っても長い間ではない)、行列の全員に談笑本人から手拭のサービスがあった。

立川談笑に付いて、実は全く知らなかった。 当然、その落語を聴くのもこの日が初めてなのである。 そもそも、これまで立川流の噺家の噺を一度も聴いた事が無かったんだからね。 無理もないけど。
今日は独演会と言う事で、さして広くも無いお江戸上野広小路亭を埋めているのはほぼ全員が談笑ファンなのであろう。その中に、談笑を全く知らない自分も座った。
この会、前座は無しで最初から談笑その人が現われる。と言うか、この会を通して、演じる芸人は談笑独りきりなのであった。 凄いエネルギーと思う。

立川談笑「金明竹」
風邪をひいてしまったそうで、ちょっと苦しそうに見える。 とは言え、今日はどんな具合にやろうかな、などと高座に座ってなお迷っている風が、余裕タップリの風格とも受け取れる。 てっきり真打と思い込んだんだけれど、噺を聴くうちにそうではないらしいと判ってビックリ。
長めのマクラで引き付けておいて「金明竹」へ引き込んだ。 「金明竹」はこれまでに何度も聴いているけれど、前半の、傘、猫、目利きを頼む件は今回初めて知った。 こんなに面白いのなら、もっと演じられて良いのに。 それにしても、旦那が与太郎を叱る(ひっぱたく)タイミングが最高だよ。 後半の達者な口上は東北弁。

立川談笑「時蕎麦」
時蕎麦も、これまで寄席で聴いたものにくらべて、演出にずっと念が行っている。 十六文のトリックに悩む辺りなど、ここまでやってくれたのを観るのは初めてで特に感心した。

立川談笑「蟇の油」
初めて聴く噺だった。 この噺、蟇の油の口上が眼目なんだろうか? そうではない気がする。口上はむしろ導入部であって、けれど、ここがしっかり出来てこそ、後半の、蟇の油売りの酔態が印象深いものになるのではないか。
談笑の口上は、それはそれで面白いけれど、立て板に水の完璧さを求めている訳ではないように思う。 その代わり、蟇の油売りの人物をしっかりと描いて、ラストの修羅場(?!)にまで見事に繋げている。

立川談笑「片棒・改」
これは、談笑ファンにはもとよりお馴染みの噺らしい。 今日ここまでの高座での印象と同じで、古典落語を自由に膨らませて談笑の世界を作り上げていると思った。 だから、「片棒」ではなくて「片棒・改」って訳か? これは取り分け得意なネタらしくて、大変好く練り上げられている印象であった。
噺の合間には古典落語のパロディ、下ネタ、楽屋オチ、時事ネタ、思い出話(子供の頃に流行ったモノとか)、から更にはミッキーマウスまで登場させるなど色々のギャグが矢継ぎ早に繰り出される。 ノンストップだ!
この辺り、容赦がないと言うか、うっかりしていると置いていかれてしまう。 自分にはそもそも全く判らないようなギャグもある。 談笑落語は、落語を誰にでも判りやすくとか言った、良くあるような配慮は殆んど顧みられ無いようである。 自分的には、こう言った聴き手にシビアな姿勢は、いっそ小気味好く感じる。

今日は、立川談笑と言う噺家を全く知らない状態からイキナリその世界に触れて、大変にスリリングな落語体験が出来たと思う。 こんな事って滅多に無いだろう。 大満足で、お江戸上野広小路亭を後にした。

立川談笑、近々真打に昇進するとの事である。 さて、応援して行きたい噺家がまた一人増えたぞっと。

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January 19, 2005

秋葉原と書いてアキバハラ

落語家、柳家小袁治さんの日刊マックニュース平成17年1月17日(月)号で秋葉原の読み方に付いて触れられていた。

小袁治さんに寄れば昔、秋葉原は「アキバハラ」と呼ばれていたと言う。
これ即ち、○○○原と言う地名がある場合、江戸言葉では「○○○ハラ」または「○○○ッパラ」とは言っても、「○○○バラ」とは呼ばないのである。 だから自然、秋葉原も「アキバハラ」と呼ばれていたと言う訳だ。
この原則からいくと、例えば「アキバッパラ」とも呼べる筈だけれど、現在のような「アキハバラ」と言う呼び方はあり得ないのである。

秋葉原と書いてアキバハラと読むって話は、昔どこかで聴いた気もするけれど、落語家、柳家小袁治師匠の言ともなると、また説得力が違うではないか。 今の「アキハバラ」は、本来の江戸言葉の発音が、多数派の使う、所謂標準語に喰われてしまったと言う事なのかもしれない。 電気の街として全国区に昇格した代償みたいなものか。

因みに、落語「牛ほめ」の中で与太郎がエラソーに「秋葉様(アキバサマ)のお札をお貼ンなさい。」(何処にだい?)と言う、その秋葉様は電気街の秋葉原とは違う、静岡県周智郡秋葉山頂にある秋葉神社の事で、防火の神様として信仰を集めている。 【追記:その後調べてみたら、静岡のとは別に、もともと当地にも秋葉神社があったのが、秋葉原駅建設の際に台東区松が谷に移転したとの事であった。 だから、「牛ほめ」で与太郎の言う秋葉様ってのは、秋葉原の辺りにあった頃の秋葉神社を指すんじゃないかと思う。】

登山で有名な北アルプスの白馬岳もまた、異なった読み方が定着してしまった例と言えるだろう。 「日本百名山」の深田久弥からして嘆いている。 白馬岳(元々は代馬岳らしい)は本来「シロウマダケ」と読むけれど、麓には白馬村と書いて「ハクバムラ」や白馬駅と書いて「ハクバエキ」がある。 そのお陰か、白馬岳まで「ハクバダケ」と呼ばれる事が少なくないのである。

それはそうと、自分は上京して間もない学生時代に秋葉原をうっかりアキバハラと読んでしまってバカにされた事がある。 以来、これがトラウマとなって、「アキハバラ」と口に出して言う度に若干の緊張感を伴うのだが、実は、どっちでも良かったんじゃないのか。 なんか損した気分だよ~。

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January 17, 2005

鈴本演芸場新春寿寄席

2005年1月16日(日曜日) 鈴本演芸場 <昼席>

今年に入って初めての寄席通い。 末廣亭と池袋演芸場を掛け持ちする小三治にも心引かれるのだけれど、今回はトリの圓菊が目当てで鈴本に向かった。

この日は最初から客席の入りが良いな~。 舞台下手には立派なお正月の飾りが置いてあった。 個人的には正月気分なんて微塵も残っていないのであるが、寄席的にはまだまだ正月興行の続きと言う事らしい。 客席の反応も割合に良かったけれど、ちょっとざわざわし過ぎと思った。

開口一番 古今亭ちよりん「狸の鯉」
以前から高座返しで姿を見せていたちよりん。 前座として噺を聴くのはこれが初めてになる。 へえ、高座ではメガネを外すんだ・・・
噺の方は、如何にもデビューして間もないと言う様子で、まだまだ硬い感じである。 登場人物を全て女性にしていた。(仔狸に付いては性別不明)

古今亭菊朗「転失気」
悪戯坊主の珍念は、菊朗のキャラに会っていると思うな。

柳家とし松 曲独楽

古今亭菊輔「寿限無」と踊り「かっぽれ」
菊輔の「寿限無」は以前にも聴いて、その時にはあんまり好い印象が無かったんだけれど、それよりもずっとずっと好くなっている。 覇気があって、噺をグイグイと引っ張ってゆくんだ。 一体どうしたんでしょうね~。 噺の内容も、所々変えているようだし。 お終いには「かっぽれ」をサービスして、更に、去り際には投げキッス。 菊輔を大いに見直した一席であった。

柳家喬太郎「仔褒め」
昨年、新作を聴いてそのファンとなった喬太郎。 今回は古典落語で、それも自分にとってお馴染みの「子褒め」である。 それにしても流石、聴かせるなぁ~。 新作を語る時に感じた、才能のキラメキ、感性のスルドさなどがここでも生かされていて、滅多に聴けないようなスリリングな「子褒め」になっていた。 良く知っている噺だけに、「喬太郎はあそこの処をどう語るのかな?」なんて、一々期待してしまうのだ。

橘家圓太郎「初天神」
圓太郎はすっかりファンになってしまった。 今回も金坊の駄々っ子ぶりが可愛いよ~。 御手洗団子の丁寧過ぎる食べ方には客席中で大ウケであった。

大空遊平・かほり 漫才

金原亭馬の助「かつぎ屋」と百面相

古今亭菊春「替わり目」
マクラは声が小さくて酷く聴き辛い。 やるきあんのかー!と思った。 それが、女房にこっそり感謝の言葉を吐露する辺りで俄然好くなる。

花島世津子 奇術
癒し系マジシャンの世津子さん。 ヘアースタイルを変えたッスね。

入船亭扇好「権助魚」
明るい雰囲気の扇好だから、権助のしたたかさがちっとも憎たらしく思えないんだよね。

古今亭志ん弥「湯屋番」
キビキビとして要所要所をしっかり決める「湯屋番」である。 でも生憎と、この辺で眠くなって来た。

鏡味仙三郎 太神楽
今日はいつもの仙一と仙三はお休みで、仙三郎の独り芸だった。 普段ならば他の二人に任せている傘の曲芸も仙三郎がやったのである。 これ、実は(と言うか、当然か?)仙三郎が一番上手いのではないか。 土瓶の芸も見事で、さすが!

古今亭駿菊「幇間腹」
駿菊の「幇間腹」はどこか大らかな処があって好い感じだ。 但し自分的に、この噺に付いては昨年聴いた菊丸の印象が凄く強いんだよね。

入船亭扇遊「道具屋」
扇遊、ちょっとノッてない感じか。 また、眠くなって来た。

林家二楽 紙切り
OHPを用意して、切り上がった紙を背後に投影して見せていた。 但し、自分の座った席から見る場合、丁度メクリと重なってしまって、上手く見る事が出来なかった。 OHPを使う場合は、メクリの位置を工夫するように配慮して欲しい。 > 鈴本演芸場

古今亭圓菊「井戸の茶碗」
圓菊の「井戸の茶碗」を聴くのはこれで二度目になる。 自分にとっては、圓菊は小技の人である。 幾分テンポ感に欠ける処があって、屑屋が二人の侍の間を行ったり来たりする辺りなど、少々もどかしくなるところがある。 その代わり、噺の途中に織り込んだギャグの一つ一つが、もう堪らなく可笑しいんだ。 終盤に来ると、俄然勢い良く流れ出して大団円にまとまった。

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January 13, 2005

大阪弁

テレビのドラマやなんかでよくある、大阪の人間と言う役柄で、非大阪人の役者が喋る大阪弁と言う奴がひどく苦手である。 こう言うと、自分は生粋の大阪人のように思われるかもしれないけれど、そういう訳でもない。 普段は、いわゆるヒョージュン語を使っているくせに、両親が共に大阪人で、自分自身も幼年時代を大阪で過ごしたものだから、大阪弁と言うものがべったりと身に張り付いてしまっているんだ。 今でも、大阪在住の親戚と会って話すと、自分のアクセントも次第に大阪弁風になって行く。 そして、そういう事が自分の中では何の違和感も伴わなかったりする。 だから、非大阪人の語る大阪弁の科白が気になって仕様がない。 下手をすると、聴くのが只々苦痛だったりする。

東京の寄席で良く掛かる前座噺の一つに「金明竹」がある。 この中で、使いの者が上方弁の口上を早口でまくし立てて与太郎を煙に巻くくだりがあるけれど、ここのところを随分と酷いアクセント(もはや何弁とも言えない)で聴かされる事がある。 子供の頃から、テレビで大阪弁の漫才などをさんざ聴いて来たであろう若い前座さんでもそうなんだ。 この辺の事情が、自分などには良く判らないでいる。 上方弁のアクセントに関する限り、意識が低すぎやしないかと思う。

CDで三遊亭圓生の「三十石」を聴く。 伏見から大阪に向かう三十石船を舞台にした噺であるが、圓生の語る上方弁は本当に見事なもので、聴いていて居心地の悪さなど少しも感じない。 CDを繰り返し何度聴いても、その度に惚れ惚れとしてしまうんだ。 登場する江戸っ子の啖呵の威勢の良さは言わずもがなである。 江戸者と上方者、双方の言葉の掛け合いも楽しくて、要するにこれは、芸の力って奴なんだろうね。

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November 21, 2004

三千世界

昨日の正朝の独演会で聴いた「三枚起請」の枕で、高杉晋作の都々逸「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」が紹介されていた。 これはサゲ近くで「起請文を一枚書く毎に熊野権現の烏が三羽死ぬ言い伝えを知らねぇか」と言って女に詰め寄る科白への複線になっている訳だが。
折りしも自分は都々逸に感心を寄せていた処で、高杉晋作の都々逸もほんの二三日前に知ったものだから、この枕は誠にタイムリーと感じた。 客席でニヤリである。
三千世界と言うのは吉原に遊女の多く居た事の例えなんだそうだが、この他に仏教宇宙観の三千大世界につながる。(と言うか、こちらが本家かい?) 但し、この場合の三千は1000の3乗、即ち1,000 X 1,000 X 1,000 = 10の9乗 = 1,000,000,000 = 10億 と言う事になる。

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November 20, 2004

春風亭正朝独演会

ストレスの溜まりまくった一週間の駄目を押すような休日出勤を終えて、第18回公演 春風亭正朝独演会を聴いて来た。 正朝の独演会を選んだのは特にファンだからと言う訳ではなくて、その日一番行きやすい場所にあった会だったからと言う、なんとも頼りのない話しではあるのだが、行ってみればこれが大正解での落語会であった。
会場に入って初めて知ったのだが、今日は歌手の中西圭三が出演すると言うので、そのファンが詰め掛けたらしく、のっけから満員御礼状態であった。

開口一番 春風亭朝也「牛褒め」
前座さんの「牛褒め」を聴くのは初めてである。 これも独演会ならではと言うところか。 以前に聴いた時よりもずっと落ち着きが出ていると言うか、愛想が好くなったと言うか・・・ともかく、これは、かなりの進歩だと想う。 まだ、お客さんの受けは取れないけれど、上手くまとめていて完成度が高いと思う。

春風亭一之輔「壺算」
目下進境著しい一之輔。 これも好かったよ。 瀬戸物屋の店主が煙に巻かれる処が可笑しい。 「おい、大きい算盤持っといで!」
だけど壺を買う男(義さんじゃない方)の性格が途中で変わっちゃうんだ。 最初は与太郎風(これが凄く可笑しい)だったのが、途中から(多分、コントロールし切れずに)ごく普通の男になってしまったのが残念。

橘家文左衛門「道灌」
文左衛門らしく八五郎を思いっきり柄の悪い男にしたてていて、それがここでは上手く働いている。

春風亭正朝「三枚起請」
好かったなぁ。 女に他愛なく騙されてしまう三人の男たちを描き分ける巧みさは正朝ならでは。

  <<お仲入り>>

中西圭三
歌手である。 (って、知らなかったのは自分だけだろうな) 正朝とはかねてからの友達で、そんな二人の何気ない会話から独演会への友情出演と相成ったらしい。 カラオケで3曲唄ったのだけれど、良く通る美声の素直な歌唱には好感を持った。 ルックスも好くて、女性ファンが詰め掛けるのも成る程と想ったが、でも、歌手にしては体格が立派過ぎるんじゃないですかねぇ~?

※ 自分は客席前方の右側、舞台下手側が見える辺りに座ったのだが、前座さんが曲に合わせて踊っているのが格子窓越しに窺えた。 お客の見ていない処でノー天気に踊っている様子がもう可笑しくて可笑しくて堪らない! 客席の中でこの光景が見えたのは、自分を含めて極僅かな角度の中に座ったお客さんのみであるが、そのエリアの中の何人かはこの踊りに気が付いていて、クスクス笑っていたようである。 今日一番面白かったのが、実はこれ。

春風亭正朝「夢金」
船宿の二階でぼやく怠け者の熊蔵。 寒風吹きすさぶ中、懸命に舟を漕ぎ進ませる熊蔵。 侍からヤバイ話しを持ち掛けれて機転を利かす熊蔵・・・
構成が巧みで、最後まで飽きさせない。 但し、侍の表現が今ひとつ淡白過ぎたと想う。 この、得体の知れない侍には、もっとクールさや凄みがあって好いのではないか。 正朝と言う人は器用でなんでも出来ると想っていたのだけれど、侍の表現は苦手なのだろうか。 ちょっと意外であった。
季節感を良く表出させた、とても好い落語であった。 大満足。

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November 14, 2004

池袋演芸場11月中席

昨日、池袋演芸場の11月中席に行って来た。 落語協会の興行である。

  <昼席>
開口一番 林家ひろ木「道具屋」
三遊亭天どん「堀之内」
三遊亭歌る多「持参金」
大空遊平・かほり 漫才
三遊亭ぬう生「子褒め」
林家正雀「大師の杵」
亀太郎 三味線曲弾
柳家小せん「あくび指南」
  -中入り-
さん福「短命」
橘家円蔵「七面堂」
林家正楽 紙切り
柳家小袁治「粗忽の使者」

  < 夜席 >
開口一番 古今亭 菊六「たらちね」
三遊亭あし歌「鮫講釈」
アサダ二世 奇術
春風亭一之輔「悋気の独楽」
三遊亭吉窓「都々逸坊や」
柳家とし松 曲独楽
三遊亭白鳥 新作落語
古今亭伯楽「藁人形」
昭和のいる・こいる 漫才
柳家喜多八「代脈」
  -中入り-
禽太夫「蜘蛛駕籠」
橘家圓太郎「棒鱈」
太田家元九郎 津軽三味線
三遊亭歌武蔵「寝床」

あ~楽しかった。 が、流石にぐったりと疲れもした。 満腹感と幸福な疲労感に浸って帰路に着く。

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November 08, 2004

二つ目昇進

心身をリフレッシュさせに鈴本演芸場へ。
この間まで前座だった春風亭朝佐久が二つ目に昇進、春風亭一之輔を名乗って「真田小僧」をやっていた。 フレッシュさと骨太な面を併せ持つ一之輔。 「真田小僧」では金坊の小憎らしさが良かった。 一之輔は楽しみだぞ。

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November 04, 2004

寄席

文化の日を浅草演芸ホールで過ごした。
お目当てにしていた昼の部のトリ、古今亭圓菊は「唐茄子屋政談」。 聴きながら、ついつい志ん生のCD(一体これまでに何十回聴いたことか!)と較べてしまうと言うのが我ながら悪い癖なんであるが、それでも圓菊節で「唐茄子屋~」を堪能する事が出来たのには満足まんぞく。

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