ウォーターボーイズ
ウォーターボーイズ
Waterboys
監督:矢口史靖
脚本: 〃
出演:妻夫木聡 (鈴木:水泳部の部長)
玉木宏 (佐藤:元バスケ部員)
三浦哲郁 (太田:マッチョ志向のダンス少年)
近藤公園 (金沢:ガリ勉君)
金子貴俊 (早乙女:乙女チックな少年)
平山綾
竹中直人
眞鍋かをり
2001年 日本
今時、男子高が舞台の映画なんですと! それも水泳部ですよ。 男子生徒たちが、男だてらに(!)シンクロナイズドスイミングに挑むんです。 日焼けした男子らの一糸乱れぬ演技、水面にキラメク競泳パンツ・・・・ってそんなモン一体誰が見たがりますかて~の!?
※ それぞれの理由で(部員一名のみで廃部寸前の)水泳部に集結した五人。 行き掛かりから、学園祭への参加を目指してシンクロナイズドスイミングの練習を始めることに・・・・
見ず知らずの世界に図らずも首を突っ込み、そのオモシロさがようやく判って来たところで挫折。 それが悔しくって、発奮して、頑張り抜く姿を明るく描くコメディ・・・・というのは、同じ矢口史靖監督のスウィングガールズと同様のパターンですね。(製作順では「ウォーターボーイズ」が先になりますけれど)
ウォーターボーイズのリーダー、鈴木を演じるのは、後に2009年のNHK大河ドラマ(先日最終回を迎えた)「天地人」で主役の直江兼続を演じた妻夫木聡さん。
一際ガタイの良い佐藤役に、後に「のだめカンタービレ」(実写版)で指揮者・千秋真一を演じた玉木宏さん。
後にトップの座を得た二人も、本作の頃は未だ駆け出し時代。
この映画では世に出る前の姿、俳優としての出発点(二人とも、これがデビュー作というわけではないですが)を追い駆けることの出来るのが興味深いです。 三つ子の魂百までじゃあないですけれど、ここはお二人の持って生まれた個性を見届けてみたいって気持ちにさせられますからね。
妻夫木聡さん。 映画の主役として当たり前かも、ですけれど、流石にこの頃から光り輝くものがありますね。 少しも大げさなところはなく、極々自然体に振舞いながら、でも、どのカットでも隙を感じさせられません。
鈴木の素直で、しかし優柔不断な性格は、「天地人」での直江兼続の青年時代に通じるところがありますね。 いや、これは言い換えれば、そのキャラに併せたかたちで兼続像が創られたということか。
ともあれ、妻夫木さん持ち前のキャラはこの当時、既にしてハッキリと打ち出されていたのだと想います。
さて玉木宏さん。
ここでは、後に「のだめカンタービレ」の千秋役で見せたスマートさは未だ出現せず。
この当時と現在とのギャップという点で言えば、妻夫木さんを遥かに上回っていますね。 玉木さん、この後大化けを果たしました。
本作に見る玉木さんは、荒削りで如何にものムサクルシイ男子で、佐藤の、何事にも中途半端な性格も預かって、二枚目って感じですらありません。
後のイケメン男優も、この当時は未だまだ原石の状態だったんですね。 とは言え、コメディまでイケる器用さがあり、演技に瞬発力を感じさせられます。
そして後のスターとしての片鱗をチラリと見せてくれる、冴えたカットも時折あって、それを見つけるのもまた、映画を視る愉しみの一つかと想います。
たっぷりとあるギャグシーンはしかし、時に「スベッてんじゃないの?」と思わせられるところもあるのですけれど、でも構図など一々キレイで、実に好く計算されている。 隅々にまでコダワリや美意識が通っているのを感じさせられます。 つまり、とっても完成度が高いってワケで、だから、繰り返し見ても面白いのです。
中でも、「伊勢佐木町ブルース」のシーンは、演出から構図までもう最高でした。 背景の、頭上を走る電線まで(ある意味とても美しく)その存在を主張していて。
幾多のトラブルを乗り越え練習を重ねたウォーターボーイズが、ようやく迎えたクライマックスの学園祭。
シンクロナイズドスイミングのお披露目シーンですけれど、これがもう実に愉しかった!
結構長いシーンなのですけれど、でもあっという間に終わってしまった気がします。
この映画がここまでオモシロくなかったという人でも、このシンクロの見せ場で十分に元が取れる筈・・・・ええ、多分。
通常のシンクロ競技と比べてウォーターボーイズのは、とにかくなんでもかんでもアリの演出。 男子高校生らしいおバカさと、若いパワーが炸裂して魅せます。
映画の終盤。 全ての演技を終えて、プールから上がるウォーターボーイズ。 満場の拍手を受け、高揚感に包まれた中で、さらりと終わるラストシーンが実に好かったです。 青春の一区切りって感じのする余韻がネ。
男子シンクロの映画。 結論として、ヒジョーにオモシロかったです!
映画的に、実にイイところへと目をつけたモンですね。
散々笑わせくれて、でも高校三年の夏・・・・高校生でいられるのも、もうあとほんのわずかという、その切なさ甘酸っぱさも味わい深く。
妻夫木、玉木両人気男優のデビュー当時、その未だ子供っぽさを残した姿を確認することの出来る貴重なフィルム。
矢口史靖監督のこのタッチは、この後「スウィングガールズ」へと引き継がれることになります。


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