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February 21, 2021

映画:風が強く吹いている

  
 
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風が強く吹いている
Feel the Wind
 
 
監督、脚本:大森寿美男
原作:三浦しをん 「風が強く吹いている」(2006年)
音楽:千住明
出演:小出恵介(10区 ハイジ)
   林遣都 ( 9区 カケル)
   森廉  ( 6区 ユキ)
   中村優一( 1区 王子)
   内野謙太( 8区 キング)
   ダンテ・カーヴァー
       ( 2区 ムサ)
   橋本淳 ( 5区 神童)
   川村陽介( 7区 ニコチャン)
   斉藤慶太( 3区 ジョータ)
   斉藤祥太( 4区 ジョージ)



            2009年   松竹


 
今年、2021年の箱根駅伝ではマサカの大逆転劇が演じられましたね。
一月二日の往路は、有望視されていた青山学院大学がマサカの失速を来たす一方で、創価大学が大健闘。
三日の復路では、その創価を追い上げる駒澤大学が10区に至って劇的な逆転。 そして優勝。

私は、二日の往路こそお終いまで観ていましたけれど、三日の復路は(忙しくって)完全に見逃しました。(地域のお仕事あれこれに追われて、すっかり忘れていたんです orz)
一番イイところ、それも滅多に無いような(それこそ十年に一度レベルの)名場面を見逃してしまったわけですね。 ホント、馬鹿な見方したよなぁ。^_^;
        ▽▲▽▲▽▲

※ 寛政大学の新一年生、カケルは(ワケあって)重度の金欠。
独りで(内気で不器用な性格もあいまって)困り果てているところを、四年生のハイジに声を掛けられ、オンボロ学生下宿「竹青荘」に連れて来られます。

あちこち老朽化が酷いものの、居心地好く、学生がなにをやっても怒られない(床を踏み抜いても w、煙突みたいに煙草吸っても (>_<)、床が抜けそうになる程漫画を持ち込んでも ^_^;)、しかも栄養満点の賄い付きという好条件のアオタケ(竹青荘のことを、住人たちはこう呼びます)に住まいも定まり、これでカケルも一安心です。(^ァ^)
しかし、世の中タダより高いものは無いワケで・・・・(笑)

        ▽▲▽▲▽▲

そのアオタケの住人らは、いずれもクセのある、そして健康この上ない九人の男子学生。
皆、部/サークル活動などとは縁もなく、それぞれに学生生活をエンジョイしていました。

先住の八人の学生らに、新入りのハイジを引き合わせて、これで十人になったと(何故か ^_^;)妙に嬉しそうなハイジ。

アオタケってのは(学生下宿と言うのは世を欺く仮の姿で)実は寛政大学陸上部の合宿所だったのです。(爆)

カケルは高校時代(とある事件で挫折するまでは)陸上部で長距離に取り組み、将来を嘱望されたランナーでした。
ハイジがカケルをアオタケへと誘ったのは、その人並外れた、驚異的な脚力を見込んでのことです。

それにしても、若い奴らが10人集まっての下宿暮らしなんて、そりゃもう愉しいに決まってますよ。(笑)
その夜、アオタケの一室で催されたカケルの歓迎会の席上で、ハイジは立ち上がり、そしてこう宣言しました。


  「オレたち十人で箱根を目指す!」


        ▽▲▽▲▽▲

それにしても、三浦しをん の原作「風が強く吹いている」(2006年)。
あの、箱根駅伝がテーマのスポ根・・・・と言うより、いっそファンタジーと言って好いくらいの、大胆な展開をみせたお話しを、よくぞここまで忠実にドラマ化してくれたもんです。

なにしろ登場人物が大勢(寛政大学の陸上部員だけでも十名)に渡りますし、主要キャストのひとりひとりに異なる個性を発揮させ、またそれぞれの見せ場もありまして、これは実写映画として構成する上で、さぞかし難しかったのでは? なんて、いろいろと想っちゃいます。(^ァ^)

        ▽▲▽▲▽▲

箱根駅伝に出ようだなんて、はじめは冗談としか取れなかったアオタケの面々ですが。
しかしハイジは本気でした。 そして、それを実現させる為の精緻な計画も立案済みです。
でも、カケルにだけは判っていました。 それが、実際はどんなに険しく困難な道かってことが。

        ▽▲▽▲▽▲

箱根駅伝をテーマとする映画だけあって、ランニングのシーンは見事(いささかも手を抜かず)に撮られています。
中でもカケル役・林遣都の走る姿のキレイな事といったら!
これだけでも、この映画を見る価値があると想う。
小出恵介演じるチームのリーダー・ハイジも好かったし。

それまで走ることにはまるで関心の無かった(カケル、ハイジを除いた)面々が、やがて、ハイジの巧みなリード/指導を得てどんどん(そこは、皆若いですし (^ァ^))変わってゆきます。
ランナーとして、短期間の内に飛躍的な成長を遂げる彼らでした。

そして予選会に勝ち抜き、遂に箱根駅伝への出場権を獲得する寛政大学陸上部!

        ▽▲▽▲▽▲

そして映画の後半は、まるまる箱根駅伝のシーンで占められます。 こりゃ、大変なモンですよ。(笑)

それにしても、よくぞ我が国でこれだけの規模の映画を撮ったよナァ?! なんて、ワタシャひたすら感心しました。w

中でも、駅伝のコースを俯瞰してゆくシーンなど、沿道で応援する観客として大勢のモブを投入。 よくこれだけ集められたモンです。 流石は駅伝の国、日本。(笑)

        ▽▲▽▲▽▲

長距離走の経験など皆無のシロウト集団(カケル・ハイジを除いて)が、箱根駅伝に出場するってぇ?! (@_@)

これって無論、スポ根漫画でしかありえないようなトンデモ展開、ファンタジーです。
これがアニメならば、まだしも上手くゆくカナって気もしますけれど、でもこれは実写映画。 そこにはそれ相応の、確かな説得力が要求されます。

ではこの、現実ではありえないお話しに、如何にして説得力を持たせるか?
この映画は、”走りのシーンに拘ること” でその難題を実現させました。

若い十人の役者たちは、とにかく走ります。 走って走って走りまくって、ランナーに成り切ります。

        ▽▲▽▲▽▲

そして、駅伝シーンは特にリアルに徹しました。

なにしろ、映画を見る我々(の多く)は、毎年正月にテレビで箱根駅伝を観戦しており、こと駅伝に関しては眼が肥えていますからね。(笑)
ちょっとしたアラでもあろうもんなら、たちまち見付けてしまいます。

寛政大学の十人はもとより、他大学の陸上部員、大会の関係者、更には取材の車両、そして、なんといってもコース沿いを埋め尽くす観衆まで、実際の箱根と同様です。

こうして、お正月の(テレビで見る)駅伝中継と寸分違わぬものにすることで、映画の説得力が際立ちます。
 
 

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伝統の箱根駅伝。
新参 & 弱小・寛政大学陸上部の奮戦振りを通じて(テレビ中継などでは観られない)その舞台裏の様子も垣間見え来て、なかなか興味深かったです。

なにしろ部員が十名しかいない寛政大学です。
ランナーのサポートをするメンバーが絶対的に足りません。

なので、往路を走り終えた選手は、即座に移動して今度は自分がサポートに回らねばなりませんでした。
正月二日の箱根に向かう初詣客に混じって、電車移動する陸上部員たち。(笑)
経験・人材・ノウハウ・お金・時間。 なにもかもが圧倒的に不足しており、ギリギリのところで戦わねばならない寛政大学。
学生たちの行動の細かな描写が、そのまま緊迫感につながります。

        ▽▲▽▲▽▲

体力不足からチームのブレーキとなりがちの王子。
彼を描くパートが意外と(!)良かったですね。

趣味の漫画ならば、一日中でも読んでいたい彼です。
でも、走るのは好きじゃなかった。(>_<)
それでも、キツイ練習に耐えてここまでやって来た王子。

彼って(我々のような)一般人の代表ですね。
学生の頃やらされ、苦しかった長距離を思い起こさせる(作品中での)役割だったんだってことに、今頃になって気が付きました。(こんなこと、原作を読んだ際には想いもしませんでしたけれど ^_^;)

        ▽▲▽▲▽▲

でも、バカな双子(ジョータ、ジョージ)のブレーキ描写 w。 アレはまったく不要だと想うんだよね。(笑)

        ▽▲▽▲▽▲
  
カケル(林遣都)。
この映画は(陸上部の他のランナーもそうだけれど)とりわけカケルの疾駆する姿が素晴らしく綺麗で、ひたすら見とれてました。

なんたって、その走るフォームの美しいこと!
彼が天才長距離ランナーって設定も、なるほど、これならばピッタリ来ます。
筋肉は嘘をつかないですね。(^ァ^)
 
        ▽▲▽▲▽▲
  
そしてハイジ(小出恵介)。
高校時代は陸上部のエースだったが、ワケあって引退した男。
そして今、不可能を実現させた男。

終始一貫して熱く、しかし怒らず・威張らず・嫌味なく。
シロウト集団を巧みに指導して、ついに箱根へ連れてゆくという、極めて頼もしいキャラです。
絶妙な按配で態度がデカイ(笑)ってのも好いね。

但し、レース終盤での大ブレーキ(寛政大、なにかとブレーキの多いチームです ^_^;)はちょっとね。(>_<)
ゴール目前で(観ているコッチまで)気が急いている場面だけに、ジレッタクなって共感する余裕も無くなっちゃった。orz

(ここに限らず)ブレーキ場面(?)に関しては、あるいは原作を無視しても好かったのでは? ^_^; なんて想いました。
 
  
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人気の無い土手道を、独り黙々と走る青年の姿。

そんな、走ることの原点から、緊迫した駅伝シーンまで。
華やかな場面ばかりと限らず、地道に努力する姿までをしっかりと描いていたのが好かったです。

箱根駅伝を真正面から描いたこの映画。
(まぁ、拙いところもあったけれど ^_^;)総じてとっても好かったです。
これから箱根駅伝の中継を見るたび、彼らのことをも思い出す事でしょう。(^ァ^)
 
 

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Comments

こんにちは。

アニメのほうはご覧になられましたか?実写版はどうしても時間の制約があって、描かれなかったところがあって、一度しかみていませんが、アニメの方は3回も見てしまいました(笑)。神童くんをブレーキにするのはやめてもらいたいですが。

Posted by: weiss | February 22, 2021 08:48 AM

>weissさん

アニメ版「風が強く吹いている」、好かったですか!
繰り返し三度見て、なお面白いって聞かされると、気になって仕方ありません。(笑)
これは、アニメも観てみなくちゃなりませんね。(^ァ^)

山登りを任される神童は、映画版でもキツイ走りを強いられましたね。
普通に走るだけでも大変なことに違いないのに(よりドラマチックに盛り上げようって意図なんでしょうけれど)何かとブレーキの多いドラマでした。

Posted by: もとよし | February 23, 2021 03:58 AM

数年前にもとよしさんがこの本をブログで紹介されましたね。例に寄り名解説に動かされ私ただちに書店に走り”風が強く吹く”を求め読みました。
三浦しおんという作家の作品を初めて読みましたが面白かったですねぇ。。。
それが映画になったわけですね。面白くない筈がありません!

Posted by: おキヨ | February 23, 2021 01:06 PM

>おキヨさん

お読みになりましたか。(^^)
三浦しをん 独特の柔らかな筆致で描いた体育会系の世界。(笑)
おキヨさんの場合、箱根駅伝の熱心なファンとして、人一倍興味深く愉しまれたかと想います。(^ァ^)

この映画版は、原作をかなり忠実に辿ったもので、鑑賞しての満足度はなかなかのモノでした。
仲間で好きなことに取り組む! 青春ものって好いですね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | February 24, 2021 10:32 PM

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