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January 11, 2021

映画:ハートブレイク・リッジ

 
 
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ハートブレイク・リッジ  勝利の戦場
Heartbreak Ridge
 
 
監督、主演:クリント・イーストウッド
 
 
     1986年   アメリカ
 
 
俳優 = 自分以外の誰かを演じる専門家 と言えども、加齢に伴い、その役柄は変化してゆくものです。
アクションスターが、そのキャリアの果てに必ず対峙しなければならない難題!
初老の男の抱く「もうオレも若くないのか」的な感懐を、1930年生まれのイーストウッドが(役作りで誤魔化したりせず w)真正面から表現して見せた一本です。

 

   <<<< 以下は若干のネタバレを含みます (^ァ^) >>>>

 

米海兵隊のハイウェイ軍曹(クリント・イーストウッド)。
朝鮮戦争からの歴戦の勇士、泣く子も黙る鬼軍曹です!

だがしかし、平時にあってはまるで役に立たない男でした。
ソリの合わない上官に対しては平然と反抗!
飲んで・暴れて・逮捕されるまでがワンセットという厄介者でもあります。
奥さんは? とうに逃げられてますって。w

が、そうは言っても、朝鮮戦争での抜群の功績で名誉勲章(米軍で最も尊敬される勲章)まで受けた英雄です。
あれこれと、やらかしまくりの彼ですが、米海兵隊も無碍には扱えません。w

        ▽▲▽▲▽▲

そんな彼が古巣へと転属。
若い頃所属していた部隊に戻ったところから、この映画は始まります。(さしもの海兵隊も、問題爺イーストウッドの扱いには、ほとほと困り果てたと見えます w)

ここで彼は(朝鮮戦争以来の)旧い戦友や、馴染みの酒場の老女将らと再会。
歴戦のつわものには、胸襟を開いて、本音を語り合うことの出来る旧友が居るものなのです。

生涯を米海兵隊に捧げてきた者達。
中でも、イーストウッドらの世代は朝鮮戦争で引き分け、ベトナム戦争では敗北したという負い目を抱えています。
心身に負った、若い日の傷跡は(そういえばイーストウッドの額にも、やけに目立つ裂傷が (>_<))決して癒えることがありません。
そして、映画の当時は東西の冷戦中・・・・

        ▽▲▽▲▽▲

イーストウッドは偵察小隊の軍曹です。
平時にあっては、ぶったるんだ w 若い兵卒らを、日々鍛え上げるのが役目。

古参下士官が今時の、気風・価値観のまるで異なる若い兵を指導する。
そこは若者のことですから、当たり前に反発するワケですけれど、古参兵の方だって、それぞれに問題や、悲しい過去を抱えて生きているものです。

それにしてもイーストウッドって、こういう鬼軍曹役が似合いますね。(少しばかり、声量には欠けるけれども (^^ゞ)

イーストウッド流の激しい(やり過ぎ、とも言えます w)訓練は、次第に若者たちを鍛え上げてゆきます。
当初はそのハードな内容に拒否反応を示した若い兵らも、やがて(硬軟を織り交ぜた w)彼のやり方を理解し、モチベーションを得て訓練に励むのでした。

イーストウッド直属の上官にあたる若い士官など、当初は後方に居て事務の仕事に専念していたのが、この古参軍曹に影響され、やがて現場大好きに。w

ここいらの見せ方の巧みさ、クールさ、そして時折り挟まれるコメディ。
初老に達した下士官の孤独感/悲哀まで含めて、流石はクリント・イーストウッド。
実に面白かったです。(^ァ^)

        ▽▲▽▲▽▲

あれほどダラシナかったイーストウッドの部隊が、猛訓練を経てどうにか(兵として)仕上がって来た頃。

好事魔多し。
カリブ海に浮かぶ小さな島国、グレナダ でクーデターが勃発します!

米国はこれに介入。(1983年のグレナダ侵攻)
イーストウッドらの部隊には、グレナダ 在住の米国人を保護すべく出動命令が下りました。

        ▽▲▽▲▽▲

ノースカロライナ州のキャンプ地で訓練に明け暮れていた彼らにとって、まさかの実戦投入です。

敵地に潜入して皆を率いるイーストウッドは、部隊中で唯一の戦場経験者です。
最初の銃撃戦で敵を征したのも彼でした。
初めて眼にする敵の死体にドン引きする一同。(なにしろ彼以外、誰ひとり人を撃ったことがありません)
それでも、自分の教育した部隊を信じる彼は、迷わず奥へ奥へと進みます。

そして、更に幾つかの戦闘/撃ち合いを経て、やがて頃合も良しと見て取ったイーストウッド。
(前に出て直接)戦うことは若い士官や兵卒らに任せ、自らは後方から眺めているだけに。

若い頃に出演したアクション映画ならば、自ら先頭に立って活躍するような場面で、今は一歩引いたところから、若い奴らの働きを見守る彼でした。 それも、満足げな表情で。w
この流れが実にヨカッタ。

ありがちな展開でしょうけれど、それを初老に達したイーストウッドがやるとなると、これが実に絵になるんですね。(^ァ^)
そして、見ていて感無量となる名場面でした。

        ▽▲▽▲▽▲

お終いも、あっさりとして秀逸。
なんと言うか、潔さを感じさせられるラストでした。

戦争に勝ち、基地に帰って来ても、単純な アメリカ万歳! にはしようとしないイーストウッド映画。
軍楽隊の奏でる「星条旗よ永遠なれ」からさえ、なにやらアイロニーめいたものを感じました。
 
 

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Comments

拍手👋
良い解説でした。
老いを隠さないイーストウッド私もすっかり好きになりました。
最近の映画の柔和な顔がいいですね。

Posted by: おキヨ | January 14, 2021 01:38 PM

>おキヨさん

ありがとうございます。(^ァ^)

この映画のイーストウッド。
教練で号令を発し、若者に発破を掛けるかと思えば、その一方で、逃げていった女房を(シツコク w)追い掛けたりして(笑)、初老の男の怒りと惑いを演じ分けて見せます。

こんなのを自分の主演・監督作でやってのけるんですから、ホントに懐の深い人と想います。(^ァ^)

Posted by: もとよし | January 15, 2021 09:51 PM

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