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November 23, 2020

小説:高円寺純情商店街 本日開店

  
 
高円寺純情商店街 本日開店
 
 
 
    ねじめ正一 著
  
 
         新潮社   1990年
 


     ・大黒メロン
     ・八月のキャッチボール
     ・本日開店

 
 
昭和の東京。 商店街の乾物屋に生まれた少年の、心の機微と成長を描いた連作短編集。 「高円寺純情商店街」(1989)の続編。 楽しみです。(^ァ^)

        ▽▲▽▲▽▲

昭和三十年代のこと。
高円寺駅北口の商店街に店を構える乾物屋さん「江州屋」は、両親に祖母、そして一人息子・正一君(中学生)の一家四人が懸命になって切り回す、削り節(お店で毎朝蒸かし/削ってますからね、奥さん! (^ァ^) )が評判の小さなお店でした。

ある日、あんなに元気だったお婆ちゃんが倒れてしまいました。
お婆ちゃんは即入院。 そこから、一家のきりきり舞いが始まります。

看護とお見舞い(洗濯物を携えて)で日々病院に通う他、お店を(とにかく残りの家族で)日々切り回してゆかねばなりません。
こんな時、率先して負担を引き受けるのはお母さんでした。(やっぱりね (ーー;) )

        ▽▲▽▲▽▲

そして、やって来ました、スーパーマーケットの出店話!(>_<)
庶民の暮らしを支える高円寺北口商店街にも、時代の荒波が押し寄せて来たんですね。

新規出店を目論むスーパー側としては、地元商店主らを対象に説明会(らしきもの)を催すんですが、そんなことで納得する筈も無く、早速持ち上がる出店反対運動! そりゃ当然だよねぇ。w

敵もさるもので、(お金と組織力を駆使して)あの手この手を使って商店主らを懐柔しに来ます。
早速、江州屋のおばあちゃんにはお見舞いの高級メロンが届けられ・・・・って、ナルホドこりゃヤリ手ですよ。(^^ゞ

その内に、商店主らの間で「●●屋は(スーパー側に)転んだらしいよ・・・・」なんて噂も飛び交ったりし始めます。 なにかとピリピリする商店街。

果たして(世の趨勢には逆らえず)高円寺駅前にもスーパーマーケットが出来るのか?
出店を巡って右往左往する周囲の大人達。
商店街の一大事を、江州屋の一人息子・正一君の視点から描きます。

        ▽▲▽▲▽▲

野球が大好きな正一君。
中学でも(受験勉強なんてそっちのけで)野球部で頑張ってます。
高校進学も、得意の野球でなんとか・・・・と目論んでいるようですけれど。 大丈夫なのか?(^^ゞ

プロ野球では、もちろん(!)当時全盛の読売巨人軍の熱狂的なファンでした。
「巨人・大鵬・卵焼き」
それにしても、これは(著者の)世代特有のものか、或いは当時の東京という当地柄故か。
ジャイアンツ愛。 中でも長嶋茂夫選手(当時)への想い入れって、ものスゴイものがありますね。(笑)

        ▽▲▽▲▽▲

商店街に暮らす人々の毎日を、抑えた筆致で、淡々と描いてゆきながら、それでも、あちこちにコメディ色が見られた前作と比べて、本作では(主人公の成長に合わせるかのように)徐々にシリアス度を高めていっているように想います。

そして、高円寺と言えばやっぱりコレでしょう!
「高円寺阿波踊り」も登場します。
江州屋の息子として、正一君も踊るんですよ。(^ァ^)
正一君たちの時代の「高円寺阿波踊り」、今日のと比べて余程素朴なイベントだったようですね。
それでも、少年の心に強烈な印象を残しました。

        ▽▲▽▲▽▲

小さなお店が肩寄せ合って暮らす商店街ですから、日頃から助け合うのは当たり前。
隣家の「魚政」が、スーパーの出店(未だそうと決まったわけでもないのに)を機に、ここらが潮時とみて「ラーメン屋に商売替えする」なんて言い出します。

え~! 商店街の魚屋がいきなりラーメン屋なんて始めて大丈夫かぁ?
なんだか、ラーメン屋という商売をナメて掛かってるような気もするんですけど。(>_<)

「魚政」が試作(それも次々と)するラーメンを試食させられるのは・・・・正一君はじめ江州屋一家でした。(笑)

        ▽▲▽▲▽▲

本書に収められた三篇。 どれもが、「本日開店」というタイトルから来る高揚感、期待感なんかを殆ど感じさせない、むしろ地味ぃ~なお話しでしたね。(^^ゞ
「~開店」という文言から来る明るさやトキメキなど、一切察せられませんでしたし、それよりもむしろ、シニカルな視線や幾ばくかの諦観を受け取りました。

この印象は、前作「高円寺純情商店街」の時から変わりませんから、著者ねじめ正一の持ち味なんでしょうね。
   
 

     高円寺純情商店街 (1989年)    本書の前作です
 
   

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