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May 03, 2020

映画:男はつらいよ 寅次郎恋歌

 
 
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男はつらいよ 寅次郎恋歌
Tora-san's Love Call
 
 
監督:山田洋次
脚本:山田洋次
   朝間義隆
音楽:山本直純
出演:渥美清     (車寅次郎)
   倍賞千恵子   (さくら)
   森川信     (おいちゃん)
   三崎千恵子   (おばちゃん)
   太宰久雄    (タコ社長)
   前田吟     (博)
   志村喬     (諏訪ひょう一郎 <博の父>)

   池内淳子    (六波羅貴子 <マドンナ>)
 
 
       1971年   松竹
 
 
寅さん八本目。

誰しも、あれこれのしがらみに束縛された窮屈な日常、退屈で替わり映えの無い日々から解き放たれたい・・・・いっそ、逃げ出してしまいたい。
なんて、心のどこかで想っているもの。 ですよね?(^^ゞ

もちろん、そんな望みの実現するハズも無く。
そこは賢く w 踏み止まって、現実のイロイロと折り合いを付けながら暮らしているワケです。

とは言え、もしも叶うなら・・・・



  <<<<<< 以下はネタバレを含みます >>>>>>>



今回のプロローグは、どこか(?)地方の寂れた港街から。

とある雨の日、寅さんが訪れたのは、また随分と草臥れた芝居小屋。(と言うか、地元漁協の施設)
まぁ寅さんも、この雨じゃ商売もままならないでしょうし。

折りしも、ココで芝居を打っていた(但し、この雨で本日休演 (^^ゞ )のは、大衆演劇の坂東鶴八郎一座。
旅から旅へ。 全国あちこちを巡っている旅芝居の一座です。

なんかイイ感じで、座長さんと互いの身の上話しに興じる寅さん。
役者さんたちの、時代掛かった雰囲気がとってもステキでした。(^ァ^)
なにしろ<旅回りの一座>って設定だけで、もう堪んなく旅情を刺激させられますよね。(笑)

そりゃ、旅している当人たちからすれば、日々大変なんでしょうけれど。(^^ゞ
でも、旅暮らしへの憧憬を掻き立てる、秀逸なシーンでした。

そして、このプロローグのイメージ。 後々重要なポイントとなってきます。

        ▽▲▽▲▽▲

旅芝居の一座との出会いで、すっかり里心が付いた寅さん。
そうなれば当然、葛飾柴又の「とらや」へと脚が向かいます。

これまで「とらや」に帰って来る度、必ずトラブルを引き起こして来た寅さん。
そこで、今回こそは寅さんをソフトに迎えたいと、ポンコツな小芝居 (^^ゞ を企む「とらや」の面々でした。
この、ワザとらしい対応に腹を立てた寅さん。
例によってひと悶着が持ち上がります。orz

それにしても皆さん、今回は特に沸点が低いって言うか、感情に火の付くのが早いこと早いこと。(^^ゞ
寅さんと おいちゃん のケンカも、いつにも増してヒートアップ。
寅さんも酷いや。 さくら まで怒らせちゃったよ~。(>_<)
とらや を飛び出してゆく寅さん。
ったく、帰って来て一日と持たないんだから。orz

        ▽▲▽▲▽▲

博に「ハハキトク スグカエレ」チチ」との電報が届きました。
早速、実家のある岡山県・備中高梁へと急ぐ博・さくら夫婦ですが、とうとう間に合いませんでした。

その後、葬儀を済ませて、亡母の想い出話しを始める父(志村喬)と息子たち。

 志村喬「あれは何と言うか、欲望の少ない女だったな」

亡妻(母)は禁欲的で、ひたすら辛抱強く、我を通さないタイプの女性であったと。
また、夫や子供たち為に尽くすばかりの人生だった。 などなど・・・・
父と兄たちの話しを聴いて、その(博から見て、あまりにも)ドライな言葉に激昂する博!

末っ子の博だけは知っていました。
母さんは、父さんや兄さんたちの言うような、決してそんな性格の女性じゃあなかった。
夢見がちな性格で、大きな船に乗って外国を旅してみたかった。 そんな人なんだ。
そして綺麗なドレスを着て、舞踏会で踊って・・・・
そんな夢を(夫にも明かさず)ずっと抑えていた、寂しい一生であったことを。

        ▽▲▽▲▽▲

ところで、葬儀の場でさくらを驚かせた(慌てさせた w )のは、そこに居た寅さんの存在でした。

 倍賞千恵子「何しに来たのよ、こんなところへ?! (@_@) 」

まぁ、博・さくらの結婚式(第一作「男はつらいよ」の時)で、博の両親とは面識が出来ていたものね。

その寅さん。 葬儀を済ませた後も、博の実家にしばらく留まっていました。
え、志村喬が独り住まいで寂しいだろうから、居てやってるって? 寅さん調子好過ぎ。(笑)

一方、志村喬の方も、屈託無く、およそ遠慮と言うものを知らない寅さんのことが、余程気に入ったと見えます。

一つ屋根の下で寝食を共にする内、やがて、碩学の老学者・志村喬から人生について諭される寅さん。
旅の暮らしは愉しいか? と訊ねられ、また、人間は絶対に一人では生きていけないと教え導かれます。

 志村喬「本当の人間の生活とは・・・・」

なにしろ、こういうことに滅法染まり易く出来ている寅さんです。(笑)
すっかり志村喬の言葉(と、庭に咲く竜胆の花)に感化されちゃって。w

        ▽▲▽▲▽▲

「とらや」へと戻った博・さくら夫婦。
最近「とらや」の近所に開店したという喫茶店「ローク」のママ(池内淳子)が挨拶に来ています。(もちろん、今作のマドンナです (^ァ^) )

年の頃なら三十凸凹。 夫と死別して母一人子一人。 控えめな物腰。 そしてイ~イ女。(^ァ^)
寅さんがこの場に居ないでくれてヨカッタ。(^ァ^) と安堵する「とらや」の面々。

なんて想っているところへ、ふらり帰って来た寅さんでした。(やっぱり (^^ゞ )
それにしても、寅さんと池内淳子ってのは、年恰好と言い、その境遇と言い、これはもう、傍目にもお似合いの・・・・(^ァ^)

        ▽▲▽▲▽▲

さて、「とらや」の面々を前にして、さっそく志村喬の教えを開陳する寅さん。
でも、なかなか理解はされません。orz
そりゃそうですよね。
なにしろ、志村喬の提唱する「本当の人間の生活」って、他ならぬ おいちゃん・おばちゃん たちの暮らし方そのものなんですから。
寅さんのご高説も、「とらや」の面々からすれば極々当たり前のことに過ぎません。(^^ゞ

ともあれ、これまでの漂泊の暮らしから定住へと、生き方を切り替えようと決意した寅さんでした。

        ▽▲▽▲▽▲

その内に、とうとう喫茶「ローク」のママ(池内淳子)と出会ってしまう寅さん。(^^ゞ(まぁ、狭い街ですし)
偶々遊んでやった「デコ坊」が、池内淳子の息子と判って意気投合です。

気さくで、ユーモアがあって、そして偶に見せる男気。
なにより小学生の息子を導く、好き父親役となってくれます。
今や、すっかり寅さんを頼りにしている池内淳子。

アレ?! なんか、これまでにないイイ雰囲気なんですけれど。
これはひょっとして、今回こそは・・・・

        ▽▲▽▲▽▲

でも聴いてしまったです、寅さんは。
女一人、喫茶「ローク」を切り回し、子育ても頑張っている池内淳子が、心中密かに抱えている本音を。

 池内淳子「あー、羨ましいわ。 私もそんな(寅さんみたいな)旅がしたいなぁ」

このキビシイ日常から解き放たれたい。 なにもかも捨てて、旅に出てみたい。
池内淳子もまた、寅さんのような旅暮らしに憧れていました。
若い頃など、旅役者を夢見たこともあると言います。

志村喬に諭され、一つ処に居を定めること。 定住者となることを目標にした寅さん。
そして、それとは対象的に、旅暮らしに憧れているマドンナ。

二人の想うところは対象的でした。

独りその場を立ち去る寅さん。
でも、今回はふられなかったんだね。

        ▽▲▽▲▽▲

マドンナの家を辞去して、「とらや」へと帰ってきた寅さん。
もはや、ここにも寅さんの居所はありません。

「また、ふられちゃったよ」と、さくら に(笑って)告げる寅さんです。

旅から旅の兄ちゃんの暮らし。
こんなのを羨ましいって想うこと、あるかい?

 さくら「あるわ。 一度はお兄ちゃんと交替して、あたしのことを心配させてやりたいわ」

これまで漂泊者であった自分を反省し、一旦は定住を夢見た寅さんですが。
しかし意外にも、定住している側の中に、寅さんのような漂泊の生き方に、心密かに憧れている者が(それも、あちこちに)居たとは・・・・

        ▽▲▽▲▽▲

さて、いろいろとあったようですけれど、やはり寅さんには旅の空が似合います。

エピローグでは、旅回りの一座とのマサカの再会。
これが、とっても好かった。(^ァ^)

なんとも気持ち好く、そして味わい深いラストです。
 
 

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