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May 27, 2020

映画:苦役列車

 
 
Photo_20200527190701 
 
苦役列車
The Drudgery Train
 
 
監督:山下敦弘
原作:西村賢太
出演:森山未來 (貫多)
   高良健吾 (正二)
   前田敦子 (康子ちゃん)
 
 
      2012年   東映
 
 
2010年(下半期)の芥川賞を受賞した、西村賢太の小説「苦役列車」。
その後映画化されまして、こちらも高い評価を得ているようですね。 好きかな。(^ァ^)
監督は名作「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘。

        ▽▲▽▲▽▲

※ 主人公・貫多(森山未來)は、日雇い仕事で糊口をしのぐ十九歳。
安アパートに天涯孤独の独り暮らし。 友人は居らず、彼女も無し。
港湾の肉体労働で得た金も、稼いだ先から(酒とフーゾクで)たちまち浪費してしまう始末。 見ているこちらがあ然となるくらいの、アッパレ自堕落な暮らしぶりです。

ある日現場で、同い年の青年(高良健吾)と知り合う森山未來。
アルバイトだと言う彼は、専門学校に通っており、カノジョも居る様子。
年齢が同じという他は、なにからなにまで主人公とは正反対の(つまり、どこにでも居そうな)高良健吾です。
が、そこは若者同士。 二人はすぐに打ち解けあうのですが・・・・
 
        ▽▲▽▲▽▲

現場では与えられた力仕事をテキトーにこなし、終われば即、酒とフーゾクに逃れる主人公。(それでも文学好きのようで、古本屋通いは日々絶やしません)

全てにやる気の無い彼が、只漫然と(という表現が正に相応しい)送る、やさぐれた日々。
こんな生活、若いからこそ耐えられるんでしょ? と言うか、若さを浪費しているとしか見えません。

この、過酷でまったく先の見えない日々を、エンドレスに走り続ける列車に例えた原作「苦役列車」ですが。 この映画では、そこに更に映像の魅力(?!)が加わります。

主人公の、どうしようもないクズ/サイテーっぷりが、あんまり見事(?!)で、ココまで来ると、そこにある種の興趣(?)を感じてしまう程。
決して綺麗とは言えないその映像からも、視ていて強烈に惹かれるものがあります。

        ▽▲▽▲▽▲

この映画で、どうしようもないクズ主人公に扮する森山未來。
あり得ないほどの粗野で下品な男を演じていて、これはもう、原作の貫多そのもの。(笑)
汚く/ショボクレた風貌、面構えなんだけれど、でも一体ナンなんでしょう? その所作や台詞、そして全身から発散する魅力は。

観客の視線を逸らさぬ不思議な魅力と、豊かな説得力がお見事。
そして、山下敦弘監督の(情け容赦ない程の)長回しにも耐え得る素晴らしい役者でした。
ついつい(その所業に呆れ返りながらも)このクズ主人公を観続けてしまうんですよね。

        ▽▲▽▲▽▲

原作には無い、映画版だけのオリジナルキャラ、康子ちゃんを演じるのは前田敦子。
このお方。 私なんか、AKB出身のアイドルとしてしか知らなかったんですけれど。
でも、意外と言っては失礼だけれど、これが好かった。
というか、本当に素晴らしかったです。 参りました。m(__)m
ホント、大当たりのキャスティングじゃないですか。(^ァ^)

彼女の存在を通して(友達なんか要らないとうそぶく)主人公の、しかし「女性」への止み難い希求 (^^ゞ が情けなくも w(しかし原作と比べて、余程品好く)時にユーモラスに描かれます。

        ▽▲▽▲▽▲

但しこの映画、終盤がイマイチでしたかねぇ。(^^ゞ
(マキタ・スポーツが(主人公・貫太の思いもしないところで)夢を叶えていましたってところから先、ワタシは不要と思いました)

シビアな境遇から抜け出せない主人公を、どこまでも悲惨に描くことに徹した原作。(それは、文字通りの「苦役列車」でした)

それと比べて、この映画版の主人公を待つ運命・・・・その将来を予感させるような演出は(ワタシ的に) ????? でした。
そもそも、<いつ終わるとも知れない過酷な生活>から抜け出せないから「苦役列車」なんでしょう?
そこにファンタジー要素を加えてしまったら、それはもう「苦役列車」と呼べないと想うんです。
(原作がそうであったように)徹底的に「苦役列車」を貫くってのは、映画と言うメディアでは難しかったんでしょうかネ?

        ▽▲▽▲▽▲

演出と映像は(基本的に)ヘヴィー、そしてリアル。 時にコミカル/青春映画的な側面をも併せ持つ映画「苦役列車」です。
巧みな配役で、その役者陣の魅力を見事に生かし切った素晴らしい作品なんですけれど、でも(原作にあった)文学味には、いささか欠けますかねぇ。
 
 

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