映画:ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃
ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃
All Monsters Attack
監督:本多猪四郎
脚本:関沢新一
音楽:宮内國郎 主題歌「怪獣マーチ」
出演:矢崎知紀(小学生の一郎君)
佐原健二(父 国鉄マン)
中真千子(母 料亭の仲居さん)
天本英世(同じ団地に住むおじさん)
1969年 日本・東宝
ゴジラシリーズの十作目は「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」。
なんか、イロイロくっつけてみました (^ァ^) 的な、でもその結果、ちょっと野暮なタイトルになっちまってるんですが。(^^ゞ (英題の方はシンプルなのにね)
ともあれこの映画、シリーズ中でも特にユニークな、本多猪四郎監督ならではの一本でした。
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お話しの舞台は、昭和四十四年の川崎。
我が国も、いよいよ高度経済成長期へと突入しようかってあたり。
仕事に追われる大人たち。 日々大忙しです。(@_@)
両親が共働きの団地住まい。 子供が学校から帰っても家には誰も居らず、独り親の帰りを待つ、なんてライフスタイルも登場。 いわゆる<鍵っ子>ですね。
一方、子供たちは・・・・元気一杯でした。(^ァ^)
この当時(既に、道路はクルマで溢れかえっているものの)子供らの遊び場(空き地/原っぱ/廃墟)には事欠きませんでした。
スマホ/ケータイ、ゲーム機もネットも未だ現れてはいないけれど、でも子供が道端で拾ったガラクタの真空管が宝物に成り得た、そんな時代です。(^ァ^)
映画を観ているコッチ(昭和生まれのおっさん σ(^^) )は、懐かしい昭和の風景に、激しく郷愁を掻き立てられました。(^ァ^)
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※ 一郎君は、怪獣が大好きな小学生。(^ァ^)
団地住まいで両親共働きの、典型的な鍵っ子でした。
団地の同じフロアには、子供好きの おじさん(天本英世)が住んでいます。
日がな団地の一室に閉じこもって、次々に新しい玩具を考案する「玩具コンサルタント」をやって暮らしている様子。
天本英世おじさんの部屋は(子供の好奇心を刺激しまくる)不思議なモノ(開発中の玩具)で一杯!
普通(!)の大人たちの眼から見れば、変わり者かもしれませんけれど、一郎君にとってはオモシロクって優しいおじさんです。
不在がちの両親に替わって、一郎君の相手になってくれ、親の帰りが遅い日など、晩ご飯の支度までしてくれるんです。
おっと! 天本英世おじさんの部屋では、今まさにゲーム機の原型の原型にあたるナニモノか(?)が創られようとしているじゃありませんか?! (@_@)
でも、それって時代を先取りし過ぎじゃあ?(笑)(天本おじさん、生まれるのが早過ぎた天才って奴でしょうか? (^^ゞ )
さて、気弱な性格(それこそ、お父さんが心配するくらい)の一郎君。
原っぱを遊び場にする男の子たちのグループに、なかなか加わることが出来ません。
それどころか、道端で一郎君が拾った真空管を(男の子たちに、強引に)取り上げられてしまうことも。orz
イジメられっ子の一郎君。
グループのガキ大将格・三公のことを(心中で勝手に w )「ガバラ」と名付けていました。
怪獣みたいな名前を与えるあたり、流石は熱心な怪獣ファン。(笑)
まぁ、イジメって言ったって、ここに登場するのは、決して陰湿なソレではないようですけれど。
この年頃の少年たち同士の、幾分(ラフな)荒っぽいふるまいってところ。
この子ら、なにより一緒になって遊びたいんです。(^ァ^)
ある日、一郎君たちの住む街に、二人組みの銀行強盗が(大金を収めたボストンバッグと共に)逃げ込んで来ます。
警察の追跡を逃れる二人の潜んだ廃墟。 そこは一郎君の秘密の遊び場でもあったのですが・・・・
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映画序盤は、昭和の男の子の日常を描いたドラマでしたけれど、では、ゴジラたち怪獣は、一体いつ出てくるのかと言うと・・・・遊び疲れて居眠りする、一郎君の夢の中に現れました。w
この映画、ゴジラシリーズの他の映画とは違って、そもそも怪獣なんてモノの存在しない、あくまで現実世界のお話しなんです。(^ァ^)
一郎君は、夢の中で怪獣島(!)を訪れます。
島には数々の怪獣たちが棲んでいました。
(この辺り、どっかで見た覚えが。 過去の怪獣映画の映像の使い廻しでしょうね。 (^^ゞ )
中でも、ミニラとはすっかり仲良しになります。(^ァ^)
なにしろミニラは一郎君と同じ背丈(!)で、しかも会話(!!)が成立します。w
一郎君にとってのミニラ。 どうやら、一種のイマジナリーフレンドとしての役割を果たしているようですね。
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怪獣島には、乱暴なイジメっ子怪獣のガバラが棲んで居て、ミニラを見つけるや即攻撃して来ます。
逃げ回ってばかりのミニラ。orz
これって、現実世界のガキ大将のガバラが、一郎君の夢の中で、怪獣の姿となって現れた格好ですね。
映画は、一郎君の夢に現れる、怪獣島に棲むミニラとガバラ(怪獣)。
そして、現実世界の一郎君とガバラ(ガキ大将)とを、交互に描いてゆきます。
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小さく非力なミニラ。
所詮、体力に勝るガバラの敵ではなく、簡単に一蹴されてしまいます。orz
が、ミニラは(現実世界の一郎君と比べて、ずっと)ガッツのある奴でした。
果敢にガバラ(怪獣)に反撃を試みるミニラ。
それを励ます一郎君。
「頑張れ、ミニラ!」
コレ、無論のこと、一郎君が自分自身に向けて叫んでいるメッセージでもあるワケです。
怖いお父さん・ゴジラの教育方針(怪獣の世界もキビシイ (^^ゞ )もあって、やられても、やられても、なおガバラに戦いを挑むミニラ。
そして、ついに・・・・
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翻って現実パートでは、廃墟に潜んだ二人組みの銀行強盗と、一郎君との追い掛けっこが繰り広げられます。
ミニラがやったんなら僕だって。
夢の中で、ミニラがガバラ(怪獣)に放射熱線を浴びせたのに倣い、銀行強盗たちに一泡吹かせる一郎君。 好いゾ!(^ァ^)
そして、その翌日。
再び、男の子たちのグループと対峙する一郎君。
勇気をふり絞って、ガバラ(ガキ大将)に反撃です!
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この映画、従来のゴジラシリーズとは異なる、少年の小さな成長を描いたドラマでした。
出て来る怪獣たちは、全て一郎君の夢の中に現れるものばかり。
ですから、ゴジラシリーズ中でも唯一、SF要素ゼロという(いわば)小品です。
つまり、この映画「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」って、実は(フツーの意味の)怪獣映画じゃあない。(笑)
それにしても、ガバラ(怪獣)ってのはアレだな・・・・「ウルトラマン」とかに出て来そうな(あっちの世界から出張して来たかのような)デザイン。w
これまでのゴジラシリーズの怪獣たちとは、異なる生態系に属する生き物っぽいです。(笑)
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鍵っ子の一郎君ですけれど、決して周囲の大人達が子供に無関心ってワケじゃありませんでした。
日々、子供の健やかな成長を願う母親。
気弱な息子を案じる父親。
そして好き隣人、天本英世おじさん。w
また、主人公をイジメる男の子たちも、特段陰湿ってワケでもないですね。
一郎君が、夢の中での(イマジナリーフレンドの)ミニラの勇気に刺激されて、ガバラ(ガキ大将)と一戦交わした後・・・・あれから、どうやら一郎君もワルガキ軍団に(無事 w )加盟したっぽいしね。(爆)
ラストは、ちょっと感動させられます。(^ァ^)
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この映画、こういうユニークな構成ゆえ、賛否が分かれるらしいですけれど、私は好きだな。
昭和の怪獣映画として見ても(あまりに)トホホなアクション。(^^ゞ
なにより、少年とミニラが言葉を交わす(!)演出には賛否両論らしいですね。
特撮ファンの間では、必ずしも評判が好くは無いようですけれど。
でも、アクションがしょぼくたって、ミニラが喋ったって、ガバラ(怪獣)が幾らブサイクだって、別にイイんだよ。
小学生の男の子の見る夢の中のことなんだしサ。(^ァ^)
数多あるゴジラシリーズ中に、こんなのがひとつあっても好い。
少年の成長を描いたドラマとして、これは良作/佳作と想うな。
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