映画:3月のライオン(前編)
3月のライオン 前編
March comes in like a lion
監督:大友啓史
原作:羽海野チカ 漫画「3月のライオン」
出演:神木隆之介 (桐山零)
有村架純 (幸田香子:義姉)
染谷将太 (二海堂:ライバル)
佐々木蔵之介(島田開:師)
伊藤英明 (後藤:敵)
加瀬亮 (宗谷冬司:ラスボス)
甲本雅裕 (安井:対局相手)
豊川悦司 (幸田柾近:義父)
2017年 日本
2017年。 将棋の藤井聡太四段(当時)が十五歳でプロデビュー。
そのまま公式戦29連勝を飾って大きな話題を呼びましたっけね。
なんたって、デビュー戦から29戦連勝ですよ! 歴代最多連勝記録を更新!
戦績だけ見たら、もはやマンガです。(笑)
いや、こんなの好成績過ぎて漫画のストーリーにさえ、なりそうにありません。w
でもこの大記録、夢でも絵空事でもなく、現実に達成されたことなんですよね。
事実は小説より奇なり。
例えばドラマ/漫画などフィクションの作者は、作品を創るにあたって(視聴者の予想を超える)驚くべき、スゴイ展開や結末を(腕によりをかけて)用意してくるものです。
ところが、こと将棋に関して言えば、藤井(現)七段が四段時代に成し遂げた快進撃が、あまりに、それこそあり得ないくらいに凄過ぎました。(笑)
なので、作家がどんなに知恵を絞ったストーリーより、現実の方が、余程ファンタスティック。 印象に残る結果になっちゃってます。 (^^ゞ
だって、ドラマの主人公にどんな活躍をさせたとしても、「藤井君の方がスゴいよね」とか言われちゃいますからね。(笑)
まぁ、無理もないよ。
これほどのミラクル、誰ひとりとして思い付きゃしません。(^^ゞ
なんか、フィクションの側にとっては皮肉な展開になっちゃってますけれど、ともあれ将棋ブームに後押しされ、こうして将棋漫画「3月のライオン」が実写映画化されました。(^ァ^)
▽▲▽▲▽▲
この「3月のライオン 前編」は前後編、二本作られた内の前編。
二部作とはまた贅沢なこと!(^ァ^)
原作は羽海野チカの将棋漫画。(生憎と私は未読です)
高校生プロ棋士を主人公に、将棋の世界とその周辺を描いて人気の作品なのだそうで。
なにげに将棋ブームは健在です。(^ァ^)
そんな「3月のライオン」の主人公は現役高校生プロ棋士(五段!)、桐山零君。
タイトル目指して勝ち抜いてゆけ! ゴーゴー!!(^ァ^)
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※ 幼い頃、事故に遭って家族全員を失った桐山零。
いろいろと事情があって、亡父の親友に引き取られることとなります。
そして、ここはプロ棋士の家でした。
日々将棋を指す。 それが当たり前の暮らし。
義姉・義弟が、未来のプロ棋士を目指して、真剣に将棋と取り組んでいました。
図らずも、その戦列に加えられることとなった零。
義姉・義弟から歓迎されることなど決して無く、また対局の相手としても軽んじられ、侮られる日々でした。 (これ、当時は未だ将棋の弱かった零君をカワイガッたつもりが、実際は、わざわざ姉弟してスパルタ教育してやったようなモンですね(笑))
生きてゆく為には、どうしても(将棋に)強くならざるを得なかった主人公です。
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さて零君。 映画では高校生プロ棋士の桐山五段としてスタートします。
ここまで来ている時点で、既に熾烈な競争を勝ち抜いているわけですね。
※1 例えば、一般的な棋士の辿る道が
将棋の強い子
↓
周囲の大人顔負けの強さ。 ひょっとしてこの子は天才? (^ァ^)
↓
奨励会
↓
プロ棋士
ってなコースとして
※2 それが、桐山零君(映画の前編スタート時点)の場合
家族が交通事故死
↓
亡父の友人(プロ棋士)宅に引き取られる
↓
義姉・義弟から苛められ、将棋でもボコボコに
↓
強くなるより他なかった (-_-;)
↓
ライバルとの出会い
↓
奨励会 (この段階で義姉・義弟は落伍)
↓
プロ棋士 (四段)
↓
五段へと昇段
↓
養父家を出て独り暮らし ← 今ココ!
↓
A級・島田開に師事、強敵/ラスボスの出現
↓
そして・・・・
ってな道を歩んで来ています。
若いのに苦労してるよねぇ。(>_<)
零君。 養父家の苛められっ子から、奨励会を経てプロ棋士となりました。
(その過程で、数多の対局相手を蹴落として来たことでしょう)
一方、イジメっ子の義姉・義弟は、既に奨励会の段階で、力及ばず(プロ棋士への道という)レースから脱落しています。
▽▲▽▲▽▲
晴れてプロ入りを果たした零君と、夢破れプロ棋士を諦めざるを得なかった義姉弟ズ。
幼い頃から自分を苛めてきた義姉・義弟を、今や(将棋の世界にあっては)はるか高い所から見下す格好です。
ここはひとつ、ザマー見やがれ!(^^♪ って毒づいてやりたいところですけれど。
が、しかし零君、そういうタイプの子じゃありませんでした。
プロ棋士の世界、その華やかさと表裏をなすかのような過酷さ/残酷さ。
その性格ゆえ、対局で負かした相手の、心の痛みまで引き受けてしまう零君でした。
無口で、一見従順にさえ見える(実際は、ンなコトはない(笑))主人公の陥る苦悩。
将棋を扱った、この映画。
お気楽に観始めたところが、想わぬシビアな展開を見せてくれました。
▽▲▽▲▽▲
キャスト中では、有村架純が最も印象に残りました。
主人公の義姉役の演技、そのアッパレな悪役(!)ぶり。
幼い頃から、ことある毎、零に対して辛くあたってきた義姉。
将棋の家に生まれた者として、プロ棋士を志しながら、しかし、その途上で挫折した人。
この映画で、最もインパクトある立ち位置に居るのが、この有村架純でしょう。
NHK連ドラのヒロインが、マサカの悪役ですよ。 そしてこのキャラ、悲劇の人でもある。
演技の幅、女優としての引き出しの豊富さ。
単なる美少女/美人女優の域に留まることを良しとしない、意識の高さ/役者魂を見せつけられました。
ワケあって、独り暮らし(あれは、隅田川の河畔でしょうか)を始めた主人公。
暇さえあれば将棋盤に向かう、高校生プロ五段。 その、淡々とした毎日の積み重ね。
対局のため将棋会館に通う、その道すがらの街並み。 隅田川沿いの景色。
主人公の性格/孤独感を象徴するかのような背景です。
主人公が乗り降りに使うのは八丁堀駅・・・・って、オレここいら知ってる! へ~、あの辺りでロケしたんだ。(笑)
そして、悩み多き主人公を癒すためのハーレム(笑)として用意されたかのような川本家。
この辺り、完全にラブコメ調で、この映画の原作って漫画だったんだな って想い出させられるところです。 面白いから、まったく無問題ですけど。(笑)
そんな川本家の面々と主人公の出会うあたりから、映画は俄然、面白くなって参りました。
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映画の半ば辺りから、零君が師と仰ぐ存在や、立ち塞がる(容易には越えられそうにない)敵も現れ、更には(早くも)ラスボス w の存在が示唆されます。
中堅どころの男優たちを、贅沢に配置した(未だ成長の途上にある)主人公周辺の描写が秀逸です。
うん、やっぱキャスティングの一人ひとりが絶妙だね、この映画。(^ァ^)
主人公とその養父一家を中心としたシリアスなドラマ展開に対し、随所にギャグも(主としてライバル/将棋連盟の愉快な仲間たち (^ァ^) がその役割を)仕込まれていて、硬軟のバランスも好い按配。
対局シーンなんて、あんまり盤面を見せないように(観ているこちらの興味が、そちらに移っちゃいますからね)工夫しているようで、でも勝負の雰囲気を、しっかりイメージさせてくれますし。
さて、終盤に至ってタイトル戦の(そこはプロ棋士らしく)大盤解説を拝命する主人公ですけれど、これが・・・・ ラスト辺りの演出は、いまひとつでしたかねぇ。(^^ゞ
ともあれ、主人公が未だ残す幼さを印象付けて、二部作の前編はジエンド。 後編へと続きます。
3月のライオン 後編 (この映画のパート2です)
Comments
こんにちは。これはアニメ版を先に見てしまったので実写版は見ていません。原作がコミックスなので、脚本をどうするかで味付けがかわりますよね。
将棋つながりでいえば「聖の青春」が松山ケンイチの演技が光って素敵でしたね。
Posted by: weiss | November 12, 2019 10:03 AM
>weissさん
アニメ版があったんですね。(^ァ^)
漫画が原作なんですから、当然アニメもありか。(笑)
こちらも気になりますけれど、ともあれ私には実写版の後編が待っています。
主人公のライバル、二海堂は(実写版では染谷将太が、マサカのデブキャラを好演しています)故・村山聖九段をモデルにしているとの説があるそうですね。
Posted by: もとよし | November 13, 2019 12:09 PM