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September 19, 2019

映画:ジェリーフィッシュ

   
 
J1 
    
ジェリーフィッシュ
Meduzot
Les méduses
Jellyfish
 
 
監督:エトガー・ケレット
   シーラ・ゲフェン
出演:サラ・アドラー      (バティア)
   ノア・クノラー      (ケレン)
   マネニータ・デ・ラトーレ (ジョイ)
 
 
      2007年  イスラエル
 
 
さあこれ、イスラエルの映画ですよ。
原題はクラゲの意なんだそうな。

だけどこれ、邦題がまったく好くないのね。(>_<)
ヘブライ語の「メドゥーザ」ってのが、なんか語感が重くって、この映画のイメージにはそぐわないってのは判るんだけれど。

だけど、舞台がテルアビブで、使われる主要(!)言語がヘブライ語で、なによりイスラエル映画だってぇのに、その邦題を(わざわざ)英語にするこたぁないって想うんだけれど。(笑)
そもそも「ジェリーフィッシュ」だなんて、如何にもありがちな題じゃないですか。 検索してみたら、同名の邦画がありました。(やっぱね orz )

        ▽▲▽▲▽▲

映画は、三つのお話しが交互に(並列に)進んでゆくという構成。
三人の女性を描いた三つの物語りです。

この三人の女性たち。 映画のどこかで絡み合うのかって言うと、そうでもないんだね。
いや、互いにすぐ傍に居たりはするんだけれど。
でも、その素っ気無い感じ。 私は嫌いじゃないです。(^ァ^)

※ そしてこの三人、互いに海のイメージで結ばれている、と言ってよろしいかと想います。

        ▽▲▽▲▽▲

<バティアの場合>

テルアビブの結婚式場。 その宴会場で働くバティア。
諸事投げ遣り、如何にもカッタルそうに振舞う女性なんですが。

お仕事への情熱/モチベーションは極めて低く、故に上司の評価も超悪くって、これ以上何かヘマを仕出かしたらクビにするぞ! とか言い渡される始末。orz

自宅に帰れば、アパートの天井からはポタポタ絶え間の無い水漏れ。(※ ここで海のイメージ) なんか踏んだり蹴ったりのバティアです。

福祉団体の代表を務めて多忙(かつ、目立つの大好き)らしい母に、他に若い女をつくって好き勝手に暮らしている(無責任な)父。
両親との関係も、イマイチ上手く行っていません。

このバティア。 子供の頃の記憶がポッカリ抜けているって言うんですけれど。 過去に何か(ショックなことでも)あったんでしょうか?

ある日、砂浜に座り込んでボンヤリしていたら、浮き輪ひとつを身に付けただけの不思議な少女と出会います。(※ また海です (^ァ^))
バティアのことをじっと見詰めて、一言も喋らない少女。 この子が五歳と、なぜか判っているバティア。

この子って多分、少女時代のバティア自身だよね。 失われた(幼い頃の)記憶のメタファー。 それが形を成して、海から上がって来た!

失われた幼児の記憶。
かろうじて、今でも覚えているのは、海辺で(親の気まぐれから)買って貰えなかったアイスキャンディーのこと。(こういう切ない想い出って、引き摺るよねぇ)
そして、浮き輪に掴まって海上を漂っていたら、浜辺に居た両親が喧嘩しはじめたこと。(※ また海のイメージでした)

さて、バティア。 自分の過去と向き合うことが出来るようになるのか?

流されて生きることを、ここではハッキリ肯定も否定もしないです。
だってワタシはクラゲだもの・・・・(※ やっぱり海 (^ァ^) )

        ▽▲▽▲▽▲

<ケレンの場合>

バティアが(如何にもカッタルげに)働いていた結婚式場で、華燭の典を挙げた花嫁さん。
ある(トホホな)トラブルから、カリブ海へ向かう予定だった新婚旅行がダメになってしまい、やむなく地元テルアビブの海辺に建つホテルへ泊まることに。
っていうか、テルアビブの人も、カリブ海に憧れたりするんだ?(すぐ目の前が地中海なのにね(笑))

新婚旅行が地元のホテル(しかも酷い部屋 (>_<) )だなんて! と不満たらたらのケレン。
翌日、新婚第一日目から夫と喧嘩です。
新婚早々夫婦の危機ですよ。
困り果てた新郎は、最上階のスイートルームに泊まる女流詩人と、部屋を交換して貰うよう取り計らうのですが・・・・

女流詩人とケレンとの(図らずも実現した)詩の交感。
ビンの中の沈まない船(ボトルシップ)に乗っているイメージ。(※ ここでも海)

ケレンの場合もいろいろあって、最後は夫婦して(互いに見詰め合うんでなく)同じ方(※ テルアビブの海)を眺めるという構図で締め括られます。

        ▽▲▽▲▽▲

<ジョイの場合>

フィリピン人女性、ジョイ。
単身イスラエルまで来て(つまりヘブライ語圏で)訪問介護の職に就いて稼ごうっていうんですから、なんて逞しい女性でしょう。(こういったケース、日本だってあるでしょうね)
故国には、五歳の息子を残して来ています。

偶々担当した利用者がチョー気難しく、フィリピン人はイヤだって家族に訴えます。(図らずも知れる、彼の地の介護問題)
が、誠実・真摯なジョイに介護される内、次第に心を開いてゆくのでした。

ある日、街のショーウィンドーで帆船(※ ここで海)の玩具を見掛けたジョイ。
この船を、フィリピンに残してきた幼い息子への、誕生日のプレゼントにしようと想い付き、胸躍らせるのですが・・・・

三人のエピソードの中で、ジョイのだけは素直に共感出来るんだよね。
いや、この映画、ジョイが居なければ、ワケのわかんない、独り善がりの作品になっちゃったかも。(^^ゞ
判りやすいハッピーエンドが好かったです。(^ァ^)

        ▽▲▽▲▽▲

どこへいくのか、判然としないクラゲ。

不思議な印象を残す映画でした。
まぁ、パッと観、気分ソーカイって映画ではないですね。
そもそもが、痛快なエンタメとかではないし。(笑)

演出の巧み(人生の機微を描く、監督の才能は大したもの)さ、なにより映像の綺麗さが素晴らしかったです。
バティアのエピソードなんか、ちょっと難解なんだけれど、それでも見入ってしまいましたし。

観終わった後で、あれこれ想い返すこと/考え込むことの嫌いじゃないって人にお勧めでしょうか。

 
 

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Comments

こんばんは

 クラゲですか。
解説拝見して、なんか不思議な映画だと思いました。
クラゲは眺めているの好きなんだけど(笑
映像はきれいなのですね。
想像してみます^^。

Posted by: みい | September 25, 2019 09:16 PM

>みいさん

はい、クラゲです。(^ァ^)

クラゲって、我が国の水族館なんかだと、暗くした水槽の中をゆっくり漂っていたりして、なんかオシャレ系のイメージですよね。 でも、イスラエルのクラゲ感は、かなり違っているようです。

でも映像はキレイですし、演出もスマートでした。
機会がありましたら是非。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 26, 2019 07:07 PM

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