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April 06, 2019

読書:時代劇は死なず!

 
 
時代劇は死なず! <完全版>
 
   京都太秦の「職人」たち
 
 
     春日太一著
 
 
         2015年 河出文庫
          (初出は 2008年 集英社)
 
 
かつて、我が国において、娯楽の王様であった映画。
昭和の頃、日本全国に映画館が建てられ、国民的エンタメとしての地位を得てから、やがて、テレビにそのポジションを奪われるまでの間、邦画にとっての黄金期というものがあったわけですね。
とりわけ、時代劇の人気は圧倒的でした。
そして時代劇と言えば、その発信元は京都太秦。

        ▽▲▽▲▽▲

戦前からの松竹京都撮影所。
大映京都撮影所は、大映の倒産後、スタッフが結集して映像京都を名乗ることになります。
そして戦後生まれの東映京都撮影所。

太秦の地では松竹・大映・東映の三社がしのぎを削り、それぞれ時代劇を撮り続けたわけです。

        ▽▲▽▲▽▲

諸行無常。 全盛期を謳歌していた邦画界が、斜陽期へと差し掛かったのが1970年代。
家に帰ればお茶の間にテレビ、という風景がもはや当たり前となって、これじゃ映画を観る人も減りますよね。 テレビはタダなんだし。w
当然、映画館に掛けられる時代劇、撮られる新作も激減するというもの。
つまり(映画人にとって)仕事が無くなるということ!

この、映画産業低迷期/先の見えないどん底の時代を、各映画会社/撮影所はどう乗り切ったのか?
各々の撮影所(で働く人々)は(それぞれ独自のやり方で)テレビ時代劇造りへと活路を求めました。

映画界からテレビ界への転身。
当初は、随分と抵抗があったらしいですね。
この当時の映画人の多くに、映画 > テレビ という根強い意識があったようで。
(なにせ草創期のテレビです、モノクロ~初期のカラー/小さな画面/低解像度の画面と来ていますし)

ともあれ、当時のテレビ時代劇では、長年映画の世界で鍛えられたスタッフが、映画のやり方(それより他に知らなかったですから)で撮った、言わば劇場用映画クオリティの作品が毎週オンエアされていたということ。 なんてゼータクなんでしょう。w

        ▽▲▽▲▽▲

それにしても本書、子供の頃にテレビで観知ったタイトル(再放送も含めて)が続々現れます。 懐かしい~(^ァ^)
大川橋蔵の意向で東映作品になった「銭形平次」、市川昆と「木枯らし紋次郎」、そのカウンター番組として企画された「必殺シリーズ」、そしてカツシンの「座頭市」。
そうそう、昔は夜のゴールデンタイムとか、当たり前のように時代劇が流れてましたよね。

そしてその製作裏話。
こちらは(そこは子供のことで)な~んも考えず、只々ダラダラと眺めていただけですけれど、ブラウン管の向こうでは、時代劇のプロたちが、生き残りを賭けた渾身のドラマ造りを続けていたんですね。

        ▽▲▽▲▽▲

本書が上梓されたのは2008年。 (その後、2015年に改定されて文庫化)
既に往年の勢いを失い、苦戦を続けていたテレビ時代劇。
が、しかし、未だ一縷の希望のあった時代ではありました。

時代劇、未だまだいけるぞ! と。

そんな中で、本書は好評を持って迎えられたそうで。
そのことは、一読して充分に理解出来ました。

若者からすれば、知られざる(そして驚くべき)歴史ですし、昔を知るオールドファンや古参の映画人からすれば、よくここまで調べてくれた/よくぞ書いてくれたと快哉を叫びたくなる内容。
そして、若い世代の著者が時代劇に寄せる情熱が、全編に渡って迸っています。 とにかく熱い!

往年の映画スターや監督を語る本は、評論・評伝・自伝まで含めて数々ありますけれど、その他の映画スタッフ、脚本・キャメラ・照明・美術・編集などにまでスポットを当てた本書。
極めてユニークでかつ興味深く、読み応えのあるものでした。
 
 

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