« 6Pと書いてロッピーと読む | Main | 読書:もっとヘンな論文 »

November 18, 2018

小説:桐島、部活やめるってよ

 
 
桐島、部活やめるってよ
 
 
     朝井リョウ
 
        2010年  集英社
 
 
   ・菊池宏樹
   ・小泉風助
   ・沢島亜矢
   ・前田涼也
   ・宮部実果
   ・菊池宏樹

      ▽▲

   ・東原かすみ ~ 14歳
 
 
暫く前に話題となった小説を、今頃になって初めて読んでみました。
(部活って言葉の響きが、なんか懐かしいです)

※ 高校で、バレー部のキャプテン(今時はそう呼ぶんだ? 「部長」とかじゃなくって)を務める桐島君が、どうやら部活を辞めたらしい。
校内を、そんな伝聞が次々と伝わってゆきます。
急に姿を消した桐島と、同じチームにいた者、特に近しかった者、意識して距離をとっていた者。 あるいは間接的に、彼を見知っていた者。
生徒たち、それぞれの立場から、その心象を緻密に、ときにクールに描いてゆきます。

        ▽▲▽▲▽▲

この小説、各章毎に語り手を変えるという、ちょっとユニークな趣向になっています。
(上記タイトルの下に記したのは、いづれも登場人物の紹介ではなくて、章立て=それぞれの章の語り手の姓名です)

著者は、語り手を務める少年少女一人ひとりの性質に合わせて、文体を微妙に変えて来ています。 その文章の調子/措辞の巧みさが見事!
そして、特筆すべきはテンポ感の好さ。 思春期のめくるめく感情をそのまま文字にしたようで、実に素晴らしいです。

        ▽▲▽▲▽▲

同じ学内に居る、あるいは同じクラス、または部活に所属していても、それぞれの位置から眺めるクラスメートの人物像/イメージは、互いに異なるものですね。
例えば、一人の人物について客観的に語るにしても、観察者が異なれば、その印象もまた様々に変化する。 時には正反対の表現さえ、なされるということ。

内気な文科系の子が、体育会系/スポーツ万能のクラスの人気者に根深いコンプレックスを抱く一方で、(一見リア充を謳歌しているように見える)体育会系の子だって、内心では文科系の子の、自分に無いクリエイティブな資質に、密かに一目置いていたりする。

語り手それぞれのポジションから、周囲の人々について語ることで、彼ら/彼女ら一人ひとりの姿が多角的に浮かび上がって来るわけです。
それも思春期の、極端に激しく揺れ動く感性が、ダイレクトに記された文体で。
そこからは、やはり(あまりにアタリマエの話ではありますけれど)鮮烈な印象を受けます。

        ▽▲▽▲▽▲

因みにワタクシ、自分をスクールカースト(オレの頃は、そんな上手い言葉は無かった)の下位に位置づける子には特にハゲシク共感(痛々しい感情も含めて)出来ました。(笑)

この小説、コンプレックスに悩む子/タチの悪いヤツ等々、色々と現れるけれど、恨み/妬みといった感情が意外なくらい出て来ないことで、ザラリとした/ドライな質感のこの小説に、一抹の爽やかさを与えています。
 
 

|

« 6Pと書いてロッピーと読む | Main | 読書:もっとヘンな論文 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/67394631

Listed below are links to weblogs that reference 小説:桐島、部活やめるってよ:

» 『桐島、部活やめるってよ』 [観・読・聴・験 備忘録]
朝井リョウ 『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)、読了。 タイトルが気になっていた作品でした。 ようやく100円で見つけられたので、早速。 田舎の県立高校のバレー部キャプテンが、 突然、部活を辞めてしまった。 それに巻き込まれるバレー部の面々、周囲の部活の面々、 さらにその周辺の人々の各人の視点で高校生活を描写していくというもの。 読む前は、段々と辞めた真相が分...... [Read More]

Tracked on November 19, 2018 at 08:57 AM

« 6Pと書いてロッピーと読む | Main | 読書:もっとヘンな論文 »