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August 26, 2018

映画:男はつらいよ 奮闘篇

 
 
男はつらいよ 奮闘篇
Tora-san, the Good Samaritan
 
 
 監督:山田洋次
 音楽:山本直純
 出演:渥美清     (車寅次郎)
     倍賞千恵子   (さくら)
     森川信     (おいちゃん)
     三崎千恵子   (おばちゃん)
     前田吟     (博)
     太宰久雄    (タコ社長)

     榊原るみ    (花子・マドンナ)
     田中邦衛    (福士先生)
     ミヤコ蝶々   (寅の母)
 
 
       1971年  日本・松竹
 
 
Torasan_the_good_samaritan
 
 
  
「男はつらいよ」も七作目です。

突然ですが「感動ポルノ」なる言葉があるそうで。
未だ世に出て間もない言葉で、国語辞典にすら載っていないようですけれど。
なんでも、障害者がそのハンディを乗り越えて頑張る姿に対して、健常者が感動すること(テレビ等のメディアで)好んで視聴する行為を揶揄する、海外発の新しい言葉らしいんですね。
アイロニーと反骨、強固な精神性にユーモアさえ感じさせる、中々に「深い言葉」ではあります。(あるいは、ちょっと誤解してるかも σ(^^) ですが)

さて、よく(映画・小説なんかの批評などで)日本には未だまだ障害者を描いた作品が無くて・・・・とか言った(意識高い系?な)意見を見掛けることがありますけれど・・・・んなこたぁない!(笑)

なにしろ邦画を代表するシリーズと言って過言でない「寅さん」の中で、このテーマを真正面から取り上げているんですから。

        ▽▲▽▲▽▲

春未だ浅き新潟県、ローカル線の鄙びた駅舎から、この七作目は始まります。

待合室でストーブに当たりながら汽車(未だSLが現役でした)を待つ寅さん。
映画はここで、集団就職で都会に赴く少年少女と、それを見送る父母の姿(素人さんを起用した演出が素敵です)をドキュメンタリー風に描いて、故郷を遠く離れて働く若者の姿を強く意識させます。
それを暖かい、独特の(笑)視線で見守る寅さん。 これが、後々効いて来るんです。

こういう伏線のいちいちを丁寧に、そして判りやすく提示してくれる山田洋次監督。 用意周到 & 手抜かり無しです。

        ▽▲▽▲▽▲

七作目のマドンナはひとりぼっちで都会を彷徨う、それも発達障害を抱えているらしい薄倖の少女。
これを、当時デビュー数年目の榊原るみが好演します。

集団就職で故郷・津軽を後に都会へと出て来たものの、仕事に付いてゆけず、職場から逃げ出して来た様子。
寅さんとは場末のラーメン屋で出会い、沼津駅前の交番ですぐ再開。
お巡りさんからの矢継ぎ早の詰問(!)に、困り果てているところを、寅さんの口八丁手八丁に助けられる少女。 この辺から本編が動き始めます。

        ▽▲▽▲▽▲

生得の、不治の障害を抱えたマドンナ。
これ、現在やったとしても十分に過激な設定ですね。
むしろ、今こそ撮るべき作品なのかも。

貧しい人々・弱者に対しても、おしなべてフランクに、優しく接する自由人の寅さん。
ピンチを救われた少女が「寅ちゃん」って言って懐いて来るのは当然ですね。
保護欲、刺激されまくりの寅さん。(笑)

寅さんなりに、無力な少女の好き保護者であろうとする(例によってズッコケつつ)わけですけれど、案の定(笑)保護欲が恋愛感情へ替わってゆくのを停められません。
少女の方も、寅さんのことを打算も偏見も無しに、無条件に受け入れてくれる。
これは寅さん、舞い上がっちゃいますよね。(笑)
相手は年端のゆかない少女なんですが。(汗)
因みにこの映画での榊原るみ、ホントもう超絶にカワイイ(なんたる破壊力!)です。

とらやの面々も、障害を抱えた少女に対して親身に接するのは、寅さんと同様。
ですが、傍にピッタリ(不自然なくらい)貼り付いているのが寅さんですからねぇ。
またぞろビョーキが始まったか、と心配する一同。

        ▽▲▽▲▽▲

少女との未来を妄想して幸福の絶頂にある寅さん。
そこへ旧師・田中邦衛が上京、少女を迎えに来ました。 あちゃ~。

そりゃ、このまま「とらや」に居るよりも、田舎へ帰した方が少女の為って事くらい、寅さんだって・・・・
傷心の寅さん、どう現実と折り合いを付けるのでしょうか。

        ▽▲▽▲▽▲

大ショックの寅さん、どうやら少女の故郷まで追い掛けて行ったらしいんですよ。
突如として行方をくらました寅さん(自殺疑惑まで発生!!)を訪ね、後を追って津軽に向かう さくら。
それにしても、海岸線をガタゴト往くローカル線に、旅装で憂いに沈んだ表情の倍賞千恵子って何コレ?、もう絵になりすぎでしょ(笑)

今回も、お終いは兄妹の絆で締めます。 いいなあこの二人。
そして、どこへ行こうが寅さんは寅さん。 やっぱ寅さんはイイわー。
素晴らしい映画でした。
 
 

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