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July 17, 2018

小説:アクロイド殺害事件

 
 
アクロイド殺害事件
The Murder of Roger Ackroyd
 
 
  アガサ・クリスティ著   1926年 英国
    大久保康雄 訳
 
           創元推理文庫
 
 
推理小説と言ったら(ワタシ的に)なんたってシャーロック・ホームズ!
今でこそ縁遠くなってしまっていますけれど、かつては、その内の何作かを(子供の頃に触れたジュブナイル化されたものを含めて)読んだものです。
著者のコナン・ドイルは、推理小説に留まらず、SF作品もものしていますね(「宇宙戦争」とか)。
でも、代表作となると、やっぱりホームズものか。 幾つか読んでいる筈の、その内容とか、今となっては、まるで覚えていないんですけれど。(爆)

さて、ドイルと同じく英国人作家のアガサ・クリスティと、その登場人物エルキュール・ポワロについても(女流作家の創造した在英ベルギー人名探偵として)やはり知識にあるんです。 ですから多分、ポワロものの何冊かは読んでいる筈。
でも、数ある名作の中で、一体どれとどれを読んだんだか、さっぱり想い出せないんですね。(滝汗)

あ!「オリエント急行殺人事件」。 これだけは、読んだとハッキリ言えます。 今でも結末を覚えてますから。(笑)
でも、その一冊だけなハズがないんですよ。 他にも、なにか読んでいると想うんですけれどねぇ・・・・(悩)

        ▽▲▽▲▽▲

クリスティの著したポワロものの内、代表作として有名なのが、この「アクロイド殺害事件」。
かねて、その存在を知ってはいましたけれど、内容については完全に未読でした。

これ、推理小説の古典と呼ばれる相応しく、翻訳も多いですねぇ。
今回手に取ったのは、紙がすっかり黄ばんでしまい、製本などもはや崩壊寸前という草臥れきった文庫本。(笑)
大久保康雄訳の創元推理文庫版です。 初版が1959年とは、また随分と古いですな。

        ▽▲▽▲▽▲

この古~い文庫本。 正直、読み進めるのに、めっちゃ難儀しました。
だって、劣化が進んでヨレヨレのページに、掠れ気味の細かい字がび~っしりですよ。
そこから文字を読み解こうという行為だけて、かなりの集中力と眼力、そして気力を奪われるってもんです。(笑)
若い頃は、こんなんでもスラスラ平気で読めたのにねぇ。 はぁ。

しかし、その内容はと言うと、これがとっても充実していました。 ウン、素晴らしかった。

登場人物それぞれの人物像、立場や心理の細やかな描写。
会話の言い回しやら人間関係、台詞の端々から読み取れる、人生の機微とでも呼びたい味わい。
それらが実に好くってですね、今正に極上の小説に触れるているという充実感を味わうことが出来ました。

流石は推理小説の古典、クリスティの、そしてポワロものの代表作として遺るだけあるわいなと感じ入った次第。

        ▽▲▽▲▽▲

一篇の小説として、文学的にサスガ!と感じ入った本書ですけれど、では肝心の推理小説としてはどうなのか。

実は本書を読む以前に、作品評を(主としてネットで (^^ゞ)読んじゃいまして、この「アクロイド~」について言われる世間の評判(「完全に意表を突いた犯人!」とか、「これを読んでダマサれない人はいない!!」とか)を、いろいろ知り過ぎちゃったんですね。
なので、殺人事件の犯人について、途中かなり早めにの段階(登場人物たちが出揃ったあたり)で気が付いちゃいました。(^^ゞ

でも、どうやって犯行に及んだかのトリック(?)についてはさっぱりでした。
実は、読後の今になっても(私にとっては)複雑に過ぎて、よく理解出来ていないという。(爆)

発表当時、このトリックは果たして推理小説として(読者に対して)フェアか、それともアンフェアかって論争をひきおこしたらしいですね。
読み手がガチな推理小説ファンであるほど、著者にダマされ易い作品なのかも。

        ▽▲▽▲▽▲

面白いのは、登場する誰も彼もが、大なり小なりウソをついているという設定。
 
 
 
ポワロ 「先生、あなたもこの種の事件にたくさん関係されるとおわかりになると思いますが、ある一つの点については、みんな共通しているんですよ」

シェパード医師 「それはどういうことですか?」

ポワロ 「事件の関係者は、ひとり残らず、なにかかくすべきことをもっているということです」
 
 
 
皆々、心中に深く秘めた過去・人間関係・見栄・猜疑心・恋等々を(それが事件に関わりの有る/無いに関わらず)抱えていて、それが幾重にも絡み合っている。

つまり、ここで読者に提供される情報には、高確率でウソが混ざっていますってこと。

これじゃ、それぞれの証言を何処まで信じられるのか? 一体何を手掛かりに考えれば好いのか? 中々絞り切れないよ!(笑)

でも、想えば、人間のなすこと故、話しに嘘が混ざるくらい、当たり前のハナシではあるんですね。

そんな「アクロイド~」の世界。
登場する誰しもを、等身大の、生き生きとした、リアルなものに感じられます。
古い時代の、外国のお話しなのに。

        ▽▲▽▲▽▲

この推理小説、今また読み返してみているところなんです。 
こうすると、細やかに張り巡らされた伏線の一つ一つ、気付かなかった微妙な人間関係や感情の錯綜などを読み取ることが出来、面白さは倍増です。(^ァ^)

初読の時よりも再読の方が更に面白い推理小説。
こんなこと考えるのは、私だけでしょうか?(笑)

つまり私、この小説をもっぱら(群像劇形式の)文学作品として、愉しんでしまっているってことかも。 (要は、アタマを使わせられる推理小説についてゆけなかったワタシです orz)
 
 

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