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July 25, 2018

映画:仁義なき戦い

  
 
仁義なき戦い
Battles Without Honor and Humanity
 
 
 監督:深作欣二
 脚本:笠原和夫
 音楽:津島利章
 原作:飯干晃一
 出演:菅原文太
    松方弘樹
    金子信雄
    梅宮辰夫
 
 
          1973年   日本 (東映)
 
 
連日の猛暑にあてられた挙句、とうとうコイツに手を出しちまいました!
 
言わずと知れた、戦後広島で繰りひろげられる一大ヤクザ抗争劇。
邦画の最高傑作の内のひとつと、賞賛されることも少なくない逸品ですね。

燃え上がるように熱く、尽きることのない圧倒的なエネルギー。
触れれば、血の出るように生々しいドラマ。

これ、やっぱ夏。 今みたいな季節にこそ観るべき映画ですよ。

        ▽▲▽▲▽▲

ここには後に、日本映画界を牽引することとなる大スター、ビッグネームとなった男優たちの若き日の貌、パワー全開の姿が鮮烈に刻印されています。

東映・実録ヤクザ映画の先駆けとなった本作。 ストーリーは意外に難解、と言うか結構ヤヤコシイことになってます。

なにしろ(ドラマの進行に合わせて)刻々と移り変わる、ヤクザ組織の合従連衡、敵味方、親分子分、兄弟関係。

また、それらの繰り広げる虚虚実実の駆け引きが、激しくもエゲツないです。(^^ゞ
正直、何度か観返し観た今でも、ハッキリ理解出来ている自信がありません。orz

もっとも、この、わやくちゃさ。
世の中って大概そんなモンかもしれないって、妙に納得させられたりもします。
単純明快に、サッパリ割り切れる事なんて、世の中そうそうあるワケもないですしね。

まして、敗戦直後~朝鮮特需へと向かうこの時代。
物事、勧善懲悪の任侠もの的には、決してゆかないって言う、そこの処が、従来にはなかった斬新さ、リアルさってことで、映画ファンに広く受け入れられたのかも。 

        ▽▲▽▲▽▲

さて、それはともかく強烈、もう無類に面白いですね。 このヤクザ映画。

圧倒的なエネルギーと非情さ、更にはちょっとしたユーモアもありまして。 とにかく、もの凄い勢いで全編を押し切ります。

火を噴くように熱い演出は、映画の公開の後、各方面に影響を与えまくって、今これを観ると、オリジナルとは判っていても、どこか既視感が付き纏いますね。

なんかやたらと扇情的な音楽(津島利章)は、あんまりあちこちで取り上げら過ぎて、もはやギャグの域に入っちゃってるし。(笑)

        ▽▲▽▲▽▲

それまでの任侠路線とは全く異なった、リアル志向の東映・実録ヤクザ映画が、ここから始まります。

旧来の侠気・義理と人情の価値観に対し、それらを全否定するかのような欲望・カネとチカラの世界を提示して、戦後日本=現代を描いてみせました。

その、一様にリアル・現代的な登場人物たちの中で、旧い価値観をかろうじて保ち続けているのが主人公・菅原文太。

新しい価値観で、想うがままに生きようとする松方弘樹とは、やがて対立せざるを得なくなります。

そうは言ってもこの二人、長年共に修羅場を乗り越えて来た朋友同士なのですが・・・・

        ▽▲▽▲▽▲

登場するのは(どいつもこいつも)悪人ばかりのこの映画、その中でも The悪役 と言えば金子信雄。

世に「悪い奴だけれど、どこか憎めない・・・・」的な表現がありますけれど、その言い回しがこれほど似合う人物もいないでしょう。

舌先三寸で、乾分を意のままに操るふてぶてしさ。
腹の底の見えなさ(いや、観ているコッチには、まる判りだけれど(笑))と、持ち前の芝居っ気、それらが醸し出すそこはかとない可笑しさ。
独特の広島弁の言い回しも含めて、よくぞ魅力的なキャラを創造してくれたモンです。

この御仁に掛かると、旧いヤクザ気質を残した菅原文太(でもこの人、復員して金子信雄に拾われるまでは、カタギだったんですけれど(笑))なんか、コロリと嵌められちゃう。

        ▽▲▽▲▽▲

抗争って、要は酷い裏切りの仕掛け合いと、凄惨な殺し合い。
戦いは、生き残った者たちよって引き継がれ、どこまでも終わりの無いことが暗示されます。

暴力的なまでに暑い日、煮えたぎるように熱い映画を観ました。
 
 

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