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July 21, 2018

読書:刑務所通いはやめられねぇ

 
 
刑務所通いはやめられねぇ
 
 ~笑わせて、泣かせる落語家慰問~
 
 
    桂 才賀 著
 
 
            2008年  亜紀書房
 
 
著者の七代目・桂才賀師匠は現役の落語家さん。

海上自衛隊勤務を経て、九代目(先々代)桂文治に入門、後に古今亭志ん朝門下へ。
なんでも、80年代には「笑点」の大喜利メンバーを勤めていたんだそうな。(知りませんでした)

この方の高座って、私は伺った経験がないけれども、全国各地の刑務所/少年院の慰問活動を続けて、もう(2008年の執筆時点で)25年にもなるそうで、気骨の人なのは間違いないやね。
        ▽▲▽▲▽▲

刑務所の慰問って、そんなのがあるんですね!
そういえば、かなり以前に伺った三遊亭歌武蔵師匠の高座で、そんなエピソードを聴いた事があるような。

ともかく才賀師匠、本業の寄席の合間に一座(「芸激隊」と言うそうで)を引き連れて各地を廻って来た、その方面では第一人者ってことらしいです。
しかもこれ、ギャラ(どころか交通費すら)なしの純粋なボランティア活動であります。
プロの落語家をして、なにがそこまで惹きつけられるんでしょう。

刑務所/少年院という世界。
果たして、そこにあるのは、寄席とはまったく違う客筋でした。
そりゃそうです。 片やわざわざ寄席まで脚を運んで、木戸銭を払ってくれるお客さん。
一方、こちらは罪を犯して収監された受刑者です。

数年から、場合によっては出口の見えない程の長期刑までの、外部とは完全に隔絶された世界に棲む受刑者たち。
それを笑わそせよう、頑なな心を解きほぐして、更正に向けて役立てても貰おうってんですから。
(なぜ受刑者に慰安が必要か?、この辺の師匠の考えは、読み応えありました)
ともあれ、容易には笑ってくれない受刑者たちと相対した時の、笑顔のハードルの高さと、それをクリアした時の達成感はかなりのものがあるんじゃあ?

        ▽▲▽▲▽▲

ここでは、慰問の際の演目とか構成とか、そして如何にウケたかなど。 こと細かに記されています。
それが、落語家・桂才賀のキャラクター上、やたらノリノリで自画自賛気味になっているんですけれど、これってワタシ的に(正直言って)あんまりオモシロイものではないと想う。
しかも長い。 つまり割かれているボリュームが多過ぎる。 この辺は、もっと簡単に紹介するだけで良かったと想うナ。

師匠も、そうは想わないんですかね?(^^;
だって、舞台に立つ人って大概言うじゃないですか。
自分らの高座(ライブ)ってものは、音や映像で見たって、その好さ(スゴサ)は伝わってこない。 だから、是非にも会場まで足を運んでくれって。
まして、それをこうして書籍という形で、文字で表現されてもねぇ。(^^ゞ

でも、普段とは勝手の違う客筋を相手に、芸人として、プロとしての意地。
意地でも笑わせてやる! ウケてやる! っていう試行錯誤と、この場での経験は、必ずや芸の肥やしになっているんでしょうね。

また、報われない刑務管の暮らしにスポットを当てたのも良かった。

        ▽▲▽▲▽▲

桂才賀師匠の他、三遊亭歌武蔵師匠、鏡味仙志郎師匠ら、寄席で見掛けた顔も登場する本書。
もちろん、才賀師匠と同様、手弁当で全国の刑務著/少年院を廻る仲間たちです。

普段寄席で見掛ける芸人さんの、もうひとつの顔がここにはありました。
 
 

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