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August 10, 2017

小説:高円寺純情商店街

 
 
高円寺純情商店街
 
 
  ・天狗熱
  ・六月の蠅取紙
  ・もりちゃんのプレハブ
  ・にぼしと口紅
  ・富士山の汗
  ・真冬の金魚
 
     ねじめ正一著
 
        1986年   日本
 
 
商店街ってのはイイものです。
これという目的が無くっても、一旦入ってしまえば愉しくなって時間を忘れてしまう。 なので、一旦入ってしまうと、これが中々出ては来れないんだよね~。

私が昔住んでいたところの隣駅には、それはそれは大きくて素晴らしい好い商店街があって、時折遊びに行ってました。 未だ、栄えているんだろうか?
今住んでいるところの隣駅にあたる京成大久保駅の付近にも、立派な商店街がありまして、ここも好く訪れます。
一方、京成谷津駅前のは、規模は小さいけれど、綺麗に整備されており、BGMにジャズが流れたりする小粋な商店街です。 ここも偶に行きます。
で、我が地元はと言えば、私が当地・津田沼に引っ越して来た時、既に商店街は姿を消していました。

wikipediaで「津田沼」を検索すると「津田沼戦争」(大手スーパー同士の生き残り合戦)なんて項が出て来るくらいで、市場として決して小さくはなかったと想うんですけれど、津田沼駅前の周辺に24時間(または深夜まで)営業の大型スーパーが続々と出来ちゃいましたからね。 商店街にあるような小店舗なんてひとたまりも無かった筈。
ともあれ、便利さの代償として失ったものは少なくないと想いますね。

        ▽▲▽▲▽▲

本書は詩人、ねじめ正一の自伝的内容の連作短編集です。
著者が多感な少年時代を過ごした当時の、高円寺駅前の商店街。 その内の一軒、削り節が評判の江州屋乾物店。 そこの一人息子・正一少年の視点から見た商店街、父と子、家族、商店主たちの姿。

乾物屋に生まれた子として、手伝いは日課のうちです。 正一少年にもいろんな役が、当たり前のように割り振られます。
他にも往時の乾物屋ならではの、深刻な湿気との戦い。 大手の乾物屋との受注を巡る戦い。 などなど、子供ながら(主として、店の存続に)あれこれと心を痛めます。 大変だねぇ。
その他にも、店員の青年の実らぬ恋に心を砕いたり、隣に化粧品店の仮店舗が出来たら周囲の情景が一変して見えちゃったり、家風呂が壊れて銭湯に行くようにしたら・・・・などなど、純情とはまさにこれです。

文章が流石に綺麗で、読んでいてなかなか気持ちの好い一冊でした。
野菜は八百屋で、鮮魚は魚屋、そして鰹節やタマゴは乾物屋でひとつひとつ買い求めていた頃(って、ボクなんかほとんど覚えていないけれど)の、昭和の商店街・純情だった少年の姿です。
 
 

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