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March 26, 2017

小説:復活の日

 
 
復活の日
 
 
   小松左京 著   1964年
 
 
いつ何処で聴きかじったのかは忘れてしまいましたけれど、人類最大の脅威と言えば・・・・犯罪・戦争・飢餓・自然災害から野生動物といろいろとあれど、細菌・ウィルスなどの微生物がトップなのだそうで。 奴ら、確かに有史以前から、他の何よりも多く人のを苦しめ、また命を奪って来た、人類の仇敵なのかもしれません。

小松左京、初期の代表作である本書。
熱心なSF小説ファンであった父の書棚にも、これがあったような(微か~な)記憶が。
が、なにしろ若きSF作家が全力投球で書き下ろした野心作ですからね。
ガチなハードSFで、生憎と子供に興味の持てるような内容ではなかったです。
以来、手に取にすることもなかった「復活の日」ですけれど、それを今頃になって読んでみたんです。

※ 時は冷戦時代、某国が軍事目的で開発したウィルスが外部に流出。
ウィルスは歴史上例の無い程の高い致死性と増殖力とを持ち、感染したものは次々と正体不明(当初は)の病気に倒れ、死んでゆく。 瞬く間に世界中に蔓延した結果、人類を含むほぼ全ての動物が死に絶えてしまうのだが・・・・

壮大な破滅ものSFでした。(今風に言えばディザスター・パニック小説ってところでしょうか)
条件さえ揃えば、驚く程短期間に広がるのがウィルスというもの。
まして、軍事目的で創られたが故に、感染力も致死性も圧倒的で、新種故(また、ウィルスってのは次々と変種が現れるだけに)対策が容易でないときています。

なにしろ冷戦当時の小説です。 実際に、どこか大国の研究機関が造っていたとしても、ちっとも不思議ではない生物兵器。
それがきっかけとなって、人類が全滅の危機に・・・・
この顛末が、博覧強記のSF作家によって、一つ一つ理詰めで、論理的に展開されるだけに、リアリティと怖さはいや増すワケですね。 お話はその分、若干お固くもなっているんですけれど。

主人公こそ日本人ですけれど、その他の登場人物や舞台などは国際的。 ストーリーは世界各地で進行します。
大阪万博まであと6年前と言うタイミングで記された本書。 ネットでつながった現在とはまた異なった、世界的な視点への志向を感じますね。
ややお固い文体は、あるいは純文学を意識していたんじゃないかと、私は思います。
SFってものが、未だ異端視されていた時代ですから。

ところで、バイオテクノロジーが一般的なブームとなったのって、いつ頃でしたっけ?
もう随分と前のような気がしますけれど、ともあれ、本書の発表当時は(バイオもそうですが)パンデミック、感染爆発、スーパースプレッダーなどと言う言葉(概念)自体、未だ一般的ではなかったと想います。
そんな時代に、細菌・ウィルスによる破滅をテーマにした長編ハードSFをものした小松左京の慧眼。

ウィルスと聴けば、まずはコンピューター・ウィルスを連想してしまう現代ですけれど、日頃から納豆を好んで食し、ヨーグルト造りにはまり、漫画「もやしもん」を愛読し、更に先日、風邪にこっぴどく悩まされた身としては、意外に身近であり、共感し易いプロットを持つSF小説でした。
 
 

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