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September 01, 2016

読書:最後のクレイジー 犬塚弘

 
 
最後のクレイジー 犬塚弘
 
  ~ ホンダラ一代、ここにあり! ~
 
 
 
    犬塚弘、佐藤利明 著
 
 
        2013年   講談社
 
 
 
「ハナ肇とクレージーキャッツ」のベーシスト、犬塚弘の一代記です。
元々は東京新聞の夕刊に連載していたエッセイを、一冊にまとめたものなのだそうで。
執筆の当時、他のクレージーキャッツメンバーが(そして関係者の多くも)既に鬼籍に入っていた為、表題も「最後のクレイジー」と。

犬塚弘(1929年生まれ)その人の生い立ちから、クレージーキャッツの結成と活躍。 当時創成期にあったテレビ界の寵児となり、息継ぐ間もないほど忙しかった超売れっ子時代。 そして、各々のソロ活動がメインとなるクレージー後期から現在までを描きます。
こうしてみると、クレージーキャッツの歴史ってそのまんま、戦後ジャズ史であり、芸能史であり、なによりテレビ放送の歴史なんですね。

七人編成の「ハナ肇とクレージーキャッツ」ですけれど、犬塚弘に言わせれば、その人気は三人のメンバーの力に因るのだとか。
豪快な印象のリーダー・ハナ肇。 その素顔は(やはり)ガキ大将/お山の大将であったようで。
個性派の谷啓は、天性のギャグメーカーであった反面、極端にシャイで神経質な男。
人望と明るさで圧倒的な人気を得た植木等。 でも、その素顔は繊細で悩み多き人であったのだとか。

この三人が、クレージーの中心という訳ですけれど、中でもハナ肇は(ジコチュー故に)グループの和を乱してしまいがち。 そこで、他のメンバーとの仲を取り持つべく、ハナの女房役を買って出たのが犬塚弘でした。 バランス感覚に優れ、なにより、ご自分の立ち居地を心得てられるんですね。 犬塚弘、ジェントルで、そして気骨の人でした。

さて、一時代を切り開いたパイオニアのお話と言うのは、すべからく傾聴するに値するものなんであります。
草創期のテレビ放送業界にあって、「おとなの漫画」、「シャボン玉ホリデー」にレギュラー出演を果たし、全国区の人気を確立したクレージー。
全盛期クレージーのコミックバンドとしての活躍、私もテレビで見ていたのかもしれませんけれど(不覚にも)全く覚えていません。 動画サイトにあった(便利な次代になったもので)演奏を見てみましたけれど、なるほど!スゴイもんですね!!
こういう番組を、リアルタイムで味わった当時の視聴者。 なんてラッキーなんでしょう。

ジャズバンドとして確かな実力を持つ一方で、それをアッサリ(惜し気もなく)ぶち壊し、ギャグへと昇華(それもスマートに)してみせる、この思い切りの良さ!
こういうのって、余程粋で、お洒落で、なにより実力がなくっちゃ出来ませんよね。 彼らの後継者がなかなか現れないワケだ。

元々、メンバーのソロ活動が目立つクレージーキャッツですけれど、犬塚弘はやがて(五十代も後半となって)本格的な俳優の道へと、大胆な転進を果たします。(当時、あたかも第二の青春を往くかのような高揚感があったと言います)
本書には、テレビ/映画での大活躍が収束して以降の、云わばそれからのクレージー。 功成り名遂げて後の、メンバー各々の活躍。 そして、来し方を振り返っての感慨について頁が割かれており、そこがなにより印象的でした。
 
 

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Comments

クレィジー・キャッツの全盛期、テレビでよく観ていました。(^.^)
個性的なメンバーの中では最もまとも?というか、無個性であったのは犬塚弘でしたね。紳士服のモデルになってもよさそうなスマートな方でしたけど。。。

当時はテレビで、最も楽しく誰にでも受け入れられる人気ものがクレィジー・キャッツでした。

Posted by: おキヨ | September 10, 2016 at 11:08 AM

>おキヨさん
 
おキヨさんもご覧になったという、人気絶頂だった頃のクレージーキャッツ。
本書によれば、とにかく忙しい毎日で、息つく間もない程(やっぱり)だったそうですね。
先日私の見た映画「ニッポン無責任時代」も、そんな中で撮られたんでしょうね。 そう想うと、なんか感慨深いものが。(笑)

動画サイトに見る犬塚弘は、すらりとした長身にベースを構える姿が実にスマートですね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 11, 2016 at 08:50 PM

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