« 津田沼散歩:健勝軒  津田沼店 | Main | 職場を移りました »

September 18, 2016

映画:男はつらいよ 望郷篇

 
  
男はつらいよ 望郷篇
Tora-san's Runaway
 
 
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、宮崎晃
出演:渥美清     (車寅次郎)
   倍賞千恵子   (さくら)
   森川信     (おいちゃん)
   三崎千恵子   (おばちゃん)
   前田吟     (博)
   太宰久雄    (タコ社長)
   津坂匡章    (登)
   佐藤蛾次郎   (源公)
   笠智衆     (御前様)
 
   長山藍子    (三浦節子 <マドンナ>)
   杉山とく子   (節子の母・富子)
   井川比佐志   (木村剛)
 
 
         1970年   日本
 
 
 
Photo
 
 
  
「男はつらいよ」のシリーズ第五作目。
ここから山田洋次が監督へ復帰します。 待ってました!

映画の冒頭、寅さんが旅の枕に見る夢は・・・・まさかの おいちゃん 臨終の場面ですよ! ったく寅さん、何を考えてんだか。

衰弱しきって床に伏すおいちゃんを囲む、おばちゃん・さくら・博(他に医師と看護婦)。
ここ(この場面)は夢の中ですから、それぞれの人物は、寅さんが脳内で(潜在意識下で)イメージする出で立ちで現れるわけです。
おいちゃん・おばちゃんは「とらや」の店内で見掛ける、いつもの格好。 博は(インクと機械油で汚れた)ランニング・シャツ姿。 なるほどね。
それに対しさくらはと言えば、なぜか和服姿なんです。 着物のさくらって、珍しくない?

寅さんにとって、妹さくらは、やはり、掛け替えのない特別な存在なのでしょう。
そして寅さん的に、女性の装いと言えば断然和服に限るのだと想われます。
だからして、夢の中のさくらも、楚々とした和装でいなければならないと言うわけ。
寅さんが胸に抱く、さくらへの気持ちの暗示されるオープニングでした。

        ▽▲▽▲▽▲

さて、冒頭のシーンに見るように、シリーズ五作目「男はつらいよ 望郷篇」は寅さんの妹、さくら に焦点を置いた映画となっています。
 
 
※ 古いテキヤ仲間の非業の最期に立会い、また、さくら からも懇々と説得(説教?)され、自分もそろそろまっとうに生きなければと、殊勝な決心を固める寅さんなのですが・・・・
 
 
テキヤ仲間の一人息子を訪ね、北の大地を往く寅さんの旅。
夏の北海道・煙を吐いて疾駆するSL・ローカル線の鄙びた駅と、映画の序盤は見る者の旅情をそそる要素がたっぷりです。
蒸気機関車がまだまだ現役であった、当時の北海道の鉄道事情。
操車場の様子まで見せて貰えて(私は鉄ちゃんではないけれど)なんだか得した気分! 今作「望郷篇」の題名は、この辺りから来ているのかも?

その後帰京して(いろいろとありまして、いつものように)「とらや」を飛び出してしまう寅さん。
目の前の江戸川を小舟で(川の流れに任せ)下れば、やがて辿り着くのは浦安。
そう、今度の舞台は浦安なんです。 私の地元から、そう遠くない辺りでもあります。

        ▽▲▽▲▽▲

浦安の小さな豆腐屋に、住み込み店員として転がり込んだ寅さん。
豆腐造りから小売まで律儀にこなし、母娘二人暮らしの豆腐屋(ザックバランな母と、気さくな娘と)を支えて、すっかり頼りにされている様子。
額に汗して、油まみれになって働いている様子をみると、すっかり改心したように見えます。
が、そこは勿論、この店の一人娘にゾッコンなわけです。

本作のマドンナ長山藍子もまた、寅さんにとって特別な人と言えるでしょう。
寅さん、このシリーズで既に四度の失恋を経験済みですけれど、その相手は誰も皆、どう見ても高嶺の花だったり、住む世界/育った環境が違い過ぎたり、あるいは寅さんの一方的な想い込みであったり、などなど、いろいろと無理がありました。

でも、今回ばかりは違います。
長山藍子が演じるのは、下町に生まれ育った娘さん。
飾り気がなくって、気の置けない、この娘さんこそ、寅さんにピッタンコじゃないですか。
このまま下町の豆腐屋の婿に入って、ごく自然に、ピッタリと納まりますよ。 絶対に。
ヨシっ 今度こそ間違いなし!

・・・・と想わせて追いて、無論のこと、上手くは運ばないワケですよ。
成就していれば、寅さんの人生が大きく変わったに違いないだけに、今度の失恋はあまりにも痛い!
山田洋次監督、寅さんにナンと過酷な運命を与えるんでしょう。

        ▽▲▽▲▽▲

さて、寅さんの実らぬ恋の顛末を 付かず離れずの距離から見守るのが妹さくらです。
浮かれる寅さんを、時に気遣い、嗜める。
さくらには、始めっから見えていたんですね。寅さんの辿るであろう運命が。
思えば、こんな寅さんを決して見放さない、いつだって兄の行く末、幸せを案じて来た さくら でした。

ドラマの背景として映し出される1970年(大阪万国博の年ですね)当時の浦安が、また素晴らしいんです。
半世紀近くも前の当地の風景。 港街の点景や、河沿いに幾多の漁船が舫ってあるカットなど(極々短いシーンなんですけれど)感激しました。
それは人々が、後々この地に夢の国(米国発の巨大テーマパーク)が出来ようなど、夢にも想わなかった頃の、港街浦安の姿でした。
 
 

|

« 津田沼散歩:健勝軒  津田沼店 | Main | 職場を移りました »

Comments

私も今、毎週火曜日、夜9時からBSプレミアムで放送される寅さんを楽しみに見ています♪
寅さんこと渥美清が国民的俳優という意味がよくわかりました。
それと下町風情のあり方しみじみと懐かしいですね。

Posted by: おキヨ | September 19, 2016 at 11:37 AM

>おキヨさん

寅さんシリーズは、その一作一作に時代や地域が刻印されているのが嬉しいですね。

初期作品である「~望郷篇」では、寅さんをはじめ、レギュラー出演者も若々しく、なかなかエネルギッシュな動き(恒例、寅さん VS おいちゃん の大喧嘩とか(^^ゞ)を見せてくれます。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 20, 2016 at 08:33 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/64222497

Listed below are links to weblogs that reference 映画:男はつらいよ 望郷篇:

« 津田沼散歩:健勝軒  津田沼店 | Main | 職場を移りました »