« 職場の忘年会 | Main | 今年の第九 »

December 28, 2015

映画:次郎長三国志

 
 
次郎長三国志
 
 監督、脚本:マキノ雅弘
 原作:村上元三
 撮影:三木滋人
 音楽:鈴木静一
 出演:鶴田浩二      清水の次郎長
     山城新伍      桶屋の鬼吉
     松方弘樹      関東の綱五郎
     大木実       清水の大政
     田中春男      法印の大五郎
     津川雅彦      増川の仙右衛門
     長門裕之      森の石松
     佐久間良子     お蝶
     藤純子(富司純子) お千
     堺駿二        新吉
     藤山寛美      沼津の佐太郎
  
 
      1963年   日本 (東映)
 
 
なにを隠そう私め、往年の大スター・鶴田浩二ついて、昔っからさほど注目して来ませんでした。
だって台詞回しが如何にも朴訥だし、所作も何処かもっさりとして見え、どうにも不器用そうな印象が付いて廻って・・・・

その鶴田浩二が清水の次郎長を演じ、これまで東宝で幾つもの次郎長ものを撮って来たマキノ雅弘がメガホンを取ったのが、この東映版・次郎長三国志です。
なんの予備知識まないまま鑑賞に臨んでみたら、これがもの凄くヨカッタ!

なにせこの映画、お話しがサクサクと進んで、停滞するってことがありませんし、任侠ものだけあって義理人情も描かれるんだけれど、アッケラカンとして後に引き摺らないところが好い。
チャンバラ(スピード感溢れる)あり、笑いもありで、始めからお終いまで娯楽に徹しています。

鈴木静一の音楽がまた、なんともノーテンキで素敵なんです。(ところどころ差し挟まれる唄も愉しい)
時代劇の音楽にピアノを使うところがお洒落。

総じて、飛びっ切りの「粋」を感じさせる映画でした。

        ▽▲▽▲▽▲

※ 清水の次郎長が、駆け出しの渡世人であった頃のこと。
一家を構えるどころか、未だ乾分のひとりだって抱えちゃあいません。
そんな次郎長が(縞の合羽に三度笠の旅姿で)道中ふと立ち寄った秋葉神社の祭礼。
そこで起こった賭場での諍いから、このお話しは始まります。

イカサマ博打を見破られて激昂するヤクザを、擦れ違いざまスパッと斬ってみせた次郎長。 その時の、片足立ちでたたずむ姿のカッコイイこと!
続いて繰り広げられる立ち回りも、真剣勝負の重厚さよりも、むしろスピード感で魅せます。
鶴田浩二のアクション、私なんかが想っていたよりも遥かに達者なものでした。

さて、このときの縁から次郎長の乾分となった桶屋の鬼吉はとにかくパワフルな男! ハイテンションの名古屋弁で、激情家かつ感激屋というキャラは、若き日の山城新伍にぴったりハマってます。
後のエピソードで次郎長と再開した鬼吉。 感激のあまり、草鞋履きのまま奥へと上がり込んでしまうんですけれど、自分が仕出かした粗相に気付くと(なにせ根が気のイイ男です)平謝りで床を掃除します。 すると次郎長親分、自分も懐から手拭を取り出し(しょうのねェ奴とばかり)一緒になって床を拭きはじめます。
この時のごく自然な振る舞い、その謙虚さがまたカッコイイ! そして体面とか気にしない、次郎長の大物ぶりをもアピールしていますね。

名場面の続くこの映画の中でも、上記の二つのシーンが、私はとりわけ大好きです。

        ▽▲▽▲▽▲

この映画はでとりわけ、後に大スターへと成長する若手俳優らの見せるフレッシュな魅力が光ります。

次郎長一人目の乾分は桶屋の鬼吉(山城新伍)。
山城新伍と言えば、私なんかテレビのバラエティ番組で司会を務めた、ちょっとエッチで押し出しの強いオジサンとして認識していましたけれど。 のちのバラエティ番組の顔も、1963年のこの映画ではパワー全開! 俳優としての溢れんばかりの可能性で輝いています。

お次の子分は関東の綱五郎(松方弘樹)。
ホットな鬼吉とは対照的に、ダークな魅力を漂わすクールガイです。
殺陣の巧みさはこの当時から。
単にキザなイケメンってだけじゃあない、侠気にワルさ、甘やかさとそれから茶目っ気まで感じさせられます。 この当事からスター要素で満載だったワケですね。

それから、デヴューの年の藤純子(富司純子)。
後々の凛とした雰囲気は、さすがにその片鱗すら見えず、溌剌として健康的な魅力全開です。

        ▽▲▽▲▽▲

この映画は、幾つもの短いエピソードから成っています。 どのお話しも、引っ張ることなくスパッと終わるんですけれど、それがイイ。 余韻、よいん、です。
こういう辺りの匙加減がとにかく絶妙で、それってつまり、映画の造り手が「粋」ってものを好く心得ているから出来ることなんでしょうね。

後半、ある喧嘩の仲裁を買って出たのが仇となり、お尋ね者となる次郎長。
一家を率いて再び旅に出るんですけれど、清水一家にはやはり旅姿が似合いますね。
法印の大五郎(田中春男)が一家に加わり、増川の仙右衛門(津川雅彦)と出会って、更には沼津の佐太郎(藤山寛美)の下に寄宿する辺りから、お話しは失速気味に。

映画の終盤では身ぐるみ剥がされ、裸一貫になってしまう清水一家ですが、それでもなんら臆することなく、街道を駆けて往きます。 この楽天的な明るさ、前向きさ。 これで任侠ものなんですから愉快です。

若くて元気一杯の清水一家、只今売り出し中です!
 
 

|

« 職場の忘年会 | Main | 今年の第九 »

Comments

公開年を見れば東京オリムピックの前年ですね。若大将シリーズがブームになって、世の中が浮かれまくっていた(という話)ころの作品ですから、時代劇とはいえ制作時代の雰囲気が色濃くでているのでしょうね。

しかしまあ、キャストがすごいですね。現代の映画でこんなにギャラが高い方を集めるのは無理でしょう。また、皆さん個性的ですから、まとめるのが大変だったでしょう。さすが、巨匠マキノ雅弘監督ですね。

Posted by: weiss | December 29, 2015 at 08:53 AM

1960年代の映画!出演者は当然ですが皆若かったですね。鶴田浩二の次郎長観たいですねぇ。。。
出演メンバーの豪華な事。
これは2日前にもある方のコメントに書きましたが、京都太秦の撮影所内で山城新伍さんとすれ違いましたが、あの方スポットライトやカメラが回らない所ではまるで地味。誰だかわかりませんでした。
ということは裏を返せばやはり凄い俳優魂ということになりますね。

私、小学生の頃鶴田浩二のファンクラブに入っていました〔笑〕

Posted by: おキヨ | December 29, 2015 at 11:57 PM

>weissさん
 
股旅ものにしてこの愉しさ、そして大らかさ。(^ァ^) やっぱり時代背景に影響されてのことなんでしょうね。
それにしても豪華なキャスティングで、今時の新作などよりも余程ワクワクさせられます。

中でもやはり(対照的な役柄を演じる)山城・松方の両若手が、それぞれ印象強烈でした。

津川雅彦は後に、自らが監督となって「次郎長三国志」をリメイク。 大いに気になりますね。(笑) これ、いつかその内に観てやろうと想っています。

Posted by: もとよし | December 30, 2015 at 05:21 PM

>おキヨさん

おキヨさんは鶴田浩二ファンでらしたんですね。(^ァ^)

この映画での山城新伍は終始ハイテンション。 もの凄いエネルギーには圧倒されます。(笑)
私など、後年バラエティ番組でみせた貫禄ある司会ぶりと大違いなのに驚いたんですけれど、やはり素顔はまた別なんですね。

キャストの皆さんの、現在との違いと言う点では、おきゃんな町娘を演じた富司純子が最たるものでしょうね。
後で配役を見直すまで、あの(!)富司純子のデヴュー当事の姿であったとは、まるで気が付きませんでした。(笑)

Posted by: もとよし | December 30, 2015 at 05:24 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/62957666

Listed below are links to weblogs that reference 映画:次郎長三国志:

« 職場の忘年会 | Main | 今年の第九 »