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September 21, 2015

映画:舟を編む

  
  
舟を編む
The Great Passage
 
 
 監督:石井裕也
 脚本:渡辺謙作
 原作:三浦しをん
 出演:松田龍平   (マジメ)
    宮崎あおい  (カグヤ)
    オダギリジョー (編集部の先輩・西岡)
    池脇千鶴   (西岡の彼女)
    渡辺美佐子  (下宿の管理人)
    黒木華    (編集部の新人)
    加藤剛    (国語学者・松本)
    八千草薫   (松本の妻)
 
       2013年   日本
 
 
ヒットした小説が映画化される、というのはよくある話しですけれど。 でもそういうのって、原作の人気に頼って(人気のある内に)急遽撮り上げたかのようなイメージが付いて廻りませんか?
私など、ついついそう想ってしまいがちです。 話題造りのため、旬の人気俳優をキャスティングしたりしてね。 偏見かもしれませんけれど。

2012年の本屋大賞を獲った、この「舟を編む」もまた、そんなところでしょうか。 小説の評判がまだまだホットな内に製作/公開というパターン。
でも、見ちゃった。(笑) なにしろ 三浦しをん の小説が、とっても面白かったですからね。
DVDを借りて来て(映画の方は、果たしてどんな出来かって案じつつ)鑑賞に臨んだら、これがとっても好かったんです。 予想を、好い意味で裏切られたカタチでした。

        ▽▲▽▲▽▲

主人公・マジメさんの暮らす古~い下宿屋の様子。
幾つもある部屋のどこを眺めても、時代の付いた(昭和の半ば辺りで時間が止まってしまったかのような)クラシックな雰囲気を醸しており、まるでマジメの人となりを象徴しているようです。

それからマジメの勤める辞書編集部の雰囲気も好かった。
乱雑な室内。 膨大な資料の山に、今にも押し潰されてしまいそうなデスク周辺。
辞書編集部が社内でも秘境扱いされているってのも、これならナットクってもんです。

こういう大道具/小道具の類がしっかりしているお陰で、作品世界がより高いリアリティを帯びて来る。 結果、主人公・マジメの極めてユニークな人間像も、無理なく描かれるんですね。

        ▽▲▽▲▽▲

主人公のマジメに松田龍平。 出ました、今まさに旬の役者!
無難と言うか、さもありなんって感じの配役ですかね。
全体的に好演しているんですけれど、でも辞書編集部のベテラン荒木主任から、出会いがしら、「右」についての語釈を問われたときの反応が、単なる不器用/真面目人間というだけにみえてしまってイマイチでした。
ここって、マジメが己の天職と出会おうとする場面なんですよね。 ですから、もちっと才能の片鱗と言うか、キラメキを見せて欲しかったかなと。

その相手役、香具矢さん役の宮崎あおい・・・・ちょっと可憐に過ぎると想いました。 原作を読んでのイメージが、邪魔をしているのかもしれませんけれど。
ともあれ、松田龍平と二人並べてみると、このカップルはちょっと可愛過ぎなんじゃあないかな。

辞書編集部のチャライ先輩、西岡役にオダギリジョー。
最高でした! 原作でもムードメイカー(マジメには決して勤まらない)の美味しい役どころでしたけれど、映画ではオダギリジョーの投入によって、その存在感をぐっと上げました。 こうなると、もう一人の主人公と言って好いかもしれません。
その彼女役、池脇千鶴(ざっくばらんな雰囲気が好し)ともども、マジメ夫婦とは好対照の二人。

加藤剛演じる老国語学者の品格。
あの大岡越前(!)が、かくも綺麗な歳の取り方をしていた・・・・ その奥さま役・八千草薫ともども。 ナットクの人選です。

叩き上げの辞書編集者・小林薫の安定ぶり。
辞書編集部の新人、黒木華からは豊かな才能を感じさせられました。

        ▽▲▽▲▽▲

全体的に優しく穏やかな雰囲気の作品ですけれど、主人公像に確固としたものを感じられて好感が持てました。

辞書の編纂は、気の遠くなるような長丁場の仕事ですけれど、マジメはその間、情熱を絶やすことなく(しかし過度には熱くならず)、時には逆境にも耐え、休むことなく仕事に取り組みます。

宮崎あおいとの夫婦役も、あんまりベッタリとはならず、至ってもの静かなラブラブっぷり。
二人の間に、常にある一定の距離を感じさせられるのが、如何にもマジメらしく興味深かったです。

その淡々としたさまは、俳優・松田龍平の面目躍如ですね。
 
 
   舟を編む    三浦しをん著  (映画の原作です)
 
 

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Comments

私はたしか映画の方を先に観たような・・・?
そのあと、この欄で原作のご紹介があり面白そうだったので本を読んだ、ような気がします。
そういうわけで、映画と原作が分離しちゃった感じで(~_~;)
松田龍平は違った形で父親の才能を受け継いだ感がありますね。

Posted by: おキヨ | September 21, 2015 at 11:50 AM

>おキヨさん

この映画、おキヨさんもご覧になっていましたか。(^ァ^)

原作については、終盤に至ってカグヤさんが登場しないのがやや不満だったんですけれど、映画のラストシーンはマジメとカグヤさんで締めてくれましたね。 あの終わり方、とても好かったと想います。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 21, 2015 at 12:29 PM

おはようございます

 映画しか観ていないわたしです^^。
原作は未読なので読んでみたいです。

わたしも原作を先に読んで、そのあと映像化されたものを観るとちょっと違うな・・・という感じがいつもありますね。原作を読みながら自分の中で主人公たちのイメージを作り上げてるからかもね。

でもいい映画でしたね!

Posted by: みい | September 22, 2015 at 10:42 AM

>みいさん

「舟を編む」原作が面白くって、映画もまた上手く造られており、そのどちらもがヒットしたという、まことに幸運な作品と言えますね。(^ァ^)
お陰で、ひとつのストーリーを二度愉しむことが(映画化されるにあたって、原作が若干改変されてはいますけれど)出来ました。

映画化にあたって省略された部分にも好いエピソードが(マジメが主任になってからの編集部の仕事ぶりとか、編集部の新人・岸辺のロマンスとか)いろいろとありまして。 原作の方も、オススメでなのであります。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 23, 2015 at 12:18 AM

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