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September 17, 2015

小説:ビブリア古書堂の事件手帖

 
 
ビブリア古書堂の事件手帖
 
   ~栞子さんと奇妙な客人たち~
 
 
     三上延 著
 
         2011年   アスキー・メディアワークス
 
 
 ・プロローグ
 ・第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)
 ・第二話 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)
 ・第三話 ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)
 ・第四話 太宰治『晩年』(砂子屋書房)
 ・エピローグ
 
 
初めて訪れる土地の、偶々見掛けた古本屋に、ふらりと入ってみる。
この小説のあとがきで、著者が好んで取る行動として書いているんですけれど。
そういうのって私も好きで、あちこちでやったことがあります。
古書そして古書店に対する著者の熱い思い入れ。 私は素直に共感することが出来ました。

こういった若い世代向けの小説って、私はジュブナイルという呼び名で認識していたんですけれど、今はライトノベルって言うんだそうで。
今時のジュブナイル(?)とはどんなものなのか? 偶々図書館で本書を見つけたので、早速読んでみることにしました。

        ▽▲▽▲▽▲

JR北鎌倉駅前の「ビブリア古書堂」は、店構えもこじんまりとした、個人経営の古書店。
訪れる客もまばらで、北鎌倉界隈の景観にすっきり溶け込んでいます。

店主の栞子さんは、ある事故のため、地元の病院へと入院中。
人手不足のところへ(縁あって)アルバイト店員として入ったのが就活中の若者、五浦大輔。 本書の語り手です。

探偵役は、古書に関して底知れない知識と、そして計り知れない洞察力を発揮する栞子さん。
そして、とある事情から読書を大の苦手とする(のに古書店に勤めてしまった!)五浦さんがワトソン役を務めます。
栞子さんは病院のベッドの上に寝て居て動けませんから、これは、いわゆるアームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)スタイルの推理小説ですね。

名探偵ポジションの栞子さん。 超人見知りで、口下手、当然人付き合いなんてチョー苦手です。
けれども、こと古書のこととなると、途端にスイッチが入り(!)、別人のように積極的にふるまうっていう設定。
小説の主人公として、なんだかメンドクサそう(!)な性格なんですけれど、それをクドクなる一歩で前で上手にまとめていると想います。

        ▽▲▽▲▽▲

連作短編集の体裁を取った本書。
毎回、ビブリア古書堂の扱う古本をテーマに推理劇が展開します。
取り上げる本は、一般にあまり知られていない書物だったり、あるいは有名でも、ちょっと訳アリだったり、(マニア垂涎の)稀覯本だったり。(いずれも、著者の思い入れ深い書籍なのだそうです)

主人公らの潔癖さ。 全編を覆う、サラリとした軽さ。 なんとも薄味な作風で、私などこれはこれで好きなんですけれど。 でも、若い世代が好んで読むモンなのかなぁ? どうしてヒットしたんだろうって。 そこのところは読後の今も疑問です。 作品そのものの価値とは、関係のないお話ですけれど。

主たる読者層としては、書物を手に取ることの(比較的)少なくなっている、イマドキの若い世代でしょうけれど。 彼らもまた(我々がそうであったように)書物の山に囲まれた古書店の雰囲気に憧れたりするんでしょうか?

本書の設定、若者向けの小説としては、いささか地味に過ぎる設定のようにも感じられますけれど。 ともあれ、こういう小説が近年のミリオンセラーとなったんですね。
 
 

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Comments

面白そうな本ですね。
私も古書店が大好きです。寂れた町の小さな古本屋に小躍りしたくなるような本を見つけることがありますね。

これは古本屋さんではなく、現在は喫茶店になっていますが、有島武夫が心中事件を起こした元別荘にその時代の古本が収集されていて、コーヒーを頂きながらその本を読むことが出来ます。

軽井沢は大正、昭和の作家の別荘が多くあったところですから、その時代本を置いてある古本屋さんがあるので、立ち寄るのが楽しみです。

そういう意味では北鎌倉辺りも古書店が多そうですね。

Posted by: おキヨ | September 18, 2015 at 12:21 PM

>おキヨさん
 
個人経営の古本屋さんと、それから本屋さんも。 どちらも、次第に数を減らしてゆくものとして挙げられますね。 ホント、撤退してしまうお店を、これまで幾つも見て来ました。(>_<)
 
おキヨさんも古書がお好きでしたか。(^ァ^)
都心から離れた小さな古本屋さんで、想わぬ掘り出し物に出会う! 私も覚えがあります。
ビブリア古書堂は架空のお店なのだそうですけれど、北鎌倉あたりに実際にありそうですよね。 こんなお店。(^ァ^)

Posted by: もとよし | September 18, 2015 at 11:55 PM

おはようございます

 この本は読んでませんが、書店でよく目にしますよね。
TVでドラマ化されてたのは、観てましたよ。
剛力彩芽さんが栞子役でしたね。
本のイラストの感じとはちょっと違ってましたけど。
でも面白くて毎回観てました。
古書店は、わたしも好きですよ。
ふらりと入ってしまうかも^^。
あの雰囲気がいいですね~
こちらでは、ほとんど見かけませんが・・・。

Posted by: みい | September 22, 2015 at 10:31 AM

>みいさん

今時のライトノベルなるもの。 今回始めて読んでみました。
テレビドラマ化もされたんですよね。(結局未見となりましたけれど)名前だけは、聞き及んでいます。 古書店が舞台と言うことで、想わず注目してしまったようです。(笑)

本の方は、仰るとおり瀟洒なイラスト(書物に埋もれた妙齢の美女、北鎌倉駅前の古書店など)が添付されていて、ナルホドこうところがライトノベルなのかな、とか独りでナットクしちゃいました。(笑)

Posted by: もとよし | September 23, 2015 at 12:13 AM

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