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May 19, 2015

小説:プリンセス・トヨトミ

 
 
プリンセス・トヨトミ
Princess Toyotomi
 
 
    万城目学 著
 
 
       2009年   文藝春秋
 
 
橋下徹大阪市長と大阪維新の会の掲げる大阪都構想。 先日の住民投票の結果は「反対」ってことになりましたけれど、しかしまた僅差でしたねぇ。
橋下さんはこれにてキッパリ引退されるとのこと。 会見に臨む橋下さん、なんだか吹っ切れた風に見えます。

それにしても「都構想」という言葉自体には一種の妙味がありますね。 なんか(そういう意味じゃあないと判ってはいても)革命にでも臨むような感じ(錯覚)を誘発させて。

        ▽▲▽▲▽▲

今、私は千葉県に住んで居るんですけれど(以前にも書かせて頂きましたけれど)元々は大阪の生まれなんです。
幼い頃(小学校へと上がる直前)一家が静岡へと引っ越しまして、以来ずっと関西文化圏の外で暮らしています。
ですから今の私は、どこから見てもコッチの人間なんですけれど、一方両親の方は筋金入りの大阪人です。
東京近郊に何年暮らそうと、喋る言葉は相も変らぬ大阪弁でしたし、ものの考え方や生活習慣、なにより家庭の味など、大阪のそれを引き摺っていました。
つまり、何処へ引っ越そうと、実家の内はず~っと大阪文化圏であり続けたわけですね。

ともあれ、当事(私が両親の元に居た頃)の我が家は当地の文化に上手く溶け込んでいまして、今時のネット上で時折り見受けられるような「東京 vs 大阪」みたいな意識はなかったように想います。

が、果たして両親の心中はどうだったんでしょう?
生まれ育った大阪を離れ、生活の基盤をこちらに築いて、関東で暮らしていた両親が、コッチの文化をどう感じていたのか・・・・
母から関東の文化についての違和感/不満といったものを聴いたのは私が小学生の頃。 一家が静岡に引っ越した当初だけだったような気がします。
 
        ▽▲▽▲▽▲
 
ずっと昔、私が大阪市内に住む伯父のところに遊びに行った時のこと。
伯父は大張り切りで、大阪城の周辺を案内してくれたんですけれど、私の大阪城に対する無関心さ/つれなさ(空気の読めない子だったんですね)が随分とショックであったらしく、普段気の好い伯父の不興を買ってしまいました。
大阪城については、そんな苦い想い出があります。
 
        ▽▲▽▲▽▲
 
※ 舞台は大阪市内。 東京の会計検査院から実地検査にやって来た辣腕検査官たち三人が市内各所で検査を続ける中、とある謎の団体と相対します。 その団体の目的/設立理由、そして歴史とは一体・・・・

これは大阪で無ければありえない、類のない壮大なお話し。
なんといってもアイデアが秀逸ですよ。 花丸、二重丸!

会計検査院から来た三人がそれぞれ個性的で愉しいし、登場人物の名前を戦国武将・姫らになぞらえる演出も(ミスリードを仕掛けて来るみたいで)オモシロイ。

やっぱり大阪城(そして太閤秀吉)って、大阪人のシンボルなんですね。
きっと、この辺の気持ちは大阪に生まれ育たないと判らない・・・・つまり、私なぞには理解の出来ないものなんだと想います。

ただ、中盤以降で若干ダレちゃいましたね。 グイグイと引っ張ってゆくような魅力/パワーに欠けるというのか。
大阪市内に暮らす庶民/市井の人々の描写。 それらが点景的に描かれるんですけれど、長ったらしくてあんまり巧みじゃあないですね。
それと、今ひとつ説得力に欠けるんですね。 アイデアが奇想天外なだけに惜しい(生意気な書き方かもしれませんけれど)と想った。

大阪夏の陣からこっち、首都ポジションを持っていかれたまんまでいる商都大阪の抱えるルサンチマンやら反骨精神やら・・・・と言ったコトは書いてなくって、そこにあるのは太閤家への愛惜。 大阪人のシンボルとしての大阪城と太閤秀吉。
そういうことどもについて、これまで考えたことが無かった者にとっては、実に新鮮な視点を提示する小説です。

その昔、情に厚い伯父御を怒らせてしまった記憶を蘇らせた(!)こともあり、私にとって読後感のややホロ苦い小説でした。
 
 

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Comments

ご両親は大阪出身でしたか。。。もとよしさんは大阪人の血が流れているということになりますね。
昔大阪出身の友人がおりまして私は関西弁のテンポの良い話し方に魅力を感じた時代がありました。


私は政治には疎い人間ですが、橋本さんが今回の敗北ですっぱり政治家をお辞めになるようですがね。
彼に政治家としての賛否は両論でしょうが、淀んだ政治界をかきまわす人材としては逸材ではなかったかと思うのですが。個人的には惜しいですね。

Posted by: おキヨ | May 20, 2015 at 12:13 PM

>おキヨさん
 
仰る通り、大阪人の血を受け継いでいるハズのもとよしであります。 でも、数十年にわたる関東暮らしの中、現地化が進行しまして、そんなこと普段は忘れちゃってますけれど。(笑)
 
橋下さん、いろいろと言われていますけれど、見事な去り際ということが言えそうですね。(^ァ^)
投票結果が、もしも都構想の賛成多数ということになっていたら、それはそれで、この先、途方もない難事業が待っていたでしょうし。(^^ゞ

Posted by: もとよし | May 21, 2015 at 04:04 AM

こんにちは

橋本さん、確かにあっさりと引退表明しましたね。
らしいと言えばらしいですが。
いろんな意味で話題を提供してくれましたね。
「都構想」、いろんな意味で考えるヒントになったのではと思います。

この本、未読ですけれど映画は観ました^^。
奇想天外な物語、楽しめましたよ、俳優陣が良かったと思います。

Posted by: みい | May 22, 2015 at 01:22 PM

>みいさん
 
橋下さん、引退後は一切政治とは関わらず、メディア等にも出ない積もりだそうですけれど・・・・これまでと違う立場から、或いは担ぎ出されるかして、何らかのカタチで出るでしょうね(笑)
 
この小説、映画化されていたんですね。
これは、観たい!(^ァ^)
今度ビデオ屋さんで借りてこようと想います。
実は、好奇心に負けてしまい(笑)今、Wikipediaで調べてしまいました。
キャスト欄を見たら、あの鳥居と旭、両捜査官の性別が原作と逆。 つまり、男女入れ替わってるじゃありませんか!(爆) やっぱり、観るしかありませんね!!(^ァ^)

Posted by: もとよし | May 23, 2015 at 07:46 AM

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