« 映画:ロボジー | Main | ニット帽 »

February 08, 2015

映画:空の大怪獣 ラドン

 
 
空の大怪獣 ラドン
Rodan
 
 
  監督:本多猪四郎 (本編)
      円谷英二  (特撮)
  音楽:伊福部昭
  出演:佐原健二
      白川由美
      平田昭彦
      田島義文
 
 
          1956年   日本
 
 __50
 
「ゴジラ」(1954年)「ゴジラの逆襲」(1955年)と来て、その翌年に公開された東宝三作目の本格怪獣映画。 この作品からカラー・・・・いや総天然色となりました。 パチパチ。
この時代のフィルムについて(その発色がどうとか)私はまるで知らないんですけれど、今時の映画と比べてコントラストが強め。 なんかこうカラフルでイイ感じです。

あのゴジラを陸の怪獣王とすれば、翼手竜をモチーフとしたラドンはまさしく空の王者。
但しデザインや性質が、今ひとつ地味と言うか、ワタシ的にいささかインパクトに欠ける気がしますね。 飛べるという、圧倒的なアドバンテージを持っていながら、今ひとつ押し出しに欠けるって言うのか。

        ▽▲▽▲▽▲

舞台は九州。 石炭採掘未だ盛んなりし昭和三十一年。 阿蘇山麓のとある炭鉱で起こった連続怪死事件から、このお話は始まります。
カラーフィルムの捉えた昭和三十年代の炭鉱と炭鉱住宅の様子が興味深いし、またヴィジュアル的にも愉しめます。

犯人は、メガヌロンという古代のヤゴでした。
永い間、卵の状態で眠っていたものが、突如活動を始め坑道に出没したものです。
ヤゴとは言っても5メートルはありそうな怪物で、襲われたらひとたまりもありません。

ちなみにこの映画、「ゴジラ」がそうであったように、主役のラドンは中々出て来ません。
姿を現わすまで、いやもう引っ張ることひっぱること。
そのお目当ての登場まで、前座を務めますのがこのメガヌロン。 デザイン/操演/演出、いずれも上出来と想います。

        ▽▲▽▲▽▲

坑道を出て、炭鉱住宅を襲いはじめるメガヌロン。
主人公(佐原健二)と恋人(白川由美)が寛いでいるところ、いきなり裏庭に現れます。
そのまま縁側から上がり込んで、座敷へと踏み入って来るんですけど、これってヤバ過ぎでしょ!(笑)
 
堪らず玄関から逃げ出す二人(佐原健二と白川由美)。
座敷から去りしな、佐原健二はわざわざ引き戸を閉めて出てゆくんですけれど、怪獣を相手に、引き戸一枚が一体なんの役に立つと言うのでしょう。(笑)
 
日頃の習慣が、こんな火急の場面でもついつい出てしまうものなんですね。
これって、突然の死/恐怖というものが、日常と隣り合わせにあるってことを描きたかったんじゃあないかと想いますけれど。
でも、なんか可笑しかったですね。 不条理ギャグって感じで。
主人公らにとっては突如直面した死の恐怖なんですけれど、でも、見ているコチラはなんだか笑えて来ちゃった。 如何です? こんな演出。

        ▽▲▽▲▽▲

さて、満を持して登場したラドン。
それを追い駆けますは、空自のF-86Fジェット戦闘機隊。
青空をバックに、ラドンとF-86Fが飛行機雲を曳いて描く壮大な一筆書きは、さながら抽象画の趣があります。

空より舞い降りたラドンが、強風を巻き起こして福岡市街を破壊するシーン。
木っ端微塵に崩れ去るビル群とか、激しい風に屋根瓦の一枚一枚が吹き飛ばされる様子など、いずれも壮絶な破壊の地獄絵図には違いないんですけれど、そのミニチュアワークがとにかくもう唖然とするくらい素晴らしいです。
昭和三十年代の福岡市街。 東京のそれとはまた一味違ったローカル色を出しているのがお見事。
この福岡襲来シーンだけとっても、この映画は鑑賞するに足る価値があると想います。

音楽(伊福部昭)も、ゴジラの時よりは若干現代音楽方向に振った(娯楽作品としては)ストイックさで聴かせます。

        ▽▲▽▲▽▲

怪獣ものの第一作「ゴジラ」のラストシーンを印象づけたのは怖れ(原水爆に代表される科学に対する)でした。
そして第二作「ゴジラの逆襲」のラストでは怒りと愛惜(友の死に対する)の感情があった。
それが本作「空の大怪獣 ラドン」では、憐れみの感情がラストを支配します。

怪獣 = 討つべし、と言った単純なリクツでは決して語ることの出来ない、これら初期の怪獣映画。 深いですね。
ラドン。 想えば哀れな怪獣でした。
 
  

|

« 映画:ロボジー | Main | ニット帽 »

Comments

この映画に直接関係はないのですが、懐かしい俳優さんの名前が・・・。
高校生最後の頃、我が田舎町に、当時人気の青春スター 久保明 青山京子と佐原健二〔当時この名前だったか記憶があいまい〕の3スターがみえまして、なぜかインタビュアーになったことがありました。と云っても質問したのは口達者な友人で私は佐原健二さんの爽やかなスターぶりにうっとり。。。久保明さんは地味な、というよりお疲れ気味。青山京子さんは小さなお顔だな、ということを覚えています。超昔話でスミマセン(~_~;)

Posted by: おキヨ | February 09, 2015 at 11:59 AM

昨年秋にNHKで日本特撮のなんたら、という番組があって、ラドンが福岡市街を破壊するシーンが取り上げられていました。リアル感を出すため、風により屋根瓦の一枚一枚が吹き飛ばされることにこだわった、とのことでした。
映画のラドンは見たことはありませんが、「ラドン温泉」は昔、ちょっと田舎にでかけると良くみかけました。なんとなく怪獣がでてきそうで、怖くて入ったことがありませんが。

Posted by: weiss | February 09, 2015 at 05:33 PM

>おキヨさん
 
佐原健二さんとお逢いになっていたとは!(^ァ^)
明るくジェントルで、そして骨のある昭和の男の貌ですね。
 
佐原さんのプロフィールをちょっと調べてみたました。
1954年に映画デビューして、「ゴジラ」の端役に出たのもこの年。
1956年の本作「空の大怪獣 ラドン」で主役に抜擢!! 佐原さんにとっても忘れられない映画でしょうね。(^ァ^)
その後SF/特撮ものの顔として、数々の映画/ドラマに出演。
 
佐原さんと大怪獣ラドンとのつきあいは長く、直近では2004年の「ゴジラ FINAL WARS」でも共演していますから、実に半世紀近くにも渡って、この怪獣と歩んできたことになりますね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | February 09, 2015 at 11:46 PM

>weissさん
 
母親がラドン温泉にハマった時期がありまして。
とってもイイところなんだからと、それはそれは熱く語って(笑)、私も一緒にどうかと何度も誘われたんですけれど、その頃は相手にもしませんでした。(若かったですからね)(^^ゞ
今ならば・・・・ちょっと興味があります。(笑)
 
ラドンの福岡降臨シーン。
一度見たら忘れられない、まさに名場面と想います。
CG全盛の今、もっと再評価されてしかるべき昭和の特撮ですね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | February 09, 2015 at 11:51 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/61101431

Listed below are links to weblogs that reference 映画:空の大怪獣 ラドン:

« 映画:ロボジー | Main | ニット帽 »