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October 25, 2014

小説:亡国のイージス

 
 
亡国のイージス
 
 
   福井晴敏 著
 
 
       1999年   講談社
 
 
「終戦のローレライ」(2002年)の福井晴敏さんによる長編。 ローレライと同様の海洋/軍事ものです。 本書もなかなかの長編ですけれど、それを一気呵成に読み通させてしまう面白さでした。
 
小説の主な舞台は、海上自衛隊のミサイル護衛艦「いそかぜ」の艦内。
太平洋戦争下の潜水艦を描いたローレライとは違い、こちらは現代の(架空の)艦船です。
 
ミニ・イージスシステムを含めた、護衛艦内の諸設備についての詳細な描写もさることながら、海自の護衛艦という、外部と隔てられた社会の中での、乗組員の人間関係について、こと細かに描かれていたのが興味深かったです。
 
なにしろ自衛隊のことですから、艦内には階級毎の立場/意識の違いというものが厳然としてあるわけです。
その点、この小説では各階級それぞれに登場人物を配しているため、艦内の人間関係(階級間の確執(!)まで含めて)というものが把握し易かったですね。
 
なかでも、若手を仕切る立場に居て日々頑張っている海曹。
トップに立つワケではないけれど、でもこの人が居なければ艦が動かない(現場が廻らない)という、言わば陰のリーダー。(どの社会にも居ますよね。 こういう立場の人)
その海曹(それも、人生いろいろあってお疲れ気味の中年男)が、主人公(の一人)を務めるって設定が良かった。
「終戦のローレライ」の時は絹見艦長に入れ込んで読んだ私ですけれど、この「亡国のイージス」では専ら仙石(先任伍長)に感情移入して読み進めました。
 
最新の設備を備え、海自の精鋭たちが乗り組んだ護衛艦が、某国工作員に乗っ取られてしまったり、あるいは一瞬の判断の迷いから味方があっけなくヤラレてしまったりと、かなり大胆かつ衝撃的な展開!
序盤はゆるいテンポながら、一旦ストーリーが進み始めれば、もう止まりません!
それに、登場人物がその心情を熱く物語る描写も多々あって、この辺りは福井晴敏さんならではって気がします。
こういった要素諸々が、後に「終戦のローレライ」へと生かされてゆくわけですね。
 
 
  
   終戦のローレライ    福井晴敏 著  (2002年)
 
 

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Comments

こんにちは。コメントありがとうございました。

私もひところ福井晴敏さんにハマっていろいろ読みましたが、「亡国のイージス」は上手に読み手の思惑をはずしていくテクニックと、ストーリー展開が面白かったですね。
「川の深さは」も面白いですよね。

Posted by: weiss | November 04, 2014 at 06:17 PM

>weissさん

おいでませ、問はず語りへ!(^ァ^)

「亡国のイージス」をお読みでしたか。
福井晴敏作品。 私は本書「亡国のイージス」の他、「終戦のローレライ」を知るのみで、これから他の作品も読んでみたいと想っているところです。
仰るとおり、読んでいるこちらの思惑をハズして、想わぬところへボールが来ますね。 そこが魅力。(笑)
 
「川の深さは」(デビュー作なのだそうで)については未読であります。 これは、是非その内に・・・・(^ァ^)

Posted by: もとよし | November 04, 2014 at 10:58 PM

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