« チョコレート中毒 | Main | 小説:亡国のイージス »

October 23, 2014

NHK大河「新選組!」

 
 
NHK大河ドラマ「新選組!」
 
 
  脚本:三谷幸喜
  放送:2004年
 
  
 
2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」
歴代の大河ドラマ中、取り分け高い人気を誇る名作ですけれど、私は放送された当事に何話かを見たのみで、ほとんど未見と言って差し支えのない状態です。
その「新選組!」のレンタルビデオを、このところ、せっせと借りて来ては(今頃になって!)次々鑑賞しています。

ことテレビ・ドラマに限らず、作品というものは、それが造られた時代の空気の中に居て味わうのが一番かと想います。
この「新選組!」にしても、ですからあの当時きちんと観ておかなかったことが、我ながら口惜しい限り。 やんぬるかな。

でもね。 2004年に放映され、高い評価を得ていたドラマを、2014年の今、改めてその全編を視聴する。 これはこれで、放送当事にリアルタイムで見るのとはまた別の面白さがあるんです。
なんたって私には、ここに登場する俳優さんたちの<それからの十年>が判っていますから。

現在、ドラマの序章にあたる部分まで観終えたところです。
江戸~多摩で剣術(天然理心流)を教えていた近藤勇と、その盟友土方歳三の下に、後に新選組の中核となるメンバーが結集。
浪士組に参加して勇躍京へと旅立ちます。

時代劇と言う、長年に渡って練りこまれ、完成され尽くしたドラマ・フォーマットの中にあって、三谷幸喜さんの脚本は、所々、ここぞ!というところで定型的な表現からズラして来ます。 言わば、変化球ですね。
台詞や演出のセンス、人物の行動(思考)様式などについて、時代劇というよりはむしろ現代よりに振って来て、それがとってもエキサイティング(あるいはコミカル)なんです。
<新選組もの>と言えば、見る側(の大部分)が、あらかじめそのストーリーを心得ていますから、こういった変化球を投げ込みやすいってことは、あるんでしょうね。

ともかく、放送から十年を経ている今見ても(俳優さんのお歳の外は)時の経過を感じさせられない、とっても面白いドラマです。

        ▽▲▽▲▽▲
 
以下は、ここまで観てきて、とりわけ印象に残ったキャストについて、覚え書き風に・・・・
 
 
・近藤勇 (香取慎吾)
この年の大河ドラマ自体が SMAP のメンバー、すなわちアイドルを主人公に起用して、一体どれだけのものが造れるかっていうチャレンジ企画みたいなものだったのではないでしょうか。

台詞まわしや演技など、流石にイマイチの感あり。 殺陣に至っては壊滅的(!)ですけれど、そうは言っても屈託の無い爽やかスマイル。 そしてスタイルや所作のカッコ良さなど、流石は現役のアイドル!

本作での近藤勇は、元来これと言ったポリシーを持たぬ男として描かれます。
来る者は誰であれ拒まず。 細かいことは気にしない。 そしてなにより無類の善人。
(この辺は、アイドル・香取慎吾その人と重なって見えて来ます)
こういう男だからこそ、その周囲に、後に新選組の中核となる、名だたる剣客らが集まって来るというワケ。 これはこれで、中々説得力がありますね。

但し、香取慎吾さん本人は、このドラマの後、俳優として伸びたかというと、クエスチョンマークですね。 やはり「新選組!」と言う、稀有なドラマの中にあってこその 香取慎吾 = 近藤勇 でした。
 
 
・土方歳三 (山本耕史)
土方を演じた山本耕史さんは、このドラマの後(今や貴重な)時代劇スターの座を掴みました。 まずは順当な躍進ぶりですね。

大河ドラマ「新選組!」の土方歳三は、幕末という動乱の時代にあって、新選組という史上稀な武士団を一から創り上げてみせた、辣腕プロデューサーという位置づけのようです。
新選組、そして局長・近藤勇も、彼の作品であった。 司馬遼太郎の新選組ものも、確かこのような解釈でしたね。

ところで歳さん。 嫌な相手(山南さんとか!)を前にすると、露骨に顔に出るんだよね~。 無論こういうのは、後々への伏線なんでしょうけれど。
 
 
・沖田総司 (藤原竜也)
数々の映画/ドラマで活躍し、その怪演で話題の藤原竜也さん。
放送の当時、数話でのみ目にしていた私ですけれど、その才能に気付きもしませんでした。
なんとも頼りない視聴者の私ですけれど、今になって、よくよく注目して観てみて、漸くスゴイ人って判りました。
 
 
・山南敬助 (堺雅人)
後の半沢直樹でありますね。
「新選組!」の若手キャスト陣の中にあって、文句なしの出世頭でしょう。
毎回、この人が顔を出す度にオッ!と想います。
それだけ求心力/オーラを感じるからなんですけれど、放送の当事はそこまで傑出したものを感じ取れなかったんだから、人間(というかワタクシ)の感受性ってのは、なんともいい加減なものですな。
 
 
・芹沢鴨 (佐藤浩市)
この人こそ順当な配役でしょう。
というか、このドラマ中もっとも妥当なキャスティング。
この人だけ、明らかに他とは温度感が異なっていますね。 冷ぇ~。
でもその異質感が(どこか不思議な)可笑しさへとつながってゆくあたりが三谷脚本の凄さ。
 
 
滝本捨助 (中村獅童)
捨助というのは、なにかと主人公に絡んでくる、ウザい(!)粘着キャラ。
専らコワモテで売っている現在では、もはや再現は出来ないキャラでしょうから、貴重ですよね。
役者本人にとしても(このドラマの後)捨て去ったキャラなワケで、まさに捨助。
 
 
・藤堂平助 (中村勘太郎)
私など、藤堂平助と言うと司馬遼太郎さんの新選組ものから、裏表のない爽やかな男、体育会系快男児といった印象が強いんですけれど、それがここでは、ちょっと頼りない茫洋としたキャラで来ましたか。
 
 
・原田左之助 (山本太郎)
超マイペースでハイテンションの左之助は正にはまり役。
後々になって、演じていた役者当人が(左之助以上に)もっともっとハイテンションで、その上お騒がせな奴であったということが判明するワケですね。
 
 
・永倉新八 (山口智充)
ここはシリアスに徹し、ギャグを封印してきました。
なんでも出来て、それが一々様になる。 さすがは芸達者。
 
 
・斎藤一 (オダギリジョー)
まずは順当な配役でしょう。
凄腕で、ちょっとヘンな奴。
こういう、印象的だが掴みどころの無い男の役とくれば、やっぱりオダギリジョーです。
 
 
・井上源三郎 (小林隆)
柔和な笑顔にソフトな物腰。
その源さんが、いざとなれば隙の無い武芸者モードへと瞬時に切り替わる。 そこのところがカッコイイんです。
山南さんからは、道場の使用人と勘違いされたこともあったけれど、歴とした門人であります。
 
 
・近藤周助(のちに周斎) (田中邦衛)
老境に入った田中邦衛さん。 その、余分な力の抜けた訥々とした演技/台詞回しは、落語の名人上手が語る長屋の住人そのものですよ。
只々可笑しさが込み上げて参ります。
 
 
・近藤ふで (野際陽子)
安定の鬼姑役。
 
 
・佐藤彦五郎 (小日向文世)
お調子者で、KYで、だけれど好人物。
その達者な演技に、もう惚れ惚れとしちゃいます。
この他、勇や歳三の親戚たち、多摩のご一党はいずれも芸達者なり。
 
 
・沖田みつ (沢口靖子)
沖田総司の姉で、主人公の密かな想い人。 翳りの無い、明るく前向きな性格。 それから、声がやたらとデカイ!
私が想うに沢口さんは、これまで私が他のドラマで見て来たような、品の良さ、頭の良さや、怜悧さとかではない、こういう、おきゃんなキャラが好いですね。
みつ役は、これまで見て来た中のベスト沢口です。
沢口靖子に、こういう起用方法があったとは! まったく驚かされました。
 
 
・桂小五郎 (石黒賢)
近藤勇らに相対する大人たちの代表、といった位置付け。
如何にも実力者然としたこの人が、(未だ何者でもない)近藤のことを高く買っています。
こういう存在の居るお陰で、一見して無謀な(!)近藤勇=香取慎吾のキャスティングにも、真実味が沸いてくるんですね。
 
  
・坂本龍馬 (江口洋介)
未だ世に出る前。 な~んも考えてなかった頃の坂本竜馬です。
でもスケールの大きさだけはあって、人間的魅力/器の大きさを感じさせられます。
これは、いつもの江口洋介ですよ。(笑)
但しこの竜馬は にゃ~にゃ~ 言う。
  
 

|

« チョコレート中毒 | Main | 小説:亡国のイージス »

Comments

私は近ごろ時代劇に目覚めテレビであれ映画であれ面白そうなのがあれば観ています。
この映画を放送した頃にはまだ時代劇が面白いとは思っていなかったので残念ながら観ていません。
主役はアイドルのようですが、要所要所で渋い俳優が締めているみたいですね。
再放送をすれば観たいです。

Posted by: おキヨ | October 23, 2014 at 09:11 PM

>おキヨさん

「新選組!」とっても面白いので、機会がありましたら是非ぜひ!!

私も、放送の当時は、時代劇にほとんど関心がありませんでした。 今想うと、もったいなかったですねぇ。(^^ゞ

時代/歴史小説の方は、いろいろと読み漁って来ていますから、もっと興味を持っても良かった筈なのに。
あの頃は一体何してたんだろうって想います。(笑)

でもまぁ、十年越しに、こうしてビデオで愉しめるんですから、なんとも有難いことです。(^ァ^)

Posted by: もとよし | October 23, 2014 at 11:06 PM

もとよしさん、こんにちは!
私も放映終了、何年か過ぎてから、このドラマにハマって一気見した人間です(^^♪ 同じですねー、なんだか嬉しいです。
そうか・・・、もう10年も前のドラマになるのですね。

この記事を書かれてから、少し経っているので、今はどのあたりをご覧になられているのかしら・・・。
京都に行ってから、なおのこと面白くなりますよ!!
私的には、前半より後半の方が、ぐぐっと引き込まれ度が高かったです。
前半から中盤までは、佐藤浩市さんが印象的だったかな。

自分の残した感想は、ちょっとオダギリジョーばかりで、恥ずかし過ぎますが・・
本当に面白いドラマでした。
来年、また三谷さんが脚本を担当されるそうなので、久しぶりに見てみようかな、と思っています。

Posted by: latifa | November 14, 2014 at 03:47 PM

>latifaさん
 
latifaさんも後発視聴組(?)でしたか。(^ァ^)
 
私はDVDで追っ掛けている関係で、毎回4話ずつを、ほぼまとめて視ています。
お陰でお話がトントン進みまして、これはこれで愉しいです。(^ァ^)
現在は、芹沢さんが大暴れの真っ最中。(笑)
NHK大河「新選組!」は、他の新選組もの(それほど視ているワケじゃあないですけれど^_^;)と比べて、江戸に居た頃の近藤らや、芹沢鴨という人物について、詳しく描かれているのがユニークですね。
新選組が中々体を成さないので、その点ちょっとジレッタイ気もしますけれど。(笑)
その分、歴史の表舞台に現れてからの活躍を視るのが楽しみです。
 
>来年、また三谷さんが脚本を担当されるそうなので、
 
来年の大河、再び三谷脚本なんだそうですね。
しかも主演は山南さん・・・・もとい堺雅人さん。 戦国武将のイメージから遠いですけれど、そこがまた三谷さんらしいですね。(笑)

Posted by: もとよし | November 16, 2014 at 03:17 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/60530285

Listed below are links to weblogs that reference NHK大河「新選組!」:

» NHK大河ドラマ「新選組!」 斎藤一の写真多数(^^;) [ポコアポコヤ]
このところ、数年前のNHKの大河ドラマ「新選組!」に、今頃ハマってしまい、毎日見まくっていました(*^_^*) [Read More]

Tracked on November 14, 2014 at 03:40 PM

« チョコレート中毒 | Main | 小説:亡国のイージス »