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May 17, 2014

小説:精霊流し

 
 
精霊流し
 
 
   さだまさし 著
 
 
      2001年   幻冬舎
 
 
「精霊流し」と言えば さだまさし さん。
言わずと知れた初期の代表作ですけれど、本書は、同名ではあってもあの歌とは内容を異にする長編小説です。

主人公が長崎出身で少年期にヴァイオリンを学んでいたり、成人した後シンガーソングライターとして名を馳せたり。 更に、精霊流しの情景が描かれたりと、著者の自伝的要素もいろいろ含んでいそうです。

        ▽▲▽▲▽▲

想えば私、昔からこの方の歌をそれほど好きというわけでは(どこか相性が好くないのか)ない、決して熱心なファンってことはなかったですねぇ。

にも関わらず、あらためてヒット曲のひとつひとつに耳傾けてみれば、その時代時代の記憶が付いて参ります。 曲とその時代の印象とが、ペアになって出て来る。
私みたいに、特段のファンでなくてもそうなんですから、その音楽の持つ力、正に本物ではないかと想います。

そして、歌の方はさておき(!)、その他様々なジャンルに渡っての活躍は、どれも圧倒的な才気を感じさせられます。
中でも、テレビで時々見掛ける「今夜も生でさだまさし」が面白いですねぇ。
それにしても、本格的な長編小説までものしていたとは。 (それも、最初期のヒット曲「精霊流し」を取り上げて) そういうことを私が知ったのは、実につい最近のことなのです。
 
        ▽▲▽▲▽▲
 
小説の方は、後に人気シンガーソングライターとなった主人公の半生記ですけれど、なかでも少年時代~歌手として世に出る以前の青年時代の描写が特に好かったですね。
ヴァイオリンに一生懸命だった少年時代。 周囲の人々。 両親や従兄弟。
そして一旦は目標を見失った青春時代の、昏く無軌道な暮らしぶり。
バイトのエピソードなど、荒ぶる姿は、後の人気シンガーソングライターの、線の細いイメージ(なんて、ファンでもない私が勝手に抱いている印象かもしれませんけれど)とはなかなかダブらず、ぐいぐいと読ませられました。 作家としての才能を感じさせられます。

一方、成長して後。 シンガーソングライターとして世に出てからの主人公には、あまり共感するところがなかったですね。
ここに描かれる、ファンや周りの人々から愛され、全国を忙しく飛び回るシンガーソングライターの姿と、少年~青年期の主人公とが(私には)どうにも繋がって来ませんい。
前述した通り、わたしがシンガーソングライター さだまさし さんの熱心なファンではないということで、この自伝的小説自体とも、あまり相性が好くないってことでしょうか。

        ▽▲▽▲▽▲

そういえば、私が静岡に住んでいた子供の頃のこと。
ある夜、母が私と兄を連れ出し、地元の灯篭流しを見に出掛けたことがありました。
今ではあんまりハッキリとした記憶がない(!)んですけれど、只、川面に浮かぶ沢山の灯篭と、お目当てのテレビ番組が見れず拗ねていた兄ばかり印象に残っています。

その想い出があったせいか、ヒット曲「精霊流し」で描かれるに精霊流しついて、私の中ではずっと、昔見た灯篭流しのイメージとダブってしまっていました。
今回、小説中で主人公らが精霊流しに参加する場面を読みまして、初めてそれを理解したんですけれど。 想えばずいぶんと長い間、イメージをごちゃまぜにしていたわけですね。
なんとも、お恥ずかしい話しでした。
 
 

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Comments

シンガーソングライターのさだまさしが長編小説を書いていたことは全く知りませんでした。
私もこの歌手にはあまり関心が無いのですが、〔精霊流し〕は好きですね。
この歌をラジオなどで聴くとある情景が浮かびます。
昔、山形を放浪?^^していた時、精霊流しを観ましたが
若い父親が幼子を抱いて流れゆく精霊流しに幼子の手をもって〔バイバイ〕をしていました。なんだかとても物悲しく美しい光景で忘れがたく、かってな想像で〔もしかして子供の母親?〕と思ったものです。
旅先の感傷でしょうね(^^ゞ

Posted by: おキヨ | May 18, 2014 at 12:55 PM

>おキヨさん
 
>この歌をラジオなどで聴くとある情景が浮かびます。
 
ですよね~。(^ァ^)
この曲想と、川面を漂い流れる灯篭舟の風景。 あまりにも上手くハマっています。
 
でも、曲(そして小説)のテーマはあくまで「長崎の精霊流し」なのでした!
こちらは(一般的な灯篭流しとは異なり)親族一同が大きな精霊舟を担いで賑々しく(爆竹、花火などを鳴らしながら)市中のメインストリートを練り歩くところ。 川面に舟を浮かべるまで行程がメインになっています。
 
さだ さんの描く、故郷長崎の精霊流し。
私がこれまで抱いていた、亡き人を送る静かな祀りとは、かなり趣の異なるものでした。(^^;
シンガーソングライターのバックボーンとして存在するであろう長崎の風物詩ですけれど、でも私は(山形のような)しめやかな灯篭流しの方が好きかもしれません。(笑)

Posted by: もとよし | May 19, 2014 at 11:14 PM

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