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April 15, 2014

小説:終戦のローレライ

 
 
終戦のローレライ
Lorelei: das lied zum ende des Krieges
 
 
 
   福井晴敏 著
 
 
       2002年   講談社
 
 
映画「ローレライ」を私が観たのは2005年のこと
太平洋戦争中の日本海軍の潜水艦を中心にしたドラマとして、とても面白かったです。

太平洋を往く潜水艦・伊507と、その艦内(潜水艦 = 極限状況の密室)で巻き起こるドラマ。 圧倒的な力で押して来る米軍艦との戦闘シーンなどなど。 映像の力が何より雄弁なシーンが、どれも好かったですね。 映像作品として充分に価値ある映画と想いました。

しかしながら、アクション/ヴィジュアル面に偏重気味であった分、この作品本来のテーマ(国家、民族、戦争、平和とは)や、人間ドラマについては、いまひとつの感があったのも事実・・・・

その原作である本書「終戦のローレライ」は、はじめから映画化を前提に書かれたということで、かねてから読みたいと想っていたんですけれど、しかし、縁が無かったか、長い間ず~っと未読のまま。
今頃になってしまいましたけれど、今回やっと手に取ることと相成りました。

        ▽▲▽▲▽▲

そんなわけで、満を持して取り掛かった原作は・・・・いやはや、読み応えがありました。 文庫版にして全四巻。 「読破」と表現するに相応しい長編ですよ。

なかなか読み進められなかったのは、こちらのアタマにあらかじめ映画「ローレライ」の内容があったからかもしれません。
ちょっと、展開がジレッタイんですよね。
そもそも、小説を隅から隅まで映画化/映像化するなんてことは不可能でしょうけれど、本書の場合、そんなことは先刻承知の上で、原作者として描きたいことのありったけを、一冊に詰め込んだのではないか? そんな印象を受けました。
主要登場人物の各々が(小難しい(!?))自論を開陳する場面が度々あって、それで余計冗長に感じてしまったのかもしれません。
当然のことながら、映画版の「ローレライ」に取り入れられたのは、この小説のごくごく一部にしか過ぎませんけれど。

終章(これだけで、ゆうに短編小説の一篇分はあります)では、生き残った者たちの戦後を描いて、映画にあったエピローグよりも圧倒的に好かった。 鎮魂の戦後昭和~平成史は、かつて読んだ「決定版 男たちの大和」を髣髴とさせる充実ぶりでした。

長く感じはしたものの、退屈ってことはなかった。 映画「ローレライ」を補完する意味で、興味深く読むことが出来ました。
 
 

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Comments

こんばんは~

 この映画、観ましたよ。
でもかなり前だったので、忘れかけてるcoldsweats01
文庫本全四巻ですか。
映画化は、かなり難しかったのでは?
映画を見てから、原作を読むのは、いいですね。
ああそう言うことだったのか、なんて発見があったりして。
興味深く読むことが出来てよかったです^^。

Posted by: みい | April 17, 2014 at 10:28 PM

〔終戦のローレライ〕小説も映画化されていたことも知りませんでした。(^_^;)
私は今〔ゼロ戦〕を読み終えるところですが、最初に映画を観てしまいました。
映画は原作の3分の1程度しか表現できていないというのが実感ですね。他の映画化もあまり違いはないと思います。
しかしながら映画には映画の、原作にはない魅力が潜んでいるのでしょうね。
テレビで再上映があったなら〔終戦のローレライ〕を観たいものです。

Posted by: おキヨ | April 18, 2014 at 12:57 PM

>みいさん

「ローレライ」。 終戦当時を描いた作品ながら、ことさら悲壮感のない、安心して観る事が出来る内容でしたね。
原作の全4巻は、なかなか読み応えがありました。(笑)

>ああそう言うことだったのか、なんて発見があったりして。

私は「終戦のローレライ」を読破してから、もう一度DVDを借りにゆきました。(笑)
それにしても、撮影の為とはいえ、あんなにデッカイ(当時の世界最大級)潜水艦のセットをよく造ったもんです。
そして、潜水艦・伊507の絹見艦長(映画では役所広司さんが好演)はカッコイイ。(^ァ^)

Posted by: もとよし | April 19, 2014 at 05:28 PM

>おキヨさん

話題の「永遠の0」。 私は原作も映画も未だですけれど、いずれ。(^ァ^)

>映画は原作の3分の1程度しか表現できていないというのが実感ですね。他の映画化もあまり違いはないと思います。

尺の制約がない原作では、作者が思いの丈を全開! 一方、映像にモノを言わす映画の方はエンタメに特化。
これはこれで、上手い切り分け方だったかもしれませんね。
質・量共に重厚で、読み切るのにエネルギーが要った原作に対して、映画の方は痛快そのもの。
機会がありましたら是非。(^ァ^)

Posted by: もとよし | April 19, 2014 at 05:29 PM

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