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January 13, 2014

映画:笑の大学

 
 
笑の大学
University of Laughs
 
 
監督:星護
脚本:三谷幸喜
出演:役所広司 (向坂睦男:検閲官)
   稲垣吾郎 (椿一:劇団「笑の大学」座付作家)
 
 
    2004年   日本
 
 
Warainodaigaku_2
 
 
お正月らしく、ひとつ屈託無しに笑える映画でも見てみっか・・・・くらいのノリで鑑賞に臨んだんですけれど、意外や(笑わせるばかりではなしに)骨太で時に切なくなる作品でした。

言いたいことの、言えない世の中。
笑うことすら、許されない社会。
それでも人は、表現する意欲を抑きれず、何より笑いを渇望するんですね。

        ▽▲▽▲▽▲

太平洋戦争も間近い昭和十五年の秋。
当時のことですから、メディアはおしなべて当局の監視下に。
演劇もまた例外ではありません。 台本が警視庁の検閲に合格しなければ(如何に能天気な喜劇といえども)上演は許可されませんでした。

芝居の中に、どうにかして風刺や笑いを盛り込もうと知恵を絞る台本作家と、提出された台本中から不適切な表現を見つけ出し、そうはさせじと上演を却下する検閲官。
ここに、浅草の喜劇団「笑の大学」の座付き作家・椿一と、警視庁の辣腕検閲官・向坂睦男との、新作喜劇の台本を廻る一大攻防戦の幕が切って落とされるのでした。

向坂検閲官の容赦ない検閲を受け、(上演を)却下された台本を泣く泣く持ち帰って、徹夜で書き改めたものを翌日持参して、またしてもダメを出されて・・・・・とにかく散々な目に会わされる椿一です。
が、この椿という男、一見して優男ながら(こと笑いに関しては)不屈の精神の持ち主でした。
その次の日には台本を(指摘を受けた箇所を訂正するばかりではなしに)更に面白いものへと書き直して持って来ます。
そんなやりとりを繰り返す内、つい興が乗ったか「例えば、こういうのはどうだろう・・・・」などと思わず新しいアイディアを進言してしまう検閲監殿!

笑いを創る者と、それを取り締まる者。
いつしか二人は互いの立場を忘れ、新しい喜劇創りに熱中してゆくのでした。

        ▽▲▽▲▽▲

映画の主たる舞台である取調室のセットは、造りもの感が濃厚で、あからさまに「これはセットで~す」と言わんばかり。
そこで繰り広げられる検閲のシーンからは、演劇の舞台を(身を乗り出して)見入っているかのようなライブ感。 生き生きとした可笑しさが伝わって来ます。(この映画、三谷幸喜さん脚本の演劇を基にしているのだそうですね。 生憎と私は未見ですけれど)

お芝居としては、筋金入りの超堅物検閲官を演じる役所さんの一人舞台の感がありますね。
検閲官の頑なな心が、作家との攻防の果てに、徐々に解れてゆく様子など、とっても見応えがあります。
もう一人の主役、作家役の稲垣さんは、誠実な演技に好感が持てます。

        ▽▲▽▲▽▲

ところでこの映画は、取調室以外のシーンもまた好かった。
例えば、役所の建物の古風な調度や、日本家屋などのレトロな魅力。
浅草の劇場街の雰囲気や、劇場内で爆笑する人々。 その活気と、どこか哀愁を帯びた空気。
点景のひとつひとつなど、うかうかしていると見過ごしてしまうようなところに、惜しみなく力を注いでいる。
粋なやり方と想います。
 
 

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Comments

面白そう・・・。ひと様が面白いとおっしゃれば観ないと落ち着かない性分ですhappy01

Posted by: おキヨ | January 14, 2014 at 12:10 PM

>おキヨさん

この映画、文句なしにお勧めであります。(^ァ^)

戦前~戦中と言うと、私など暗くて苦しいイメージばかりでしたけれど、その一方で「楽しいこともあった」なんて話も聴きます。
ここに描かれる当時の浅草の喧騒や、舞台と客席の陽気さなど、その一例かもしれませんね。 その一方で、次第に厳しくなる官憲の取り締まり!

絶対に笑顔を見せぬ鋼の信念の男が、やがて変節(!)してゆく面白さ!
上演許可をめぐる二人の攻防戦は、知的遊戯の趣きがあります。(^ァ^)

Posted by: もとよし | January 14, 2014 at 04:59 PM

おはようございます

 面白そうですね!
三谷作品は、笑えますよね。
笑いの中に深い人間の想いというものが感じられて。
この映画は観てませんが、見たくなりました^^。

遅くなりましたが、チェロ退院しましたか。
良かったですね。
「駒」って言う部品、よく見るときれいです^^。

Posted by: みい | January 17, 2014 at 10:40 AM

>みいさん

>笑いの中に深い人間の想いというものが感じられて。

同感です。
ただ愉しく笑わせるばかりではなしに、心に沁み入るような、味わい深い部分を持っていますね。
この映画「笑の大学」も、二人の会話がメインの喜劇と思いきや、お終いまで来て、反戦的な内容であったと気付かされるのでした。

>遅くなりましたが、チェロ退院しましたか。

チェロは、おかげさまで元気になって帰ってきました。
(^ァ^)

プロの手に掛かって、見違える(聴き違える?)くらいの健康体に変わりました。
けれど、やっぱり普段から自分で気に掛けてやらないとダメですね。
反省しております。(^^ゞ

Posted by: もとよし | January 17, 2014 at 11:55 PM

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