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January 25, 2014

雲助、悪名一代

 
 
雲助、悪名一代
 
   ~ 芸人流、成り下がりの粋 ~
 
 
 
  五街道雲助 著
 
 
     2013年   白夜書房
 
 
落語家・五街道雲助師匠について私が知ったのは、もう随分と昔のことです。
偶々見ていたテレビの深夜番組に登場して、一席演じておられたんです。
落語についてなにも判らず、興味もなかったその頃の私。
噺家さんについても、テレビで好く見掛ける方々(それもテレビ・タレントとして)しか知りません。 ですから、五街道雲助という名を見ても、ちょっと変った、面白い高座名だな、くらいの曖昧な感想しかありませんでした。

番組の方は、古典落語をまるまる一席聴かせるというシンプルなものでした。
ここで雲助師匠の語った演目が「中村仲蔵」。
初めて聴いたこの時にとても気に入ってしまい、そして未だに好きな噺です。
噺の中で、芝居の場面や侍の台詞などを、ケレン味たっぷりに演じてみせる雲助師匠。
なんの期待もなしにボンヤリ見ていた私ですけれど、いつしか夢中になって噺に聴き入っていました。

それからず~っと後になって、ふとしたことから寄席に入ってみた折のこと。
香板に、五街道雲助の名(懐かしい!)を見つけましたから、もうビックリです。
願ってもない再会に、すっかり嬉しくなってしまった私。 以来私、雲助ファンです。

        ▽▲▽▲▽▲

その雲助師匠が上梓したこの一冊。
団塊の世代に生まれ、高度成長期に育った師匠が、あえて時代に背を向けるようにして「成り下がり」な生き方へと拘る、そのワケを語ります。
自身の生い立ち~入門・前座修行から二つ目時代を経て真打昇進~そして三人の弟子を真打へと育て上げた現在までを語る一代記でもあります。

雲助と言えば十代目金原亭馬生の門下。 その馬生は志ん生の息子で、そして志ん朝のお兄さんですね。
ですから、出て来る、でてくる。 本書には昭和を代表する錚々たる名人たちの楽屋話/裏話のあれこれが書き綴られ、興味が尽きません。

それから、こういうところがまた雲助師匠らしいと想うんですけれど、他の落語家さんならば十八番にしそうな毒舌やら、放蕩について話しは一切出て来ず。 その代わり論理明快な落語論。 雲助一流の人生成り下がり論が展開されます。
好奇心旺盛な師匠。 インターネットにも早くから興味を示しておられました。(雲助’s Home Page はお勧めです)

酒席もまた(大切な!)修行の場のようで。
お若い頃に行きつけだったお店では、野坂昭如・殿山泰司・色川武大・田中小実昌らが常連だったのだとか。
錚々たるメンツから鍛え上げて貰った、なんとも羨ましい師匠の二つ目時代です。

本書に見る雲助流の落語論、人生論。
理路整然と(師匠お得意の滑稽噺とはあべこべに?!)した、実に読みやすい内容で感服致しました。
「四十五十は鼻たれ小僧」を地でゆくような落語家の世界。(やっぱり、長生きはするもんですね)
六十代を迎え、いよいよ油の乗ってきた五街道雲助師匠。 これからがますます楽しみです。
 
 

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Comments

落語が嫌いではない私、五街道雲助さんは存じませんでした。ということはタレント化していないのですね。
金原亭馬生の門下と云われればその風格が垣間見える気がします。
テレビなどであまりお目にかからない落語家さんほど正統派の方が多いかもしれませんね。

Posted by: おキヨ | January 25, 2014 at 11:34 AM

>おキヨさん

さすが!、金原亭馬生をご存知でしたか。(^ァ^)

弟子たちに優しかったという馬生師匠の口癖「なんでもいいんだよ、でも、どうでもよくはないんだよ」が味わい深かったです。

早逝の惜しまれる馬生師匠ですが、本書ではその後の馬生一門の運命も知ることが出来ました。
その馬生の教えを受け継いで、今では三人の弟子を育て上げ、恩返しを済ませたかたちの雲助師匠。
落語家の系譜、知れば知るほど興味深いです。(^ァ^)

Posted by: もとよし | January 25, 2014 at 03:23 PM

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