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December 19, 2013

映画:兵隊やくざ

 
 
兵隊やくざ
The Hoodlum Soldier
 
 
監督:増村保造
脚本:菊島隆三
原作:有馬頼義
出演:勝新太郎 (大宮貴三郎)
    田村高廣 (有田上等兵)
    淡路恵子 (音丸)
 
 
    1965年  日本
 
 
 Photo
 
 
太平洋戦争中の昭和十八年(1943年)。 日本軍が開戦当初の勢いを失って、この戦争もそろそろ雲行きの怪しくなり始めた頃のこと。

中国奥地に駐屯する陸軍の或る部隊に、日本から到着した初年兵たちが配属されました。
これから彼らは、祖国から遥か遠く離れたこの地で、猛烈な訓練と厳しい軍律のなかで暮らすわけです。 早い話が、上官の命令(それがどれほど不条理なものであれ)に従い、ビンタ/制裁を日夜喰らい続けるということ。

そんな中にあって、士官たちの頭痛のタネは大宮二等兵(勝新)でした。
なにしろ、上官のビンタを蚊の食う程にも感じないタフネスぶりです。
理屈よりも拳骨がものを言う軍隊にあって、ヤクザあがりのこの男にだけは暴力が通用しません。

そもそもこの大宮という男、いつだって、やりたいことをやり、言いたいことを言って来た。
悪気も邪心もなく、只々自分の欲望に正直なだけなんですね。
それが軍隊という、無理が通って道理が引っ込む、理不尽極まりない組織に放り込まれたことで、戸惑ったのは当人よりもむしろ周りの側でした。

この超問題児の教育係として(柔よく剛を制すとばかり)知恵者の有田上等兵(田村高廣さん)が付けられます。
誰の手にも負えない暴れん坊の大宮ですけれど、しかし、唯ひとり、そんな彼を偏見無しに扱う有田にだけは従順になるのでした。

        ▽▲▽▲▽▲

ところでこの映画、上官によるビンタ/制裁や、他部隊との喧嘩/乱闘のシーンが矢鱈とありまして。 (作品中、一体幾つ、いや何十発のビンタが鳴ったんだろう?) それこそゲップの出るくらい(!)沢山見せつけられるんです。
初見では、そこのところにウンザリしてしまったんですけれど、でも、もう一度観返してみたら、さほど気にはならなくなっていましたね。
どのファイト・シーンも、お芝居として成立しており、だから凄惨な印象を受けないで済んでいるんでしょうね。

        ▽▲▽▲▽▲

入隊前は裏社会で生きて来た大宮と、大学出のインテリ有田。
故国で正反対の生き方をして来たこの二人ですが、なぜかウマが合うとみえます。

滅法腕っ節の強い大宮が巻き起こす騒動を、その都度老獪な有田が収拾に奔走する。
反対に、窮地に陥った有田を、大宮が救いに駆けつけるということもありまして、二人はやがて信頼関係/友誼で結ばれてゆきます。
というか、この二人のラブラブ(?!)っぷり・・・・

        ▽▲▽▲▽▲

勝新の圧倒的なバイタリティと男気。 時折り垣間見せるお茶目が素敵です。

でも、一見温厚なインテリと見えて、筋金入りの軍隊嫌い。 上官の納得のゆかぬ仕打ちに、凛とした態度で異を唱える田村高廣さんがもっと好かった。
田村さん。 軍服、坊主頭に丸眼鏡という格好をさせて、日本一カッコイイ男です!

        ▽▲▽▲▽▲

ここは地の果て。 兵隊よりも更に哀れなのが、軍人相手の芸者たちでした。
大宮・有田の運命よりも、私は音丸姐さんのその後の方が気に掛かりますよ。

        ▽▲▽▲▽▲

映画「兵隊やくざ」が公開されたのは60年代。 観る側に(また撮る側にも)未だ戦争の記憶が生々しかったであろう頃。
そんな時代にあって、軍隊というものを内側から活写したこの映画です。
タフな大宮と才気煥発の有田が、理不尽極まりない上官連中をギャフンと言わせ、軍隊にケツをまくる様子が、当時の映画ファンに快哉をもって迎えられたであろうこと。 想像に難くないですね。

この映画。 男臭さの芬々とする名作と想いました。
モノクロの陰影を生かした映像は、時にドキュメンタリーフィルムのように生々しく映えて、当時の軍隊生活もかくやと想わせられます。
 
 

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Comments

この映画はシリーズものではなかったでしょうか。。。
結構評判だったようで、題名は私も覚えています。
映画が盛んな時代でしたからね。

勝新太郎 田村高廣ご両人とも実性格を生かした配役のようですね。。。(^'^)

Posted by: おキヨ | December 20, 2013 at 11:50 AM

>おキヨさん

>この映画はシリーズものではなかったでしょうか。。。

好評に応えて、シリーズ化が成されたようですね。
因みに、映画のラストシーンは、如何にも続きのありそうな終わり方でしたので、予めシリーズ化を狙って造っていたのかも? なんて想います。(笑)
ともあれ全9作品もあるようで、この続きを観るのが楽しみです。(^ァ^)

>勝新太郎 田村高廣ご両人とも実性格を生かした配役のようですね。。。(^'^)

根っからのワルだが、やんちゃで憎めない<動>の勝新。 軍隊社会の裏も表も知り尽くして、腹の据わった<静>の田村さん。
主役の二人、ホントにはまり役です。(^ァ^)

Posted by: もとよし | December 20, 2013 at 05:39 PM

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