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November 21, 2013

映画:レスラー

 
 
レスラー
The Wrestler
 
 
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ミッキー・ローク (ランディ・ザ・ラム・ロビンソン)
    マリサ・トメイ  (キャシディ)
 
 
        2008年  米国
 
 
かつて全米を熱狂させたプロレスラー、ランディ・ザ・ラム・ロビンソン。 必殺技は、ラム・チョップ!
が、往年の名レスラーも、寄る年には抗うことが出来ません。 今では試合の稼ぎも減ってしまい、地元スーパーのアルバイトで辛うじて食い繋いでいる始末。
長年に渡って酷使し続けた身体には、すっかりガタが来てしまっていますけれど、それでもリングを降りようなんてことは、これっぽっちも考えたことのない、根っからのプロレス馬鹿なんです。

この映画「レスラー」では、俳優として90年代以降を不遇に甘んじて過ごしたミッキー・ロークという人の人生と、どんなにボロボロになろうとプロレスラーとして生きるしかない、主人公ランディの境遇とが見事(?)なまでに重なって見えます。
で、観ているこちらは落ち目のロートル・レスラー、ランディの悲哀と奮闘ぶり、そして挫折にジンと来て、やがて乾坤一擲、古傷をおして大舞台に上がる主人公の姿に、熱い喝采を送ってしまうことになる、というワケ。

ランディを取り巻くプロレスの世界の描写がまたイイんです。
豊富にある試合のシーンもさることながら、試合前に相手と段取り(!)を打ち合わせたり、凶器や出血のギミックをこっそり仕込んだり、といった舞台裏の描写が(私には)なにより面白かったです。
それから同僚たち。
リング上では凶悪無比な面構えのレスラーも、控え室ではフレンドリーで義理人情に厚い。 その上若手はベテラン(とうに盛りを過ぎたロートル選手さえ)を敬うしで。 もう、実に気持ちの好い男たちなんです。
これならば、身体や暮らしが幾らキツクっても、マットを降りることの出来ないランディの真情が、好く理解出来るってモンです。

しかし、そうは言っても、長年に渡ってレスラーを続けたことの代償は過酷なものでした。
身体はボロボロ、お金や財産は無し、家族にも見捨てられ・・・・ シアワセの大半を逃してしまった男に残されたのは、やはりプロレスだけなのか。

あ~、それにランディよ。
百戦錬磨のレスラーも、一旦リングを降りると、これがもう、救いようの無いダメ男であり、ダメ親父なんですワ。
キレて乱暴を仕出かすし、アルバイトではヘマをやらかし、娘との約束ひとつ守れなくって、おまけに下半身もだらしない・・・・

この映画。 間違いなしに名作なんだけれど、でもどなたにもオススメ、とはゆきませんねぇ。
エロいシーン(美々しくも幸薄そう(!)なマリサ・トメイ)や、派手な流血(プロレス映画ですから)もあるしで。
要はプロレス馬鹿バンザイな、男の身勝手映画ってことですよ。 でも、そこがイイ。

ほろ苦いエンディングは、よく噛み締めて味わうべし。
ブルース・スプリングスティーンが訥々と唄う主題歌が、また沁みるんだ。
 
 

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Comments

こんばんは~

 この映画は観てませんが、ミッキーローク観てみたい気がします。
もとよしさんの解説で、興味が湧いてきましたよ(笑)
ほろ苦いエンディングなんですね。
主題歌も聴いてみたいです^^。

Posted by: みい | November 23, 2013 at 09:39 PM

>みいさん

80年代を代表する二枚目男優、ミッキー・ローク。
当時の映画、ご覧になりましたか? 私はその昔、テレビでチラと観たのみですけれど。(^^ゞ
ともあれ、その後は、ヒットに恵まれなかったミッキー・ローク。
俳優さんの歳のとり方って、難しいですね。

2008年になって出演した「レスラー」は、好評裏に迎えられて、あちこちの映画賞を獲ったそうです。 なんといっても、これまでに味わった苦労が生かされていますからね。 この感動はホンモノです。

Posted by: もとよし | November 24, 2013 at 05:14 PM

ミッキー・ローク懐かしいですね。私も昔テレビの再放送で1,2度見たことがありますが、ハンサムな俳優だったと思います。
ところが、数年前に来日した姿は別人ではないかと思うほど崩れておりびっくり。。。

今でも俳優をやっているのでしょうか?
でも、俳優である以上名作と云われる作品を一本でも残せばいいほうかもしれませんね。。。

Posted by: おキヨ | November 25, 2013 at 11:44 AM

>おキヨさん

加齢による容姿の変化は誰しもが避けたいものですけれど、それが商売道具(?)の俳優さんの場合は、殊に切実なる問題でしょうね。
アンチエイジングのため、日頃の節制とか、自らに余程厳しく課しているのかもしれません。 それにしても、吉永小百合さんなど、もはや神秘的レベルに達していますね。(笑)

暫く見掛けぬ間に、ガタイの大きな、かなり草臥れたオヤジへと変貌していたミッキー・ローク。
別に自ら望んでこうなったワケでもないでしょうけれど、結果的には自然体で、ごく当たり前な歳の取り方をしているのかもしれない、とも思います。

本作品での(対戦者とばかりではなく)老いとも闘わねばならないロートル・レスラー役を見るにつけ、この俳優の人生そのものって気がしてきます。
今のこの容姿のお陰で(図らずも)得難い当たり役がゲット出来たわけで、人生何がおこるか判らないですね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | November 25, 2013 at 08:17 PM

>身体はボロボロ、お金や財産は無し、家族にも見捨てられ・・・・ シアワセの大半を逃してしまった男に残されたのは、やはりプロレスだけなのか。レスラー人生もピークを過ぎ、娘とは絶縁状態、ステロイドの影響で心臓は弱っているありさまの中年レスラー ランディー。
せっかく 親子関係を修復するチャンスだったのに娘さんとの約束すっぽかすのは さすがにマズイよ~(´Ц`)

>この映画「レスラー」では、俳優として90年代以降を不遇に甘んじて過ごしたミッキー・ロークという人の人生と、どんなにボロボロになろうとプロレスラーとして生きるしかない、主人公ランディの境遇とが見事(?)なまでに重なって見えます。
 監督のアロノフスキーは製作に当たって ロークを指名したそうです。映画会社側はニコラスケイジを指名したそうですが それを突っぱねたため 制作費は大幅に削られたみたいでした。 アロノフスキーにとっても この作品は 危ない賭けだった。

>要はプロレス馬鹿バンザイな、男の身勝手映画ってことですよ。 でも、そこがイイ。
 80年代はロークにとって俳優としての全盛期だったのに ボクシングにのめりこんだために その全盛期をすてちゃって半ばバカだと思いましたよ。
 友人にもみせましたが「男は感情移入するけど女ウケはしねえだろうな」って感想でした。

 スプリングスティーンの主題歌もなかなかです


Posted by: zebra | December 06, 2013 at 06:39 PM

>zebraさん

おいでませ、問はず語りへ!(^ァ^)

レスラー、好い映画でしたね。
共感溢れるコメントありがとうございます。

>せっかく 親子関係を修復するチャンスだったのに娘さんとの約束すっぽかすのは さすがにマズイよ~(´Ц`)

やる事なすことみんな裏目に出てしまう、この時のランディ。 気の毒だけれど、自分が悪い。(笑)
でもこの失敗が、ラストの大試合に臨む起爆力になるんですね。

>監督のアロノフスキーは製作に当たって ロークを指名したそうです。

映画製作会社的に、今のミッキー・ロークには主役の価値ナシ、と評価したんでしょうか。(哀)
で、それを押しての主役抜擢! ミッキー・ローク、こうなったら役者として奮起しないワケがないですね。 名作が生まれるワケです。(^ァ^)

>友人にもみせましたが「男は感情移入するけど女ウケはしねえだろうな」って感想でした。

好~く判ります。 女性側から見たとすれば、ランディはあんまりな男です。(笑)
でも娘さんとは(時間が掛かっても)よりを戻して、何よりキャシディ(マリサ・トメイ)に戻って来て欲しいですね。

Posted by: もとよし | December 08, 2013 at 07:24 PM

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