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November 09, 2013

小説:理由

 
 
理由
 
 
    宮部みゆき 著
 
 
        1998年  朝日新聞社
 
 
 
宮部みゆきさんのミステリー小説です。
(このジャンルに疎い私が)これまで読んで来たどのミステリーと違って、本書では特定の主人公/語り手が不在で、ルポルタージュ風とでも言えば良いのでしょうか。 事件解決後の時点で、記者が関係者を訪ね、取材して回った内容をまとめた風のスタイル。 私にとっては、なかなかに新鮮な読書体験でした。

それにしても長かった。(確かに、長編ではありますけれど)
事件/捜査の経緯、関係者一人ひとりへのインタビュー/エピソードなどでつないでゆくんですけれど、その数が多く、また内容も実に事細かいんですよね。 私など、一々覚えていられないボリュームでした。(爆)

その割に、読み終えての印象は薄味。
個々のエピソードは確かに面白いんですけれど、でも「火車」や「ブレイブストーリー」を読み終えた時のような、大きな感慨はなかったですね。

例えば「火車」では、事件を追い掛ける過程で、テーマとなる社会現象(クレジットカードの怖ろしさ、自己破産)と相対しながら、次第に犯人に近づいてゆく。 事件の核心に向けて収斂してゆく様が好かった。 読み進める程に、徐々に(そして熱く)興奮していったものです。

一方、本書「理由」では、(バブルの後始末的)不動産の競売と、その際発生する占有権がテーマ。
相変わらず目の付け所が秀逸と思います。
しかしながら、事件が既に解決した時点から、記者/ルポライターが記事をまとめた体をとっているためか、「火車」で得たようなラストへ向けての気持ちの昂ぶりは得られませんでした。

主人公ポジションが(終盤に至って、事件の関係者が絞り込まれてゆくまで)ずっと不在という本書のスタイル。
これって、透徹した視点を得るという利点はあるものの、読者を突き放すような印象が強調されてしまい、共感を呼ぶには(本書を読んだ限りでは)いささか不利な気がするんですね。 宮部さんには、ちと合わないのでは、という気がしました。
 
 

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Comments

宮部みゆきの本は以前に23読んでいますが、題名も内容も思い出せませんね。

私は本は読んでいるときだけ面白ければそれでいいと思っていますが、それでも重厚な内容の本は自然に心に残るものですね。。。
読んでいて難解で辟易させられながらも、不思議な魅力に引きずられ読み切った本は記憶に残ってしまいます。

流行作家のベストセラーとか本屋大賞など評判になる本は意外と内容が薄いという気がします。
結局好き好きですけどね。。。

Posted by: おキヨ | November 09, 2013 at 11:35 AM

>おキヨさん

面白いあまり、読みながら終わって欲しくないと想う物語ってありますね。
私も昔は、長~~いシリーズものを、好んで読み耽ったこともあります。
でも今は、ものの限度というものを知るようになりました。(爆)
起承転結。 終幕に至るまでの構成の妙など、味わえるようになったのかもしれません。(^ァ^) いえ単に、長編を読み通すのがシンドクなって来たってだけのことかもしれませんけれど。(^^ゞ

Posted by: もとよし | November 11, 2013 at 12:47 AM

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