« 船橋市長選挙 | Main | 携帯電話を新しくしました »

June 29, 2013

ナイチンゲールの沈黙

 
 
ナイチンゲールの沈黙
 
 
    海堂尊
 
      2006年  宝島社
 
 
 
前作「チーム・バチスタの栄光」に続く、東城大学医学部付属病院を舞台にしたミステリー。 田口講師、白鳥調査官の名コンビも健在の2作目です。
前作「チーム・バチスタ~」が想いの外愉しかったですからね。 すごく期待しながら手に取ったんですけれど、その想いが裏切られることはありませんでした。

様々な人生/生と死が交錯する地方都市の大学病院を、豊富な医療知識を駆使して内側から活写する、小説としての面白さ。 相変わらずお見事です。

臨床医学にまつわるトリビアの数々。
巨大かつ精緻な医療システムの懐で働く人々。
病院内政治をめぐる権謀術数/パワーゲームと、込み入った人間関係(但しこの小説の場合、陰湿な描写がありません)。
組織の中で虚勢を張る人と、真摯に動き廻り現場を支える人と。
普段目立たない処に控えていて、しかし現場を支えている影の実力者。
などなど。

緊張の絶えない医療の現場を描きながらも、小説全体にもの柔らかな雰囲気が漂うのが素敵です。
それは本書が、主人公の神経内科病棟・不定愁訴外来、通称愚痴外来を担当する田口講師のややシニカルで、しかしこころ優しい視線を通して語られる故でしょう。
物語の中心からはひとつ身を退いたところに居て、イイ雰囲気を造っているグッチー先生の存在。 これが好いんです。

作中には二項対立の人間関係が幾つもあって、それぞれが有機的に絡み合う構造が面白いと想いましたね。
・推理小説でのホームズ役を務める怪人(!)二人、白鳥捜査官と加納警視正。
・一方ワトソン役の苦労人(!!)二人は、田口講師と玉村警部補。
・不治の病と闘う、少女と少年。
・大人びた子供と、不完全な大人。
・二人の歌姫は、小児科病棟の看護師と酔いどれ迦陵頻伽。
などなど・・・・

音楽家二人(世間の常識が一切通用しない自由人!)の描写はとっても魅力的ですけれど、しかし演奏の場面は今ひとつと想いました。 医療シーンのリアルさ/精緻さとどうしても比べてしまうから、ちょっとばかり物足らなく感じるんだナ。

推理小説としては、そのトリック/仕掛けがいささか物足らず、解決に向けての流れもアッサリでしたけれど、もとよりその辺はさほど期待していません。 田口&白鳥の世界はこんな風で好いんだと想う。(前作でもそうでしたし)
 
 
 
    「チーム・バチスタの栄光」
 
 
 

|

« 船橋市長選挙 | Main | 携帯電話を新しくしました »

Comments

医療の場を舞台にした小説は興味があります。
 医療の場は、作家たちには魅力のある背景になるようで
病院内、病人を主題にした作品は昔から多いですよね。。。

Posted by: おキヨ | June 30, 2013 at 12:34 PM

>おキヨさん

医療の現場を舞台とした小説/ドラマ/漫画。 古今東西名作が揃っていますね。
本書も、その内のひとつに加えてイイんじゃあないかと想います。(^ァ^)
このシリーズの場合、著者が現役の医師であるというのがなによりの強みと思います。
治療/手術の詳細な手順から病院内組織の人間関係、更には我がわが国医療制度の問題などにまで踏み込んでいて、ミステリーとして以上に、医療の現場を舞台にしたドラマとして興味が尽きません。(^ァ^)

Posted by: もとよし | June 30, 2013 at 11:48 PM

こんばんは

 医療の現場を舞台にした小説は、わたしも興味ありです。TVドラマ化されたのは観ましたよ。

いのちと向き合う大変さと緊張感、半端じゃないですよね。
また病院の裏側を垣間見ることが出来るのもいいですね。
医者も人間、いろいろと葛藤があることと思います。

この本は未読だけれど、機会があれば読んでみたいと思いました。

Posted by: みい | July 04, 2013 at 08:00 PM

>みいさん

映像の中の田口講師と白鳥捜査官。 一体どんな姿に描かれているか、とっても興味があります。(笑)
本書は著者が現役の医師であり、しかも医療システムの諸々から医療行政にまで問題意識を抱いているところが、なによりの強みでしょうね。(^ァ^)
それでいて、人間ドラマとしても深いものがある。
同僚医師や看護師さん達から昼行灯と呼ばれる田口講師と、超やり手だけれど人間性にかなり問題アリ(!)な白鳥捜査官とのやりとりがまたケッサクなんです。(^ァ^)

Posted by: もとよし | July 04, 2013 at 11:30 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/57689145

Listed below are links to weblogs that reference ナイチンゲールの沈黙:

« 船橋市長選挙 | Main | 携帯電話を新しくしました »