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May 21, 2013

映画:あしたのジョー

 
   
あしたのジョー
Tomorrow's Joe
 
 
  原作:高森朝雄、ちばてつや
  監督:曽利文彦
  出演:山下智久 (矢吹丈)
     伊勢谷友介(力石 徹)
     香川照之 (丹下段平)
 
 
        2011年  日本
 
 
漫画「あしたのジョー」が少年マガジン誌に連載されていたのは1968年から1973年までのこと。
ボクシングの世界を描いた、ちばてつやさんの代表作として名高いマンガですけれど、私自身は(若干の記憶はあるものの)あんまり印象に残っていないんですね。
なにしろその頃の私は、スポーツ系のマンガ全般に感心を持っていなかったですから。 いわゆる<スポ根もの>を愉しむようになるのは、もっとずっと後になってからのことでした。

けれども、アニメになった2作目、「あしたのジョー2」。 これは(ごく一部しか見てはいないものの)中々イイと想った。 結構好きであったという記憶があります。
今調べたら、このアニメは1980年の放送だったんですね。 ナルホド、この頃には、流石に自分の興味も追いついて来ていたってことか。

それにしても、幾つか造られたアニメ版「あしたのジョー」の全てにおいて、矢吹丈の声を吹き替えた あおい輝彦 さんの演技は、正しくジョーのイメージそのもの。 丹下のおっさん役の藤岡重慶さん共々、けだし絶妙のはまり役でした。
当時は未だ、アニメの声優(無論、専業の声優ではないけれど)にスポットの当たる時代ではなかったと想いますけれど。 このお二人の演技については鮮烈に記憶に残っています。

        ▽▲▽▲▽▲

さて、今回私が観たのは、2011年公開の実写映画版「あしたのジョー」です。
原作の設定通り、舞台は昭和の御世。 そこのところが、とっても好かった。
現代を舞台としたドラマと比べ、撮影はより困難であったことでしょうけれど、手間暇を掛けただけの甲斐は十二分にあったと想います。

高度成長期の真っ只中を突っ走っていた、当時の日本。 容易には止めようのない、時代の勢いというもの。
けれども、その流れに乗り切れぬ者たちが、肩寄せ合いひっそりと暮らす地域がありました。
繁栄の負の側面としてあるかのような、貧困と倦怠の染み込んだドヤ街。(リアルに徹した美術は、二重丸の出来映えです)
そのドヤ街と世間とを隔てる、ひとすじの河。 そこに掛かるは涙橋。 たもとに独り佇む男の背中・・・・

21世紀に生きる我々をして、一気に「あしたのジョー」の世界へと引っ張り込んでしまう演出の巧さ! 掴みは充分であります。
こうして始まる、映画の序盤~中盤は取り分け素晴らしかった。
けれども、中盤以降。 リング上のシーンが増えて来ると、私としては今ひとつドラマに集中し難くくなりました。

ジョーのボクシングと言えば、両手ぶらりのノーガード戦法。
それから必殺のクロス・カウンターですけれど、これが、実写には合わないと思った。 あるいは、漫画の設定を生かし切れない演出の問題でしょうか。
ともあれ、試合のシーンはCG/エフェクトを使い過ぎの感が。
必殺技なんかより、もっと普通のボクシングをして見せて欲しかった・・・・なんて、日頃ボクシングを観戦しない私が言うのもナンですけれど。

さてここに、ジョーに魅入られた二人の男。
片や、力石徹役・伊勢谷友介さん。 そのニヒルさと、求道者としての壮絶な姿。
そしてもう一人、丹下のおっさん役・香川照之さんの妄執と粘液質ぶり。
この二人の見せる狂気(!)、鬼気迫る様子が、もう素ン晴らしい出来でした。
その成り切りぶりを見届けること。 もうそれだけで、この映画は鑑賞する価値アリと言えます。
上に書いたアニメ版の名声優お二人に負けない、これは「あしたのジョー」を語る上で欠かせないキャスティングと想いました。

一方、主人公の矢吹丈役は山下智久さん。
アニメ版の<あおい輝彦>ジョー が(声で)表現した、懐の深さやら色気ってものがありません。
只なにより、ボクサー役として身体は充分に動きますので、この点は及第点。
だから、かもしれませんけれど、このジョーは比較的寡黙で通します。
芝居については、おっそろしくキャラの濃い(!)脇役達に任せて、主人公にはなるべく演技をさせない方向に振っているのかもしれない(演出のプラン上)なんて風に想いました。
 
 

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Comments

あおい輝彦の声は完全にハマってましたね
このころは熱中して見てました。

年がばれちゃいますね(笑)

Posted by: クウ | May 22, 2013 at 08:23 AM

〔あしたのジョー〕年代的にもちろん私は知りません。
でも当時6歳の甥が熱心なジョーのファンだったようです。
私が実家に帰ると〔あしたのジョー〕がおりました。
なんと飼い犬に(あしたのジョー)という名前を付け、フルネームで呼んでいて、家族が〔ジョー〕と呼ぶことすら許されず、必ず〔あしたのジョー〕と呼べと。。。happy01
私までが〔あしたのジョーおいで、あしたのジョーや、おいで〕という状態〔苦笑〕
あしたのジョーにまつわる懐かしい思い出です。

Posted by: おキヨ | May 22, 2013 at 11:46 AM

>クウさん

やっぱり、クウさんもご覧になっていましたか。(笑)
あおい輝彦さんの演じた矢吹丈、凄くカッコ好かったですね。

ストレートで熱い、昭和のスポーツ漫画。
今、動画サイトなどで観てみても、魅力は少しも色褪せていないですね。

Posted by: もとよし | May 24, 2013 at 12:17 AM

>おキヨさん

甥御さんは(まことに男の子らしく)「あしたのジョー」がお好きでしたか。
しかも、愛犬にまでそう名付けるとは! 相当熱いファンであったということですね。(^ァ^)

私の場合、スポーツ系の漫画全般にあまり興味がなかったんですけれど。
今頃になって改めて ちばてつや さんの絵を観てみると、流石に昭和の大御所漫画家の代表作だけあって、これが素晴らしいんですね。
長い間、ずっと関心の無かった自分の不明。 反省しきりであります。(^^ゞ

Posted by: もとよし | May 24, 2013 at 12:18 AM

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