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February 16, 2013

赤目四十八瀧心中未遂

 
 
赤目四十八瀧心中未遂
 
 
   車谷長吉 著
 
 
      1998年   文藝春秋
 
 
 
何ナンでしょう。 この、只ならぬ緊張感は。
とにかく、小説ののっけからお終いまで、終始尋常でない気配の中に浸っている気分でしたね。 この「赤目四十八瀧心中未遂」というお話。
それは、読んでその毒気にあてられ、そしてシニカルな視点/語り口にウカウカと共感させられ、やがて主人公の姿勢に懐疑心を覚えるも、それでもなおその魔性に屈して、ページを繰ることを止められない。 つまりはどうにも面白過ぎる小説でした。
 
 
※.東京の大学を出、一旦は安定した職に就くも、平凡で安穏とした暮らしに、どうしても馴染む事の出来ない主人公。
懊悩の末、仕事も住処も手放した男が、放浪の果てに辿り着いたのは、関西のとある街でした。
生活の為、底冷えのする狭くるしい部屋に独り閉じこもり、ひたすら単調な手仕事に没頭する日々の始まり。
そんな男を受け入れようというのか、それとも拒絶するのか。 周囲に見え隠れする、素性の知れぬ住人たち。
 
 
<堕ちてゆくに任せる屈折した快感>ってありますよね。 絶対。
私も最初、この主人公の下流志向/自堕落ぶりにはいささか共感するものがあったけれど、小説を読み進める内に、こいつはちょっと違うなと。
底辺の街に好んで身を沈め、シニカルな視線で周囲の人々(そういう街でしか暮らしてゆけない)の息遣いを、冷やかに伺う男。(一方、男の周囲の人々の側も、そんな男の屈折した上から目線を敏感に(おそらくは本能的に)嗅ぎ取ってしまっている)
読んでいて、主人公の(謂わば)似非インテリぶりが、アタマの中に浮かび上がって来たんですナ。

とはいえ自分の中に、それでも男に共感してしまう部分があるのも確か・・・・
読んでいて感じる、ある種居心地の悪さ。 付きまとう、どこか気まずさ。
そんなところもまた、この作品の魅力のひとつと想っています。

ともあれ、小説の全篇を通じて際立っているのは、言葉遣いや措辞の巧みさ。
なにかこう、すごい呪術めいた誘引力があって、読む者を捉えて離さないんです。
 
すっかりこの小説の毒気にあたってしまった私は、いつか取り憑かれたようになって、一気にお終いまで貪り読みました。
小説世界に絡め取られ、昏い深みへ、深みへと引き摺り込まれるような快感を味わいつつ。
 
 

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Comments

おっしゃっていること、非常に良くわかります。
私もこの方の本、読んだのですが、同じ感想です。

特に、
<堕ちてゆくに任せる屈折した快感>
>私も最初、この主人公の下流志向/自堕落ぶりにはい>ささか共感するものがあったけれど、小説を読み進め>る内に、こいつはちょっと違うなと。
そうそうこの感じ・・・

結局、1冊読んで終わりでした(苦笑

Posted by: 晴薫 | February 17, 2013 at 08:23 PM

>晴薫さん

お読みでしたか。(^ァ^)

癖のあるヘヴィーな(?)文体。 こういうの、私は結構好きなんです。
読んでいて、やがてピンと来る胡散臭さ(笑)をどう受け止めるかですねぇ。
まぁ、これはこれで。(笑)

Posted by: もとよし | February 18, 2013 at 05:55 PM

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