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January 23, 2013

力士ふたたび

 
 
力士ふたたび
 
 
   須藤 靖貴著
 
 
       2011年   角川春樹事務所 
 
 
大相撲の世界の内幕を描いたハードボイルドです。

親方急死の真相を追う主人公、秋剛士は現役時代に十両まで上った元力士。
この、<元十両>ってところがポイントですね。
なにしろ番付が絶対的な意味を持つ大相撲社会です。
現役時代(実力はあっても、番付運に恵まれず)十両で終わった秋剛士が、犯人捜しのために元幕内や更には元横綱といった番付上位者たちと相対する。
言わば、負い目を抱えた立場での捜査を余儀なくされるという構図が、本書をガチなハードボイルドとして成り立たせている要因と見ました。

角界ならではの隠語や、親方・師弟や同輩との関係、更には年寄株を廻るスキャンダル。
随所に大相撲トリビアを散りばめつつ、相撲協会という一種の閉鎖社会と、その中にどっぷりと浸かって生きてゆく力士たちの(一般とはいささか異なる)常識について語られるのが興味深かったです。

元力士の主人公に相応しく、アクションシーンにも事欠きません。
とはいえ相撲の番付とは正直なもの。
自分よりも上位の者に立ち向かう際は(土俵の上と同様に)苦戦を余儀なくされます。
この小説、こと相撲シーンに関して<主人公補正>が一切施されていないところがイイですね。 著者の相撲愛を感じます。
が、幾らボコボコにやられようがそこは元力士。 滅法打たれ強いですぞ!

そんな訳で、中盤までは愉しめましたけれど、但し、終盤からラストにかけては、いささか性急&強引に過ぎて頂けません。 どうしてこうなったのかな。
なんか、不意にうっちゃりでも喰らった気分でした。
 
 

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Comments

わたしは相撲が大好きで、よく国技館に見に行きますよ。
礼儀正しさと歴史を感じさせてくれますが、最近の日本人力士にはもう少しガンバってほしいところですね

Posted by: クウ | January 24, 2013 at 10:15 AM

>クウさん

クウさん、大相撲ファンでしたか。(^ァ^)
そう言えば、小説中で外国人力士は一切出て来ませんでしたね。
元相撲雑誌編集者の著者も、日本人横綱の出ない現状には忸怩たる気持ちがあって、「あえて」触れたくなかったのかな。(^^ゞ

Posted by: もとよし | January 24, 2013 at 11:28 AM

角界を背景にした小説って珍しくありませんか?考えると日本伝統スポーツの角界を舞台にした作品があってもいいような気もします。と云っても特殊な世界、矢鱈に書けるものでもありませんね。ラストをはしょった!?二時間ドラマでよくあることですね。。。happy01

私も相撲を大好きでよく観ていまが、夫のように各力士の技はよく判りません。
そうそう、若かりし頃、国技館裏に下宿したことがありました。先日亡くなられた大鵬さんも出げいこの帰りに見かけましたよ。

Posted by: おキヨ | January 25, 2013 at 11:47 AM

>おキヨさん

>角界を背景にした小説って珍しくありませんか?

少年漫画だと記憶にあるんですけれど。
小説となると・・・・なるほど、中々思い当たりませんね。
そこは、いろいろと問題の取り沙汰される大相撲の世界ですから、内側から描くとなると難しいのかも。(^^ゞ

>大鵬さんも出げいこの帰りに見かけましたよ。

なんと! 現役時代の大鵬の姿をご覧になっているんですか。 スゴイ!(^ァ^)

Posted by: もとよし | January 25, 2013 at 10:48 PM

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