イン・ザ・プール
イン・ザ・プール
奥田英朗 著
2002年 文藝春秋
・イン・ザ・プール
・勃ちっ放し
・コンパニオン
・フレンズ
・いてもたっても
伊良部先生シリーズの、これが1作目。
伊良部総合病院の神経科に勤める型破りな医師、伊良部先生の登場する連作短編集です。
以前にここで取り上げた「空中ブランコ」が、同じ伊良部先生の登場するシリーズの2作目ですから、つまり私は2作目->1作目の順に読んじゃったことになります(!)。
とは言え、作風は「空中ブランコ」と同様。
主人公(=患者さん)は毎話入れ替わるし、伊良部先生の身辺にもずっと変化が無いので、こんな読み方をしても、特段時系列的な違和感は感じられなかったですねぇ。
神経科の看護婦マユミちゃんも、のっけから診察室に(無愛想な顔して)控えてます。
あのスタイル、シリーズの第一話から出来上がっていたんですね。
但しこの「イン・ザ・プール」、(「空中ブランコ」よりも先に書かれている分)お話一つ一つの完成度という点では、いまだしの感がありましたね。
伊良部先生の毎度の奇行(!)も、ここでは未だ単にアヤシイだけで、後のお話のように、無茶苦茶やっているようで実は患者さんの治療とシッカリ結びついていました、って(ナルホドな)展開がない。
第一話から一貫して同じスタイルを保ちながら、「イン・ザ・プール」->「空中ブランコ」へと巻を進める間に、長足の進歩を見せているのは流石です。
空中ブランコ (伊良部先生シリーズの2作目)
Comments
奥田英朗さんの小説。
私もこの間、無理上下二巻を読みましたよ。
今度はこのシリーズの短編を読みたかったので、参考にしたいと思います。
Posted by: 晴薫 | October 17, 2012 08:46 PM
>晴薫さん
奥田英朗さんの伊良部先生シリーズ。
未だあと一冊、未読の作品があるらしいので、そのうち図書館で捜してみる積りです。
このシリーズ、近年は書かれていないようですけれど、2冊目まで読んだ限りでは、各話ともワンパターンと言えば、まぁワンパターンだし。(^^ゞ そんなところかナと。(笑)
ともあれ、明るいノリで愉しめるところがイイですね。
Posted by: もとよし | October 18, 2012 07:01 AM