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July 28, 2012

デンデラ

 
 
デンデラ
 
 
    佐藤友哉 著
 
 
        2009年   新潮社
 
 
 
※ ある年齢に達した者は例外なく「お山」に入らねばならぬ寒村(おそらくは東北の)。
そうして村から捨てられた者の内、密かに生き延びた女たちが山中に「デンデラ」と呼ばれるコミュニティを造り、人知れず暮らしていました。
但し、そこへ集まる女らの思惑は様々・・・・このままデンデラで暮らしを立ててゆこうという者。 自分らを捨てた村への憎しみを断ち切れぬ者。 そして生き永らえるのを潔しとせず、極楽浄土を希求する者も。
 
 
「デンデラ」は、いわゆる姥捨て山伝説を素材にした話しです。
姥捨て山というと、私など静謐で哀れなイメージを持っていたんですけれど、でもこれが、想いっきり壮絶でエネルギッシュで、そのうえエグイ(!)ストーリーでした。
 
登場人物はデンデラの住人たち。 50人からなるお婆ちゃんたちなわけですけれど、姥捨て山の女たちというよりは、往年の学生運動の闘士(それも相当ラジカルな)らででもあるかのような言動・・・・第一、共同体とはいっても内部はセクトに分かれ、各々が対立して根強い相互不信を抱いている・・・・とてもじゃあないけれど、山里のお婆ちゃんたちのすることじゃないですよ。

その上、その言葉遣いやら会話の内容、そして振る舞いなどは、とても歳を経た、まして女性のそれではありません。
一人ひとりの名前も、性名(フルネーム)で呼び交わすなど、わざわざ現実味を失わせ、共感を寄せ難くしてあるかのようです。
もう、リアリズムとは正反対の方向ですね。

むろんこういった、ある種とっつきの悪さは、著者の計算の内と想いますけれど。
ともあれ、読み進める程に激しい違和感を受けました。 (すっかり著者の手の内?)
東北の寒村とか、高齢の女性、山中での共同生活といった諸設定は、その一々が何らかのメタファーではないかしら?・・・・なんて想わせられます。

初めから三分の一くらいまでは夢中で読みました。(文章がとっても旨い!)
それが中盤以降はシビアな展開に突入。 これでもか、これでもかと続くエグイ描写には、もう付いてゆけないという方が少なくないと想います。 (だからしてこの小説、万人におススメとは決して言えません)

けれどもアクションの描写、スピード感は(エグイ分だけ)凄いものがあります。 オーバー70のお婆ちゃんたちとはとても想えない行動力、そして戦闘能力(!)。
なにより彼女らの死生観には(誰しもが一旦は死を覚悟してデンデラへと辿り着いただけに)有無を言わさぬ重み/凄みがありました。

さて、私がこの小説を(その不条理性も含めて)充分愉しめたかっていると・・・・いや、微妙なところですねぇ。
ワタクシ、持って任じていた程は、適応力/受容力を持ち合わせていなかったってとことか。
 
 

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Comments

この小説映画化されませんでしたか?ベテラン女優陣が総出演みたいな・・・映画を観たわけではないのですが、ワイドショーでちらりと。。。
年取って捨てられた女たちの逆襲でしょうか。参加したくなる気がしないでもないですが、体力のない私止めておきましょう(~_~;)

本はなかなか面白そうな気もしますが。読もうか、読むまいかゆれている女心bleah

Posted by: おキヨ | July 28, 2012 at 12:33 PM

>おキヨさん

「デンデラ」で検索してみたら、小説よりもむしろ映画に関する情報がザクザクと。
話題の映画であったようですね。(^ァ^)

捨てられた女性ら(つまり弱者の側)が山奥で一致団結して生き抜こうって構図は、やっぱり映画向きなんでしょうか。

けれどこの原作に関する限り、デンデラの面々のとても女性とは思えぬ言動は、まるで読者の共感を拒もうとするかのようですし、凄惨なヴァイオレンス描写がこれでもか、これでもかと続出するしで・・・・この小説ばっかりは、あまりオススメは出来かねます。(^^ゞ

映画の方は未見ですけれど、原作の持つ極めてユニークな世界観を、果たしてどんな風に表現していますか。 (怖いもの見たさ半分で(笑))確かめてみたい気もしています。

Posted by: もとよし | July 28, 2012 at 09:12 PM

こんばんは~
 この本は未読です。映画は観たいなとは思っていたけれど、いつの間にか終わっていたのです・・。

もとよしさんの解説読んで、うん、やはり観ればよかったかな…なんて思っています。

原作は、遠慮しとこうかな(笑)

Posted by: みい | July 29, 2012 at 11:39 PM

>みいさん

やっぱり映画が気になりますよねぇ。(笑)
ベテラン女優の大集合ってことになるでしょうけれど、皆さん互いを意識して張り切っちゃうでしょうし。
でも厳冬期の山奥の話ですから、撮影はもの凄く大変そう。
雪景色、雪山のヴィジュアルについては期待できそうですね。 そういうところが原作にはなかったですから。
やっぱり、いつか見たい映画のリストに入れておくことにします。(^ァ^)

Posted by: もとよし | July 30, 2012 at 12:10 PM

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