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June 23, 2012

青春デンデケデケデケ

 
 
青春デンデケデケデケ
 
 
    芦原すなお 著 
 
 
        1990年   河出書房新社
 
 

舞台は1960年代の香川県。 ある日、ラジオから流れるベンチャーズの電気ギターから電撃的啓示を受け、青春をロックバンドに捧げることになった少年とその仲間の物語です。

気の合う仲間同士で、好きなことを思いっ切りやる! あるいは、なりふり構わずバカをやる!
好いですねぇ! やりたいだけおやんなさい。(迷惑掛けない範囲でネ) これぞ若さの特権ってモンです。

とは言えこの当時、彼らの周囲にはバンド経験者なんて誰もいなくて、勿論今みたいに各種メディアを通じて手軽に情報が手に入るわけもなし。
なにしろ楽器がない(演奏技術がないのはもとより)、知識もない。 ましてや(なにより重要な)お金なんてこれっぽっちもありません。
バンドをやろうと一大決心をし、メンバーを集めてはみたものの(情熱の他は)無いもの尽くしなワケです。

そこでまずは楽器代を捻出すべく、アルバイトに精出す日々なのです。
こういう不自由さにメゲルどころか、むしろ愉しんでしまえるのが若者って奴ですね。

小説の語り手は当時バンドリーダーを勤めたサイドギターのちっくん。
小説中では、みんなしてバカやってますけれど、方言を多用したその文体からは、ユーモアとインテリジェンス、そして粋を漂わせますよ。(この辺り、主人公のその後の人生を暗示しているように想います)
そして既に中年の域、人生も後半戦に入ったと思しき男性の、当時を懐かしむ語り口には、素直に共感を覚えますね。

登場するのはみんな好い子(ひたむきで、不器用で、純情な)ばかりだけれど、中でもベースの富士夫が好い味出してますね。 高校生の割りに老成しちゃって、妙に世慣れているお寺の息子。

高校を卒業したバンド仲間の「その後」を訊いてみたい気もするけれど、敢えて多くを語らないでいるのが、この小説の好いところでもあるよな。 ウン。
王道の青春ものを愉しみました。
 
 

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Comments

楽しそうな本ですね。。。

ベンチャーズといえば青春時代をわずかに?ずれていた私でも心弾むリズムでした。
ロックの王様エルヴィス・プレスリーを幕開けとして、いろんなリズム音楽がなだれ込んだ時代でしたね。shine

Posted by: おキヨ | June 24, 2012 at 12:32 PM

>おキヨさん

作中に登場する、香川の高校生らを夢中にさせたアメリカンポップスの数々。(その殆どが、私など初めて耳にする名前ばかりでした (^^ゞ)
ベンチャーズ、プレスリーはじめ、いろんな楽曲が登場して、往時の洋楽文化の豊かさが窺い知れます。

今とは違い、洋楽に関して(ましてそれを弾き唄いこなすのには)あまりにも情報の少なかった当時の日本ですけれど。
それでも徒手空拳の状況からバンドを組み、人前で演奏出来る(しかも聴衆の前で大ウケする!)レベルまでモノにしてしまう彼らの情熱!
若さってホントに凄いと、改めて想いました。(^ァ^)

Posted by: もとよし | June 25, 2012 at 12:14 AM

こんばんは!

 これはわたしの住んでるところからかなり近くの観音寺市が舞台だったと思います。
面白いですよね。
又読み返してみたくなりました。

Posted by: みい | June 30, 2012 at 10:14 PM

>みいさん

この作品、みいさん家のご近所が舞台でしたか! やっぱりネ。(^ァ^)

60年代当時の香川県観音寺市。 そのローカル色(方言も多用されて)豊かな描写が三丁目の夕日・讃岐版とでもいったカンジで、とっても好かったです。
そして主人公らの通ったのが観音寺第一高校・・・・って今調べたら実在の学校だったんですね!

洋楽に憧れ、親友とバカやって(^^ゞ、周囲の自然(海と山)にも恵まれて。
ホント、読んでいて主人公らが羨ましくなった青春小説でした。

Posted by: もとよし | July 01, 2012 at 05:00 PM

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