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June 05, 2012

バッテリー III

 
 
バッテリー III
  
 
    あさのあつこ 著
  
  
          2000年
  
  
「バッテリー」の三冊目。
前二冊と同様、小説としては短いけれど、しかし充実の読後感を得ました。

一~二巻において、その卓越したピッチングを披露した主人公の中学一年生、原田巧。
ここまで彼の、プロ野球のスター選手の少年時代もかくや、と想わせる飛びぬけた才能を散々見せ付けておきながら、一向に試合をさせないで、読者(つまり私)をやきもきとさせて来ました。

これが例えば野球マンガなら、主人公は早速投手に大抜擢(一年生ながら)されて、大会の檜舞台でバッタバッタ、三振の山を築きそうなところじゃないですか。 それがここでは、じらされてじらされて、ゲームの場面は中々始まりません。

        ▽▲▽▲▽▲

さて主人公巧ですが、ここへ来て漸くその持ち前の性分が見えて来たようです。

巧という子は只々ボールを投げたい、ピッチングをしたいんですね。
マウンドはその為にこそ必要だし、彼がチームの一員である理由もそれ故。

そもそもが、チームプレイに殆ど興味がない(!)みたいです。
なんたって協調性ゼロの性格だし。
それよりも何よりも、心に抱くのはマウンドという場所、ピッチングと言う行為への強烈な思慕、そればかり。
こうなると、彼のやりたいのは一般的な意味合いでの「野球」とはいささか異なるものなんじゃないか、なんて想ってしまいます。

著者のあさのさん、ホントに手の焼ける子を主人公に据えられましたね!
無論、そこのところがこの小説「バッテリー」の魅力のひとつなんですけれど。

        ▽▲▽▲▽▲

ピッチャーの原田巧と、キャッチャーの永倉豪。
彼ら以外の野球部メンバーらの描写も増えて、こうなって来るとドラマに奥行きが生まれますね。

その豪の存在が好いんです。
孤高のピッチャー・巧に対して、その球を捕り、試合/チームの全体を俯瞰するキャッチャーというポジションの豪。
巧と正反対の、至って鷹揚な気質。
彼こそは、「投げたい」という、只それだけの理由で野球を続ける巧にとって必要不可欠の存在。
そして、周囲から何かと反発を買い易い巧(巧の言動じゃ無理ない、と私だって想います)にとって最大の理解者にして、時にケンカ相手ともなるのです。

まだまだ先のあるこの物語、この二人の関係がこの先どう変わってゆくか、気になります。
 
 
 
    バッテリー     (1996年)
    バッテリー II   (1998年)
 
 

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