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May 17, 2012

アポロ13

 
 
アポロ13
Apollo 13
 
 
監督:ロン・ハワード
原作:ジム・ラヴェル & ジェフリー・クルーガー
      「アポロ13」 (Lost Moon)
出演:トム・ハンクス  (ジム・ラヴェル船長)
    ケヴィン・ベーコン  (ジャック・スワイガート司令船操縦士)
    ビル・パクストン  (フレッド・ヘイズ月着陸船操縦士)
    ゲイリー・シニーズ  (ケン・マッティングリー(地上支援))
    エド・ハリス  (ジーン・クランツ飛行主任)
 
 
       1995年  米国
 
 
先日のスーパームーンではしばらくぶりに月を(改めて)眺め入る機会を得ました。
神代の昔から、煌々と地上を照らして来たお月さま。
想えば人は有史以来、月を仰いでは様々な感懐を抱いて来たわけですね。

それにしても、この映画の主人公ジム・ラヴェル。
ジェミニ7号とジェミニ12号に乗り、アポロ8号では月を周回。 そしてアポロ13号の事故から生還したこの人ほど、月への遣る瀬のない想い入れと、そして数奇な関わりを持つ人物というのは、そうはいないのではないかと私は想います。

1995年製作の「アポロ13」。 この映画を私はこれまで何度も鑑賞して来ましたけれど、その度に感銘させられます。
好いものは何度見てもイイ。 と改めて想わされた、これは抜きん出た作品です。

        ▽▲▽▲▽▲

1960~70年台に人類史上初の有人月面着陸という快挙を成し遂げた米国・NASAのアポロ計画。
中でもアポロ13号は敢え無く失敗を喫したこと、しかしながら乗組の宇宙飛行士を生還させ得たことで知られています。

当時のNASA。 トップレベルの頭脳/技術集団が、考え得るあらゆる事態を想定し、万全の準備を尽くして臨んだアポロ13号ですけれど、それでも月への途上、致命的な事故に見舞われてしまったんですね。

なにしろ地上から遠く離れた宇宙空間で起きた事故です。
そこからの帰還というのは、人類史上(!)例がありません。
そんな状況から三人の宇宙飛行士を生還させるべく奮闘するNASA関係者、そして家族の姿。

この物語。 迫真の救出劇であると同時に、超大型プロジェクトにおけるリスクマネジメントに関する稀有な例である、と言う事も出来そうです。

        ▽▲▽▲▽▲

映画として特筆すべきは映像の魅力です。

徹底的に忠実に再現された当時のNASAの管制室や、アポロ13号船内の完成度の高さ。
アポロ計画当時の機材というのは、今見ると古めかしい(いっそレトロと言って好いような)装いで、これって(その中で働く人々の漂わす空気感共々)ヴィジュアル的に新鮮ですね。
当時のコンピューターなど、今時のレベルから見れば可愛いもんです(けれどもアポロ計画以降、人類は月を訪れ得ていないワケで・・・・)けれど、そこからは機能美を感じさせられます。

そして三人の宇宙飛行士たちの船内遊泳。 これには驚かされました!
指令船~月着陸船の中を、文字通り泳いで見せてくれるんです。
SF映画の中で無重力状態を描いた情景と言えば、古今枚挙に暇がありませんけれど、この映画(無論、この「アポロ13」はSFではないわけですが)に見る遊泳シーン程リアルな例は他にないでしょう。
なんでも船内シーンを撮影するため、大型航空機の内部に撮影スタジオを特設したのだそうで。
航空機を急降下させる際、ほんの数十秒間生じる無重力状態を利用して、短いカットに分けて撮影したとのこと。
なんだか途方もない手間ですけれど、そのお陰でワイヤーやCGでは得られない、ホンモノの無重力シーンが堪能出来ます。

        ▽▲▽▲▽▲

そして、素晴らしいロケット打ち上げのシーン。

それは、あたかも、神聖な宗教儀式めいた壮麗さで展開します。
ヒューストン管制センター(コンソールを所狭しと並べた)では、次第に緊迫感の高まってゆく中、飛行主任ジーン・クランツ(エド・ハリスが好演)が、各部門の担当官(その一人ひとりが個性的!)達に発射前の最終確認を求めます。
「ブースター」「ゴー」、「レトロ」「ゴー」、「イーコム」「ウイアーゴー、フライト」・・・・
矢継ぎ早に応答の交わされるカッコよさ。 (原作を読まれ方ならば、きっと判って頂ける筈)

厳かな面持ちの宇宙飛行士たちが、途轍もなく巨大なロケットの先端に据えられた、本当にちっぽけな三角錐(指令船)に乗り込めば、程なく秒読みが始まって。 さあ、宇宙への旅立ちです!!
地上には、万感の想いで見守るラヴェル夫人はじめ宇宙飛行士の家族。
この打ち上げシーンばかりは何度見ても熱くなります! そして燃えます!!

でも、ここまでで映画はまだ前半なのでした。

        ▽▲▽▲▽▲

順調に月へと飛行するアポロ13ですけれど、好事魔多し。 飛行4日目にして、船内で突如謎の爆発が起こります。

飛行主任ジーン・クランツの行動は果断でした。
極めて深刻な事態と診た彼は(この段階では未だ、どう対処するべきか、そもそもアポロ13船内で何が起きたのかも解っていない)各分野の担当者に対し緊急召集(官民の隔てなしに)を掛けます。

クランツは集まった各担当者たちと鳩首協議の末、予定されていた月面着陸計画を已む無く取り止めました。
この時点で、巨額の予算を注ぎ込んだ月面探査計画は水泡に・・・・
そしてプロジェクトの目的そのものが、三人の宇宙飛行士を宇宙から生還させる方向へと大転換したのでした。

想定外の事態、前例なしの運用、そして何より致命的な電力不足という絶望的な状況の中、再三再四持ち上がる無理難題に立ち向かい、不屈の司令塔なってNASA=究極の理工系集団を率いるクランツ。

        ▽▲▽▲▽▲

地球へと引き返すべく、一旦は月の裏側を通過して故郷を目指すアポロ13号。
その束の間、ラヴェル船長が見た白日夢は・・・・宇宙服を着込み月面を歩む彼自身の姿でした。

この映画「アポロ13」は実在のジム・ラヴェルその人が監修を勤めている訳ですけれど、彼はこの月面シーンを一体どんな想いで観たことでしょう?

だって、自身のパイロット人生の(あの事故さえなければ)文字通りクライマックスとなった筈の月面活動ですよ。
遂に実現し得なかったその情景が(白日夢というカタチではあれ)今映画のスクリーン上に・・・・それに見入るラヴェル(本人)の心情は、果たして如何に?

映画を見ているこちらも、万感胸に迫って来ます。

        ▽▲▽▲▽▲

艱難辛苦を乗り越えた末の救出劇。
宇宙計画としては失敗ですけれど、リスクマネジメント/救助活動として見れば、これは歴史に残る逆転大勝利のケースですね。
帰還のシーンは気分爽快で、見る度感動してしまいます。(単純なオレ)

この映画は特撮/美術が素晴らしい他、脚本(そして編集も)が本当に巧みですね。 原作を読んで、そして映画を繰り返し見てみて、つくづくそう想います。

出来得れば、ジム・ラヴェルの記した原作(長編ですけれど)を読んでから観るのが好いと想います。 その方が、より愉しむ事が出来ます。

        ▽▲▽▲▽▲

ある晴れた日のラヴェル邸。
庭仕事に取り掛かろうとするマリリン・ラヴェル夫人の頭上を、低空飛行で突っ切ってみせる小型ジェット機!
こんなお茶目をやらかすのは、この日フロリダのケネディ宇宙センターへ出張すると言って家を出たお父さん。 宇宙飛行士のジム・ラヴェル氏に決まっています。

宇宙飛行士達は皆腕自慢のパイロットでもあるので、ジェット機(T-38練習機)を操縦してみせるくらいお手の物なんですね。
ですから、急の仕事でケネディ宇宙センターへ往くにしたって、旅客機のチケットを取るよりも、自分の手でジェット機を飛ばした方が早いし、その為に宇宙飛行士専用のT-38が貸与されてもいます。
で、わざわざ自宅上空経由(!)でフロリダを目指すラヴェル氏なのでした。

このシーンは映画の本筋とは関係のない、ささやかな点景に過ぎませんけれど、でも当時のアポロ計画の壮大さと、その中で働いた人々の日常を象徴しているようで、私は好きなんです。
 
 
 
   アポロ13  ジム・ラヴェル&ジェフリー・クルーガー著  (この映画の原作です) 
   アポロ13 奇跡の生還  ヘンリー・クーパーJr.著
                    (こちらはアポロ13の生還に焦点を絞った一冊)
 
 

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Comments

私も数年前この映画をテレビで観ました。
今貴ブログを拝見していて、私は何を観ていたのだろうかと。。。宇宙に対する思い入れが男女差、年齢差でいろいろ違いがあるのでしょうね。
記事を拝見したらもう一度じっくり見たい映画になりました。トム・ハンクスも好きな俳優だし。。。

というか、もとよしさんの文章の説得力がお見事!ヽ(^o^)丿

Posted by: おキヨ | May 18, 2012 at 11:46 AM

>おキヨさん

お褒めの言葉、ありがとうございます。(^ァ^)

おキヨさんもこの映画、ご覧になってましたか!

お察しの通り、宇宙もの大好きの私であります。(笑)
アポロ計画の当時、少年マンガ雑誌上で宇宙関連の特集が盛んに組まれていたのを憶えています。 それを読んだ経験が、思い入れとなって自分の中に強く刷り込まれているのかもしれませんね。(^^ゞ
父親が(あの当時は未だ珍しかった)SF好きだった、というのも関連していますでしょうか。

この映画は俳優陣もまた見事ですね。
私の場合は、ヒューストン管制センターに詰める技術者の面々にすっかり感心しました。
中でもジーン・クランツを演じたエド・ハリスは、本人の写真にソックリでして。(笑)
役作りをする上でジーン・クランツその人に、すっかり惚れ込んだのではないかと想います。(^ァ^)

Posted by: もとよし | May 18, 2012 at 02:11 PM

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