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April 28, 2012

火車

 
 
火車
All She Was Worth
 
 
   宮部みゆき 著
 
 
     1992年   双葉社
 
 
また、宮部みゆき作品です。

以前私の読んだ宮部作品「ブレイブストーリー」。 ファンタジー/RPG世界を題材にしたあれとは違い、こちらは長編ミステリーです。
当時社会問題としてクローズアップされ始めたカード破産/自己破産を取り上げた、つまり全く毛色の異なる小説ではありますけれど、読んでみてやはり宮部作品に間違いなしと納得させられたのです。

        ▽▲▽▲▽▲

主人公は職務中に怪我を負い、現在は休職/リハビリ中の刑事。
妻を亡くし、未だ幼い息子との二人暮らしながら、隣人や同僚に恵まれ、その私生活は慎ましくも、なかなかに豊かです。
小説の主人公としてはあまりにも特徴に乏しい地味な中年男ながら、本人及びその周辺がとっても魅力的に描かれている。 この筆者ならではのこういった筆致、リアルで共感し易いです。

さて、小説の語り口は巧みですけれど、次第に解き明かされる設定は結構複雑で、読んでいてちょっとアタマが疲れちゃいました。 (オレって、やっぱりこういう小説は向いてないのか?)
ミステリーとして、諸々の設定やら因果関係などが精緻に積み上げられている、という感じがあんまりしないんですね。 ちょっとばかり脇が甘い(あくまでミステリーとして見た場合)というのか。
だから、ちょっと読み難いと感じるのかもしれません。

        ▽▲▽▲▽▲

他人に成り代わろうとして、姿を消した女の足跡を辿る主人公。
この女というのが、なかなか正体を現しません。 その動機は? そして手口は?
それでも、長く地道な捜査を通じて、少しずつ、少しずつ姿を見せ始めるんですね。
こうして追跡行も遂に終盤へと来たくだりの高揚感と感傷!
その情念の奔流は・・・・感動的です!!(ラストのこういう展開のさせかたは、以前に読んだ「ブレイブストーリー」と似た感じですね)

一編の物語のこうした幕の引き方は、ミステリーとして少しばかり唐突かもしれないけれど、私は好きだな。
 
 

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April 18, 2012

春愁 (駄文)

 
 
暫く更新を滞らせておりました。
 
先日(3月25日)所属オケの定期演奏会を済ませてからこっち、どうにも意気が揚がりません。
職場でも、どうにもクッダラナイ失敗を連発するし。 はぁ。
虚脱感? それもあるし、欲がなくなっちゃってる、とでも言うのか。 中々積極的に出れないんですね。
今年は、夏を目安として心機一転を図るってのが年頭からの目論見ですけれど、果たしてこんなことで上手くコトを運べるのかしら。
 
このところずんずん暖かくなって来ていて、カラダが戸惑ってるってことは確かにあると想う。
我ながら、気温の変化についてはおっそろしく順応性に乏しいんです。(毎年のことですけれど)
 
気が弛んで、よろず後手に廻ってる状態ってのは、快適とは言えないワケですが。
でも今は、このポカポカした陽気の中で感じるカルーイ憂いってのを、ちょっと愉しんでいたりします。(現金な奴)

ともあれ、休める時はしっかり休む。
自宅での時間は、牛乳飲んで、それから沢山眠るよう心掛けてます。(赤んぼかよって感じですけれど)
 
今、所在無くネットを彷徨っていたら、能村登四郎の句
 
 
    春愁の中なる思ひ出し笑ひ
 
 
というのを見付けまして。 読み返しては独り悦に入ってます。
俳句、イイねぇ。
 
駄文でありました。
 
 

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April 06, 2012

バッテリー II

 
 
バッテリー II
  
 
    あさのあつこ 著
  
  
          1998年
  
  
バッテリー」の続編です。
主人公の野球少年・原田巧君とその周囲を、相変わらず丁寧(過ぎるくらい!?)な筆致で描いてゆきます。

巧も、2巻にしてやっと中学に入りました。
読者としては、早速野球部での大活躍を期待してしまうワケですけれど・・・・・そこは原田巧。 そうそう素直に展開してくれやしません。

なにしろ前作があんまり好かったですからね。 私など、もうワクワクしながら読み始めましたけれど。
これが読者の期待を翻弄させる、中々の辛口に仕上がっていました。

心理描写や人間関係についても、ギリギリの際どいコースを突いてきますよ。
中学一年生達(野球仲間やクラスメート)そしてその周囲(家族、先生、先輩ら)を描くにあたって、ここまでヤルかと。

それにしても、決して長編ではないにも関わらず、前作の発表(1996年)から年度の開いているのは何故でしょう。
私は、そこのところにちょっと興味が湧きました。
それだけ丁寧に描きたかったということなのか。 あるいは、書きたくても、容易には書き進めることが出来なかったのかも・・・・

原田巧という少年。
新入生ながら、超中学級(?)の剛速球投手。
はなはだ傲慢にして、おっそろしく純粋。
この、野球の神様から卓越した才能を授かった男の子の、(作品世界にあって全能の著者にとってさえ)あまりの御し難さ、そして彼への愛おしさ故、執筆するに当たってはかなり悪戦苦闘されたのではないか、なんて勘繰ってしまいました。
ある意味、ひどく手の掛かる息子のような存在だったのかもしれませんね。
 
 

    バッテリー     (1996年)

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