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February 24, 2012

憑神

 
 
憑神
 
 
    浅田次郎 著
 
 
      2005年  新潮社
 
 
この小説は文句なしに巧いですよ~。 そしてまた素ン晴らしく旨い!
ホント、文句なしに愉しめた一冊でした。
これがすっかり気に入ってしまった私は、ほぼ続けさま、都合三回も読んじゃいましたよ。

文章と構成の巧さ、安定感は流石浅田さんですね。
言葉遣いのセンスの好さ、措辞の巧妙さにも感心させられました。
それから小技の効いた粋なギャグの連発する可笑しさ!
でも、通読していってほとほと感じさせられるのは、小説の持つ品格です。
そして作品全体に、なにやら薄っすらとした哀しみ(これは、以前に読んだ同じ著者の「椿山課長の七日間」でも感じた要素でした)が漂う感じなんですね。

舞台は幕末期の江戸。
永く続いてきた侍の世も、ついに終わりを告げようかと言う変革の時代です。

そんな、時代の終焉と共に、喪われゆくもの(価値観)がある。
そしてここに、誰しも逆らうことの出来ないその波に、呑み込まれることを良しとしない男。 頑なに、武士としての価値観を守ろうと孤軍奮闘する下級の御家人(しかも部屋住み)、別所彦四郎がいます。
誰よりも誠実で真摯なこの侍が、なぜまた斯くも面妖な災難にあわねばならないのかと言えば・・・・
 
 
 
別所彦四郎 「馬鹿か利口かを考えおれば、そもそも武士などはとうにこの世から消えておりましょう。少なくとも別所家は、三河安祥以来十八代も馬鹿を全うして参りました。当代の左兵衛にだけ、利口になってもろうては困りまする」
 
 
 
意地を通して信念を貫こうとする彦四郎の人間味、男気、情け、それから繊細さ。
主人公が好い男なら、その周囲の人々(そして憑神様たち)も、それぞれがまた個性的で実に愉しいのです。
そんな彼らの醸しだす、なにやら(テーマのシビアさと裏腹に)長閑な空気感。
このお話し、けだし傑作と想いまするぞ。 なむなむ。
 
 

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Comments

一時浅田次郎に熱中していましたがここのところご無沙汰でした。こう書かれるとまた浅田作品を読みたくなりますね。
以前に(南仏 プロバンスの12か月)をご紹介されたので読みましたが、その描写の的確さ素晴らしさに引き込まれました。地元の人間の描写もユーモラスだったり、イギリス人の品を落とさない程度の皮肉さが込めてあったりで面白かったですね。
ですからもとよしさんのお奨めは太鼓判ですねヽ(^o^)丿
先日、Y新聞でお進めの伊○院○の初めての推理小説は期待ほどではありませんでしたのでちょっとがっかり。。。。

では2,3日中に書店へ。。。♪

Posted by: おキヨ | February 24, 2012 at 03:34 PM

>おキヨさん

浅田次郎作品、おキヨさんもお好きでしたか。(^ァ^)

2005年に上梓された本書。
江戸の街を舞台にしていますけれど、昔ながらの時代小説とは(言葉遣いひとつとっても)一線を画している印象。
(このジャンルに詳しくない私が言うのもナンですけれど(^^ゞ)
新感覚の時代ものとして愉しむ事が出来ました。

それはそうと「南仏プロヴアンスの12か月」、お愉しみ頂けたようでなによりです。(^ァ^)

>イギリス人の品を落とさない程度の皮肉さが込めてあったりで面白かったですね。

そうそう、メイルさんはプロヴァンスへの親愛を込めたアイロニーがとっても<お上手>ですよね。(笑)
イギリス人の眼から見た、プロヴァンスの土地と人と。
私も、また読みたくなっちゃいました。

Posted by: もとよし | February 24, 2012 at 08:36 PM

おはようございます!
 わ~面白そうですね。
浅田作品は、今「夕映え天使」文庫本を最近買って手元に置いたまま・・・読まなくてはcoldsweats01
もとよしさんお勧めのこの本も、今度探してみますね。
いい本の紹介ありがとう^^。

Posted by: みい | February 25, 2012 at 10:41 AM

>みいさん

みいさんも浅田ファンでしたか!(^ァ^)

以前に読んだ「椿山課長の七日間」が好かったので、こちらはどうかと手に取ったんですけれど、果たして、期待以上の内容でした。(^ァ^)
どちらも、ヘヴィーになりがちなテーマを軽いユーモラスな語り口で描いてみせるところが共通してますでしょうか。

この「憑神」では、幕末期の江戸の街と、そこで暮らす下級武士の生活と言う、舞台の特殊性を巧みに生かしきっているところに感心しました。
サクサクと進む、テンポの好い筆致も粋です!

Posted by: もとよし | February 25, 2012 at 09:15 PM

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