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January 30, 2012

空中ブランコ

 
 
空中ブランコ
 
 
    奥田英朗 著
 
 
        2004年  文藝春秋
 
 
 
    ・空中ブランコ
    ・ハリネズミ
    ・義父のヅラ
    ・ホットコーナー
    ・女流作家
 
 
それぞれ主人公を異にする連作短編集です。

どのお話も、まずは主人公(サーカスの空中ブランコ乗り、ヤクザ、医者、プロ野球選手、女流作家)の充実した仕事ぶりと、その悩み/行き詰まりの顛末を克明に描いて読ませます。(もうここまでで、掴みは充分!)

各々の不調は、おそらくは精神的なところから来ているものと当たりを付けた主人公ら。 迷いぬいたあげくに神経科医の伊良部先生を訪ねるわけですが・・・・

どのお話も、みんなワンパターンな展開ですけれど、それがとっても可笑しかったです。
個々のストレスや想い込みから深刻なスランプに陥ってしまう辺り、誰にもありそうで共感を得易いですしね。

さて、こうして主人公らを治療することになる伊良部先生ですが、なにしろ滅法奇態な人物で、何を仕出かすか判りません。
いつも患者を振り回したり、煙に巻いたりで、まったくもって油断がならない。
でもそれが、不思議と荒療治として成り立っていて、結果として治癒につながるんですから、判らんモンです。 とんだ名医であります。

型破りな医師が活躍する小説/ドラマというと・・・・赤ひげとか、BJとか・・・・まだまだ他に幾らもいそうですね。
でも太っちょで、まるで子供みたいな言動、人の迷惑顧みない超マイペースの神経科医っていう、この設定は新しいな。

どの患者さんも、それまで順調にキャリアを築いてきたものが、心因的な問題でダメになってしまう。
その原因を探ってゆく過程(伊良部先生に翻弄させられながらも)というのはすなわち、今一度自分自身と対峙すること、長年仕事一筋に生きて来たオノレを顧みてみることでもあります。
笑わせるだけじゃあなしに、ハッとさせられる部分もあって、これは中々に奥の深いドラマです。

粋な、さらりと軽いテイストとギャグを愉しむことが出来ました。
 
 

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Comments

〔空中ブランコ〕という題名でとっさに浮かんだのは1956年作の映画です。
サーカス団を舞台とした三角関係のラブロマンスで主演はジーナ・ロロブリジダという当時イタリアの美人女優でした。ほかに、バートランカスター、トニーカーチスという花形スターです。
。。。といってももとよしさんはもとよりご存じない古~~い映画です。
ピントはずれのコメント失礼いたしましたcoldsweats01

Posted by: おキヨ | January 30, 2012 at 01:16 PM

>おキヨさん

空中ブランコというと、どうしても昔ながらのサーカス団を連想してしまいますね。(^ァ^)
それは、華やかさに、若干のメランコリーが入り混じった、レトロなイメージ。
黄金期のハリウッド作品にとって、格好の舞台だったでしょうね。(^ァ^)

さて小説の「空中ブランコ」の方ですけれど、こちらはサーカス団経営の苦心や、空中ブランコ乗りの私生活、それから若手の育成問題などなど、現代のサーカス事情がリアルに描かれていて興味深かったです。

Posted by: もとよし | January 30, 2012 at 06:43 PM

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